自ら考え、行動する姿勢を養う
校外学習と学校行事

駒場東邦中学校・高等学校

詩や読書を通じて感性を磨く国語教育

全国屈指の進学校、駒場東邦は「自主独立の気概」と「科学的精神」を養う教育で、世界に通用する人間を数多く輩出している。その教育の土台となっているのが、生徒が主体的に活動する数々の取り組みだ。その一つである高2の修学旅行について、学年主任の藤山由彦教諭に話を聞いた。


全国屈指の進学校、駒場東邦は「自主独立の気概」と「科学的精神」を養う教育で、世界に通用する人間を数多く輩出している。その教育の土台となっているのが、生徒が主体的に活動する数々の取り組みだ。その一つである高2の修学旅行について、学年主任の藤山由彦教諭に話を聞いた。

駒場東邦では、自分の頭で考え、自主的な行動ができる人間を育てるために、生徒が主体的に活動する場を多く設けている。その一翼を担うのが校外学習だ。

校外学習は中1の霧ヶ峰林間学校から始まる。中2の鎌倉見学・志賀林間学校、中3の奈良・京都研究旅行と毎学年で行われており、いずれも問題意識を持って学ぶ機会として位置づけられている。各自がテーマを設定して綿密に事前学習を行い、現地で調査・見学を進め、終了後にレポートを作成・発表する。これを繰り返すことで、自ら考え、物事を探究していく姿勢を養っていく。この集大成となるのが、高2の修学旅行だ。

修学旅行の行き先は毎年異なり、1年前に行われるプレゼン大会によって決定する。プレゼン大会では、有志の生徒が候補地を決め、学年全員の前でプレゼンを行う。彼らのプレゼンを見て、行きたいと思った地域に投票し、票を多く獲得した地域を訪れることになる。藤山由彦教諭がこう話す。

「自分たちの想いややりたいことを実現するため、懸命に試行錯誤しながら本番に臨む。この経験が、主体的に活動する力や大勢の前でも堂々と発表する力につながっていきます。また他の生徒にとっても、彼らの姿を見ることで、自分たちも積極的に取り組もうという想いが広まり、素敵な相乗効果を生み出しています」

今年は、シンガポール、タイ、ミャンマー、中国、ベトナム、北海道、近畿、中国・四国、奄美大島、沖縄を推薦する10グループが出場した。シンガポールを候補地とした前田洸太さん、田中遼真さん、岩間悠さんたちは、シンガポールについてさまざまな面から調査。パワーポイントで資料を作成し、プレゼン案を練った。

前田さんたちは、国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を学びの内容として取り入れ、シンガポールにはどんな課題があるのかを調べた。プレゼン大会では、前田さんが資料を作成し、田中さんと岩間さんが実際のプレゼンを行うなど、役割を分担して準備を進めた。予選では惜しくも2位だったが、予選を勝ち抜いた4組が出場した決勝では、他の生徒を引き込めるよう、具体的な旅程を盛り込む等、パワーポイントをより洗練させたという。

結果は前田さんたちシンガポール勢が1位で優勝。来年の修学旅行はシンガポールと近畿に決定した。この中から各自が行き先を選択することになる。

修学旅行に向け、今後1年かけて各自がテーマを決め、事前学習を進めていく。旅程も自分たちで考える。藤山教諭が言う。

「今回の旅行は、SDGsを念頭に「歴史を振り返る」「多様性を考える」「本物にふれる」を柱として組み立てていきます。つねに学ぶ姿勢を心がけ、自らで旅程を決める楽しみも味わってほしいと思います。教員も助力を惜しみません。」

縦のつながりを強める学校行事

校外学習以外にも、生徒が主体的に活動する学校行事が多い。最も校風が現れる行事が体育祭と文化祭だ。

体育祭では、6学年を4つの色に分け、高校3年生が同じ色の下級生を指導する。文化祭も高校2年生が運営し、下級生を取り仕切っていく。上級生として、学校を動かす体験をすることで学ぶことは多いという。藤山教諭が言う。

「学年が上がるのに応じて彼らに仕事を任せることで、自分の頭で考え責任を持って実行するという、社会人としても必要な基礎力を磨く機会になります。もちろん、失敗することもあるでしょうが、それも彼らが社会に出る前に学校の中で積み重ねていかなければならないことの一つです。今後も、彼らが自主的に活動しやすい環境づくりに尽力していきたいと思います」

生徒インタビュー

左:岩間/中央:田仲/右:前田

プレゼン大会に参加して得たものや、感じたことを教えてください。

前田 プレゼンの資料は主に僕が作成しましたが、迷ったところは2人にも相談し、意見を聞きました。それぞれ違う意見があり、試行錯誤できたのがよかったです。そうして培った団結力で1位になったのだと思います。

田中 大勢の前で発表するのはあまり経験がなかったので、一人だったら心細くて緊張していたと思いますが、3人でチームを組んで挑戦したので気負うことなく、プレゼンに集中できました。

岩間 自分が行きたい場所について調べて、全員の前で発表する貴重な体験ができました。また、大勢の前で自分たちが調べたことを話す楽しさや3人で努力したことが、1位に選ばれる達成感を得られました。

修学旅行ではどんなことを学ぶ予定ですか。

前田 英語を使う国で学ぶ英語という点を意識しつつ、いろんな文化に触れたいです。また、修学旅行は家族と行く旅行とは違うので、友達とできることを現地で楽しみながら学びたいです。

田中 中3の研究旅行では、仏教寺院と町の関わりについて学習しました。シンガポールはヒンドゥー教やイスラム教、仏教など宗教が多様なので、宗教と人々の関わりをテーマに、様々なことを学びたいです。

岩間 中2の世界地理の授業で、シンガポールがマレーシアから水を輸入していることを学びました。豊富な水がある日本では考えられないことなので驚きました。現地では水に関する施設を見て回り、知識を深めていきたいです。

駒場東邦のいいところを教えてください。

前田 校則はありますが、あまり厳しくなく、自由な校風だと思います。伸び伸びと学校生活が送れます。

田中 先輩との付き合いが密です。体育祭や文化祭などは上級生が下級生を指導しますし、部活動も中高合同で行います。そういう環境なので先輩と仲良くなれますし、絆も強くなります。

岩間 生徒同士、仲がいいですし、先生方も生徒一人ひとりの自主性を尊重してくれるので、自分なりに考えて行動する習慣ができます。少人数制で思考力を鍛える授業も多く、面白いです。

取材日:2019.7.31