STEAM教育で
新たな価値を創造する教育

聖徳学園中学校・高等学校

STEAM教育で新たな価値を創造する教育

大学合格実績が伸びる一方で、ICT環境の整備やSTEAM(ScienceTechnology Engineering Art Mathematics)教育など、これからの社会で必要とされる力を養う教育へと改革を進めている聖徳学園。その教育について、英語教育と進路指導の観点から、山田健治教諭(英語科)と学習指導部長・安藤立正教諭に話を聞いた。


聖徳学園で力を入れているのがSTEAM教育だ。社会の課題について発見し、解決していく力を身につける聖徳学園のSTEAM教育には、各教科の枠を超えた学びがある。昨年完成した新校舎にはSTEAM教育に特化した施設を整備し、生徒の自由な発想に応えている。その深化のためには英語力が必要となる。そのため、聖徳学園の英語科では、高校卒業時にCEFRのB1(英検2級)以上の英語力を身につけることを目標としている。中1から発展と標準の習熟度別クラスで授業を実施。高校入学後は、すでに高い英語力を有している生徒向けに、ネイティブ教員が日本語を一切使わずに授業を行うNETクラスを設けている。生徒一人ひとりの学力に応じ、クラス別にきめ細かく対応する体制が整っている。

また、6年間を通して「リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング」の4技能を伸ばしつつ、実際に英語を使うことを重視したカリキュラムがある。

リーディングについては、毎日欠かさず英文を読むことで、読解力と精読力を育成。また、リスニングについては、英文をざっくりと聞いた上で(スキミング)、キーワードを探しながら聞く(スキャニング)訓練をする。4年前から生徒たちは一人1台、iPadを所持している。これにより「授業の中で完結せず、自由にいつでも、どこでも課題に取り組むことができるようになりました」と英語科の山田健治教諭が言う。

また、ライティング力を伸ばす取り組みの一つが、定期テストでのエッセイの執筆だ。英語のエッセイを書くため、序論から始まり、多角的に考えて自分の意見を伝え、結論で締めくくるという、アカデミックライティングの方法も学ぶ。山田教諭がこう話す。

「スポーツと同じように、文章は書くほど上手になります。定期試験以外でも、自分の好きなものについてブログで書かせるなど、時間がある限り積極的に取り組むようにしています。定期テストのエッセイは、複数の観点から評価していくルーブリック評価で採点するため教員側も大変ですが、高1にもなると120ワードのエッセイを執筆できるようになります」

スピーキングでも、自分の目標について英語で話したものを動画で提出させるなど、ICTを積極的に活用している。この他、プレゼンテーション大会やグローバルセミナーなど、スピーキング力を養う行事も多い。

こうして培った4技能を活用する機会も数多く用意している。E-Talk Roomには、ネイティブ教員5人が常駐し、授業でのスピーチやエッセイ指導などを通じて、自然な英語力を磨いている。

一方、グローバル社会で活躍するためには、日本の文化を知り、日本人としてのアイデンティティを身につけることが重要だ。そこで、中1のスプリングキャンプで新潟で田植えを体験。中2では、関西研修旅行で日本の伝統や歴史について、本物に触れながら深く学ぶ。その上で、中3から様々な国際体験プログラムを用意している。現在、中3と高2の国際研修旅行は希望者のみとなっているが、2019年度入学生から全員参加になる予定だ。

この他、発展途上国への支援など、答えが出ない問いについて考えていく機会も多い。高2の総合的な学習の時間では、ルワンダに使用済みの靴を送ったり、3Dプリンタを使っておもちゃを入れた石鹸を作り、現地の子どもたちに衛生的な概念を養う取り組みなども実施している。

一人ひとりの希望を実現するきめ細かな進学指導

聖徳学園には、中学で基礎学力と学習習慣を定着させ、高校で応用力を磨いていく体制がある。その上で、希望の進路をかなえるプログラムを行うことが、大学合格実績に結びついている。

大学合格のための実力を、高1から段階的に養成する進学セミナーでは、同校の教員が大学受験に特化した授業を担当している。特に高3では約30講座の中から進路や目標などに応じて選べるのが魅力だ。

また、昨年度からチューター制度もスタートした。放課後、生徒の自由の学習の場となるラーニングコモンズにチューターの卒業生が常駐。放課後の学習をサポートしている。安藤立正教諭がこう話す。

「チューター制度を導入したことで、先輩に気軽に相談できる体制が整いました。進路選択に悩んでいる生徒の中には、教員より話しやすいと、チューターに相談する生徒もいるほどです」

2020年度から始まる大学共通テストには、記述式の問題も導入される。その対策として、国語の論述式、数学の証明問題など、定期テストに記述問題を多く取り入れている。テストの改革にあわせて、授業改革も進んでいるという。

また、大学入試が主体性や協働性を評価する入試に移行すると、高校の活動を記録したeポートフォリオの提出が求められるようになる。聖徳学園ではFeel noteというアプリを導入し、生徒たちが主体的に取り組んださまざまな活動をアプリ内に記録できるようになった。安藤教諭がこう話す。

「生徒の成長を振り返ったり、成果物を蓄積するのが楽になりました。このアプリを受験の際に使用できる海外大学もあり、そういう大学を目指す生徒にも使いやすいと思います。大学共通テストについては、まだ未確定な部分もありますが、生徒が柔軟に対応していけるよう、積極的に改革を進めていきたいと思います」

取材日:2018.9.6