多くの高校生が参加している高校模擬国連大会。これは、高校生が世界各国の国連大使になったつもりで、特定の議題について議論・交渉し、決議を採択していく活動だ。海城では、グローバル部の活動の一環として2014年度からチャレンジしている。グローバル部の高校部長・山田健人さんと中学部長・持田隼人さん、OBである大学3年の星野新(あらた)さん、大学1年の張奕沖(えきじゅう)さん、大学1年の西崎隼隆(はやたか)さんに話を聞いた。

左から星野新さん、張奕沖さん、西崎隼隆さん、山田健人さん、持田隼人さん
海城のグローバル部は2014年の創部以来、毎年、模擬国連大会にチャレンジしている。グローバル部を立ち上げた星野新さんは、グローバル部を作った経緯について、次のように語る。

「高2のとき、初めて模擬国連の全日本大会に出場しました。国際問題を自分事として考えたり、自分の将来について真剣に向き合っている高校生が集まっており、とても刺激的な経験となりました。その体験やノウハウを後輩に継承し、自分の意見を主張する力や交渉力を養っていく場を作りたいと考えて、グローバル部を立ち上げました」

模擬国連への挑戦は、グローバル部の柱の一つだ。ただ、普段は模擬国連に直接結びつく活動を行っているわけではない。週1回部員が集まり、英語ディベートや読書会など、その週の担当生徒が持ち寄った企画について、全員で取り組むというのが部活動の主な内容だ。通常の活動を通して、多面的な思考力やものの見方、柔軟な対応力を養っていることが、模擬国連の活動に良い影響を及ぼしているようだ。この他、模擬国連に向けた実戦の場として、他校との練習会も行っている。高校部長の山田健人さんは、グローバル部の活動についてこう話す。

「部では様々な活動を行っていますが、いずれも誰かの指示に従うことはなく、自分でベストなプランを考えていくことを重視しています。そうした普段の活動は、生徒の主体性を養っていく海城の教育にもつながるものだと思います」

また、OBの西崎隼隆さんと張奕沖さんはグローバル部の活動で得たものについて次のように話す。

「グローバル部の目的はリベラルに人の意見を聞き、その中で自分の中に一本芯の通った意見を見いだしていくこと。それは実生活においても、自分と異なる世代や異性と話すときなどに必要なことです。部活動を通して、その大切さに気づくことができたのは大きな財産になりました」(西崎さん)

「模擬国連では必要な知識を得るだけでなく、実際にその知識を使って人とコミュニケーションをとることが求められます。練習会などで他校と積極的に交流し、そういった力を磨くことができました。そこで培った人間関係は大学に入った今でも続いています」(張さん)

グローバル部は昨年、山田さんが模擬国連の全日本大会を勝ち抜き、今年5月にアメリカ・ニューヨークで行われた国際大会で、日本人として2人目となる最優秀賞を受賞した。

模擬国連大会では、事前に議題が決められ、それぞれの担当国が割り振られる。本番までに議題と担当国についてリサーチし、情報を収集して知識を得た上で大会本番に臨む。本番となる議場では、リサーチで得た知識を駆使し、他国の大使と議論しながら、担当国の利益を守りつつ、他の国々の意見をまとめていく。

山田さんは全日本大会でメキシコの立場から「ジェンダー平等」について、国際大会でウルグアイの立場から「途上国でのバイオ燃料の持続的な生産」について、他の代表者と議論を重ねていった。国際大会を振り返り、山田さんはこう話す。

「国際大会では、価値観が大きく異なる世界各国の高校生と議論を交わすことになります。ですから、OBの先輩に、国際大会に出場したことがある人を紹介してもらって事前に体験談を聞き、対策を立てました。全日本大会より綿密にリサーチを進め、いろんな状況を想定して準備をしたことで、本番は雰囲気に飲まれず柔軟に対応することができました。また、国際大会は英語でのコミュニケーションが中心です。米国大統領や国連事務総長のスピーチを動画で観るなど、英語の練習を積み重ねて本番に臨みました」

山田さんに続き、今年の模擬国連大会にも各部員が挑戦している。グローバル部の活動について、部員たちから様々な声が上がった。

「柔軟に、いろんなことを想像しながら自分なりの解決策を導き出していく体験ができる」「自分が勉強したことを、模擬国連などで人とコミュニケーションをしながら生かしていけるのは貴重な体験」「主体的に、自分で行動を起こすことができるので、やりがいがある」

「他の国の立場に立って考えるなど、多角的に国際問題について考えることができるようになった」

最後に、中学部長の持田隼人さんがこれからのグローバル部についてこう話す。

「先輩たちの活躍は、それを超えていきたいというモチベーションにもなっています。同じ道を進むのではなく、自分たちで道を切り開きながら、どのようにしてその高みまでたどり着くのか、これから考えていきたいと思います」

顧問からのコメント

「国際大会は2日間に渡って開催されましたが、山田くんは1日目の朝、議場に着いた時から、いろんな国から来た生徒に自ら話しかけ、自己紹介をすることで関係性を作ろうとしていました。彼の真面目な性格や緻密な準備が最優秀賞につながったのだと思います」(左:岡崎教諭)

「海城はグローバル部以外にも、競技かるたや俳句甲子園など、外部の大会にチャレンジする生徒が増えています。他の部の生徒の挑戦を見ることで、刺激を受けながら自分たちの活動に取り組んでいることが、グローバル部の活躍につながっているようです」(右:山口教諭)

取材日 2018.9.6
海城中学校・高等学校HP
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