学校生活のすべてが人間形成の場
創立100年を超えて、多様な人材を世に送り出す浅野

浅野中学・高等学校

学校生活のすべてが人間形成の場。創立100年を超えて、多様な人材を世に送り出す浅野

浅野中高の創立者は多数の企業を設立した、京浜工業地帯の生みの親といわれる実業家・浅野總一郎だ。会社を経営していくためには人が大事だと考えた浅野は、会社で働く人を育てるために学校を創設。その理念を受け継ぎながら、激動の時代の中でしなやかに変化してきた浅野の教育とは―。


「九転十起」は、波乱万丈に生きた創立者の生きる姿勢を表した言葉だ。この校訓について、副校長の山田啓太先生がこう話す。

「『七転び八起き』より、さらに2回多い『九転十起』には、失敗と成功の両方を味わいながらも不屈の精神で何度でも立ち上がった創立者の生きざまがよく表れています。生徒にもなじみが深く、大好きな言葉のようです。Tシャツにこの言葉を印刷し、活動する部活動も多いです」

創立から100年のうちに学校を取り巻く環境は大きく変わった。その中で「九転十起」の強さと、もう一つの校訓である「愛と和」の優しさを備えた男子を育成していく建学の理念を変わらず継承してきた。

浅野では、「授業」「部活動」「行事」の三つを連動させた教育を実践している。

授業については、低学年のうちは教員がペースメーカーとなって勉強の習慣を身につけさせ、生徒一人ひとりの自立を見守りながら主体性を養っていく。そして、6年間かけて第一志望の大学に送り出していくというのが大きな目標だ。

「大学受験に必要な教科だけでなく、美術や音楽、書道、体育もすべてバランスよく学びます。中高時代に教養を磨いておかないと底の浅い人間になってしまいます。一通り学んだ上で各自が得意なものを伸ばし、その分野のプロフェッショナルを目指してほしいと考えています」と山田先生。

副校長 山田 啓太先生

時代の変化にも柔軟に対応し、進化を続けてきた浅野では、カリキュラムの改革も行っている。これまで、理科の実験は担当教員の裁量で授業の中に組み込んでいたが、昨年から中3での少人数理科実験授業がスタートした。実験室を整備し、安全に手厚く指導するために1クラスを2つに分けて4~6人の教員が対応。より丁寧な指導ができるようになった。実験授業を取り入れた理由について、理科教諭の德山直先生に聞いた。

「これまで見過ごしていたものに目を向けて、なぜだろうと考える力を養ってほしいと考えて実験授業を始めました。特に重視しているのが、実験結果の考察です。実験中に見つけたことや考えたことを後から整理すると、その理由が見えてくるからです。今後は、実験から導き出したデータをもとに議論するなど、アクティブ・ラーニングにもつなげていきたいと思います」

自分たちで実験を進め、結果を確認し、レポートにまとめるという一連の流れが、良い刺激にもなる。教科書だけで学ぶより、生徒の反応がいいようだ。德山先生が続ける。

「高2で文系・理系を選択するので、高1まではそれに向けた準備期間になります。実験授業により、自分が理系に向いているかどうかを判断する機会が増えたので、将来への道筋を描きやすくなったと思います」

入試広報部部長・理科教諭 德山 直先生

部活動に、行事に、恵まれた環境で伸び伸び過ごす

浅野は京浜工業地帯・ベイブリッジを眼下に見渡せる高台に位置する。JR京浜東北線・新子安駅、京急新子安駅から徒歩8分という立地は、渋谷や池袋、品川など主要駅からのアクセスが良い。東京から通う生徒も年々増えている。

58000㎡以上の広大な敷地を有していることも、魅力の一つだ。キャンパス全体が愛護林鳥獣保護区に認定されており、銅像山をはじめ、景色は四季折々の変化を見せる。

「秋にはトンボが飛び、冬のすっきり晴れた日には富士山がきれいにみえます。生物部などは、山に入って虫取りをしているので、特に季節を感じながら学校生活を送っていると思います。運動部にとっても絶好の環境があります。正門をスタートして山を登り、降りてきて校舎を回って走るという、通称クロスカントリーは部活動で定番のトレーニングコースです」(山田先生)

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浅野にとって部活動も大切な柱の一つだ。進学校として求められる勉強を進めながら、部活動も熱心に行うなど、文武両道を体現する生徒も多い。入部は強制ではないものの、中1のほとんどが何らかの部活動に所属している。自然あふれるキャンパスには運動施設もそろっている。

例えば、ハンドボール部は中高あわせて135人が所属。ハンドボールコートは2面あり、部員を4つのカテゴリーに分けて、ローテーションを組みながら活動している。中学チームは近年、県内の新人大会や選手権大会で準優勝・優勝を果たしている。高校も関東大会出場の実績をもつ。その指導方法と部員について、ハンドボール部顧問の岡部正明先生がこう話す。

「ハンドボールは中1から始める生徒が多い競技です。戦績を上げるために最初から厳しい練習をするのではなく、まずはハンドボールを楽しむことに重きを置きます。基礎的な練習を積み重ね、少しずつ高度なプレーを取り入れていくと、楽しみ方も変わり、プレイの質も向上します。また、こちらが言ったことをすぐに理解し、それを練習に生かして再現していく流れがスムーズなのも、本校の生徒の特色です。きついトレーニングも粘り強く続けていく。まさに九転十起です」

一方、コロナ禍においては、部活動の制限も余儀なくされた。ハンドボール部も例外ではなく、週5日の活動が週3日になり、リモートで活動していた時期もある。その際には、オンラインでハンドボールについての講義を行い、トレーニングやミーティングを進めてきた。

「本校OBが多く所属している東大のハンドボール部とオンラインで、大学での部活動や大学生活について聞くなど、積極的に交流を進めました。このほかにも、実業団の選手に講義をお願いしました。さまざまな工夫をしながら乗り切り、いい経験になったと思います」(岡部先生)

ハンドボール部の引退時期は比較的遅く、高3の6月まで活動する。最後までやり遂げるかどうかは自分たちの意志で決める。引退まで続ける生徒は7割程度だという。引退後は、部活動で培った粘り強さで勉強に集中し、東大をはじめとする国公立大や難関私立大など、第一志望の大学に進学している。大学でハンドボールを続けている卒業生も多い。

このほか、行事も生徒が主体的に進めている。文化祭には実行委員が300人以上いる。文化祭を実現するための企画や運営を彼らが一から考え、1年間かけて作り上げていく。

ハンドボール部顧問・保健体育科教諭 岡部 正明先生

最後に、受験生に向けて、先生たちがメッセージを送る。

「中高の6年間は、将来につながる力を養うためにあります。自分を磨き、高め、鍛え上げる場として学校を選択してほしい。また、合格を目指して頑張ったことは、どの中学に入ったとしても無駄にはなりません。そして、そういう君を応援しています」(山田先生)

「中学受験で努力を重ねた先には、同じような仲間と出会えるチャンスがあるということ。それは、その先の人生において、味方が増えるということでもあります。本校にはそういう仲間がたくさんいますから、合格を目指して頑張ってください」(德山先生)

「浅野には魅力的な施設が多く、一緒に楽しめる仲間にも出会えます。目標に向かって今、やるべきことに粘り強く取り組んでください」(岡部先生)

取材日:2021.7.8