今年、新校舎が完成。
生徒の可能性を開花させる巣鴨の教育とは

巣鴨中学校・高等学校

今年、新校舎が完成。生徒の可能性を開花させる巣鴨の教育とは

1922年に創立された巣鴨中高。男子校ならではの質実剛健な校風の下、毎年難関国公立大や医学部に数多くの合格者を輩出している。その教育の特色について、堀内不二夫校長に聞いた。


巣鴨中学校・高等学校は東京・池袋に近い、利便性の良い立地だ。創立以来の質実剛健、硬教育の伝統を受け継ぎながら、徹底した努力主義を貫いている進学校だ。卒業生は3万人以上にのぼり、多くがさまざまな業界の第一線で活躍している。その教育について、堀内不二夫校長は次のように説明する。

「本校では努力する姿勢を最も重視しています。生徒たちは大きな可能性を秘めていますが、自ら努力することがなければ開花しないからです。時代が移り変わり、努力主義という言葉が重いといわれてしまうことはありますが、努力とはやるべきことをきちんとやるということで、誰にでもできることです。その誰にでもできることを、誰もができないレベルまで徹底して行うことの大切さを教えています」

勉強と学校行事を両立し、心身を育んでいく

巣鴨では基礎をしっかり固めつつ、より高度な学力を構築する英才早教育を実践している。段階的で無理のないカリキュラムで生徒の可能性を見出し、大学受験に向けた基礎学力を養っていく。このカリキュラムの下、毎年多くの生徒が東大をはじめとする難関国公私立大に合格。最難関学部の医学部に100人を超える合格者だ。

こうした最高レベルの学力を養う学習システムに加え、学校行事が多いことも、大きな特色だ。堀内校長が言う。

「中高の6年間はその後の人生の土台を作る段階です。将来、社会で活躍するためには確固たる意志や、説明する力、精神力などが求められます。そういった力は地道な鍛錬や努力などを通して、生徒自身が汗をかくことで身につくものですから、本校では勉強だけでなく、運動や行事にも力を入れています」

巣鴨には『学問・芸術・体育の一体的修練』の教育理念がある。この理念の下、創立以来の伝統として剣道・柔道などの武道が必修だ。また、大菩薩峠越え強歩大会では中学1年から高校3年まで、生徒全員で一晩かけて山越えを行う。中学1年で20キロ、高校3年で40キロ歩く厳しい行事だ。安全面を配慮しつつ、OBや医師団がサポートしながら実施されるこの行事を通して、学校全体の団結力が高まっていくという。このほか、最大2キロの距離を泳ぐ夏の遠泳や、正月の早朝に道場で行われる寒稽古、森林公園マラソン大会など、心身を鍛える行事により、強靭な精神を育てている。

国際力を養う取り組みも充実している。海外体験学習として、中学3年から高校2年の希望者を対象に、イギリスの名門イートン校やオーストラリアでのサマースクールがある。現地の生徒との交流を通し、各国の歴史や文化に触れる機会となっている。一方、国際力を育てるには、自国の文化を知ることも重要だ。男子校としては珍しく高1でお茶を必修としているほか、書道では多くの生徒が様々な大会で入賞を果たしている。百人一首かるた大会などもあり、文化的な素養を磨く絶好の機会を多数設けている。

新校舎が完成新たなスタートを切る巣鴨

2012年から校舎4棟と体育館を改築していたが、今年8月に中央新校舎・新北校舎が竣工。16年1月にはすべての工事が完了する。中央新校舎には普通教室9室のほか、購買部や屋上ラウンジを、新北校舎には物理、化学、生物、地学、情報、音楽、書道の各特別教室を設置した。耐震性に優れた頑丈なつくりだが、建物の入り口や天井、壁には以前のキャンパスに生えていた木々を活用し、明るく、温かみあふれる快適な空間が誕生した。

最後に、堀内校長が受験生に向けてこうメッセージを送る。

「テストなどを行うと、生徒や保護者はどうしても順位ばかりが気になるようですが、本校では順位よりどれくらい努力したかに重きを置いています。一生懸命、真面目に物事を進めていく生徒たちの可能性を信じ、将来に期待しているからです」

取材日:2015.9.16