行事を通して「知・仁・勇」の
精神を養う伝統のリーダー教育

成城中学校・高等学校

行事を通して「知・仁・勇」の精神を養う伝統のリーダー教育

創立130年を超える成城では、校章の「三光星」が象徴する「知・仁・勇」を備えた人材の育成に力を注いでいる。古くから成城に受け継がれている教育の一つがリーダー教育だ。どのような教育なのか、入試広報室長の宮本八太郎教諭に話を聞いた。


成城では、全国に先駆け1925年から始まった臨海学校は、今年で92年目を迎えた。逗子から始まり、伊豆三津浜、興津、伊豆大瀬岬などへの移転を経て、68年に現在行われている岩井海岸に移った。初期に使われていた和船の一つが、校内に展示されている。全校生徒が参加していた時期もあったが、83年から中1の恒例行事となった。宮本教諭が言う。

「中1にとって、臨海学校は成城生になるための通過儀式のようになっています。親元を離れるので不安もあると思いますが、毎年、このイベントで一皮むけて、成城生としてスタートを切ることができたという声が多く寄せられます」

臨海学校は、3泊4日の日程で行われる。泳力を上達させる修泳が中心だ。生徒を初級・中級・上級に分ける。安全確保のために隊列を組んだり、手をつないで海に入る“ヒューマンチェーン”などを通して海に慣れてから、泳ぐ力を養っていく。上級の生徒は日ごとに泳ぐ距離を伸ばし、最終日の遠泳に備える。宮本教諭が言う。

「海では基本的に平泳ぎですが、顔は水につけません。海が始めての生徒もいますし、普通の泳ぎ方ではないので、無理がないように初級はさらに細かくグループに分けています。また、5月末から本格的にプールで泳がせていますが、海とは様子が違います。波が強い日はメニューを変えるなど、その日の様子を見て現場で判断していきます。例年、マニュアル通りというわけにはいきません」

安全面を確保するために、本番では高2の補助員が中1をきめ細かくサポートする。

補助員は各クラブから選抜される。泳力とともに、現場をまとめる力が重視される。運動部に限らず、文化部や生徒会役員も候補となり、今年は55人が選ばれた。

補助員は中1の横についてサポートするほか、集合をかけたり、調子の悪い生徒を見つけるなど、実践的な役割を担っている。また、補助員は、中1が泳ぐ前にブイの設置、海水温のチェックなども行う。初日と二日目のミーティングでは、自ら反省点をあげ、綿密な打ち合わせをする。宮本教諭がこう話す。

「なるべく教員が答えを言わずに、補助員たちが話しあう中で課題を見つけ、対処していくように任せています。中1を危ない目に合わせないためには、責任を持って行動する必要がありますし、任されたほうが力を発揮しやすいと思います」

補助員の講習は、事前に校内で行われる。講習では中1の手本となれるようにラジオ体操を習得し、校内のプールで指導の手順を覚える。

プールでは、一直線になり、等間隔に泳いだり、後ろの生徒に目を配りながら後ろ向きに泳ぐ練習をする。また、救助方法についてもレクチャーを受ける。ボディボードを使ったり、おぼれた人を見失わないように波を立てずに泳いだり、もぐる練習も行う。さらには、士気が下がってきた中1を鼓舞する「よいしょ」という掛け声の練習など、実際に起こりうるシーンを想定して1時間半以上泳ぎ続け、本番に備える。宮本教諭は「臨海学校での経験が自信につながり、部活動などで後輩の指導や集団をまとめる力が身についた生徒も多くみられます。また近年は、自分の力を発揮する場を求めて、海外に目を向ける積極的な生徒も増えています」という。

今年は天候に恵まれ、いいコンディションで臨海学校を終えることができました。遠泳までの二日間は上級者の泳力の確認や生徒たちの特性などについて補助員同士が話し合い、その日の反省点を上げて、遠泳に備えました。夜のミーティングでは他の補助員が工夫している点を聞いて取り入れるなど、補助員同士のコミュニケーションもよく取れていたと思います。

遠泳では、上級者の先頭を泳ぐことになり、少し緊張しましたが、自信を持って臨みました。ゴール地点で先生、補助員の仲間、中1生全員に迎えられ、とても感動しました。また、一番嬉しかったのは、修技初日から遠泳の日までの間に、中1が大きく成長したことです。水泳部の部長を務めているので、この経験を生かして今後、後輩の成長をサポートしていきたいと思います。

今年は天候に恵まれ、いいコンディションで臨海学校を終えることができました。遠泳までの二日間は上級者の泳力の確認や生徒たちの特性などについて補助員同士が話し合い、その日の反省点を上げて、遠泳に備えました。夜のミーティングでは他の補助員が工夫している点を聞いて取り入れるなど、補助員同士のコミュニケーションもよく取れていたと思います。

遠泳では、上級者の先頭を泳ぐことになり、少し緊張しましたが、自信を持って臨みました。ゴール地点で先生、補助員の仲間、中1生全員に迎えられ、とても感動しました。また、一番嬉しかったのは、修技初日から遠泳の日までの間に、中1が大きく成長したことです。水泳部の部長を務めているので、この経験を生かして今後、後輩の成長をサポートしていきたいと思います。

取材日:2016.6.6