中村中学校・高等学校は1903年に創立した女子の伝統校だ。清澄白河駅から徒歩3分、利便性の高い場所にありながら、庭園に隣接する緑豊かな環境で、生徒一人ひとりの個性を生かした教育を行っている。国語科では4年前から詩集などを出版している銀の鈴社と連携して、詩の授業を実施。その教育とは。

左から詩人|たかはし けいこ氏、銀の鈴社|西野 大介氏、板倉 瞳教諭、中嶋 政太教諭

中村では「詩を通して学ぶ言葉の大切さ」をテーマに、詩の授業を行っている。中高時代の頭が柔らかい、繊細な心を持っている時期に詩を通して言葉の力や大切さに触れることで、情緒面を豊かにし、相手を思いやる心を養うことにつながるという。

「詩の授業を通して、相手のことを考えながら言葉をつむぐ力を身につけてほしいと思います」と銀の鈴社の西野大介さん。

詩の授業の一環として、今年は創作にも挑戦した。その狙いについて板倉瞳教諭がこう話す。

「コミュニケーションの手段としてSNSが多用されるようになる中、話すことでは通じるニュアンスも、文章だけでは誤解を生む場合があります。語彙や表現の幅を広げ、文章表現力を高めることで、SNSの場でも誤解のないコミュニケーションができる力を養ってほしいと考え、詩の授業を取り入れました。この取り組みはキャリア教育にもつながっています。出版社や詩人の方から話を聞くことで、様々な人が関わって1冊の詩集ができることを知ってほしいと考えています」

授業では、「いのち・ありがとう・ドキドキ」をテーマに、一人3つの詩を創作した。詩を読んだことはあっても、創作したことがない生徒が多く、辞書を引くなど、苦労しながらそれぞれが作品を完成させた。

試行錯誤しながら生徒たちがつくった創作詩集を授業で配布。互いの作品を読み、良いと思ったものを各テーマから一編ずつ選んで、理由とともに各自が携帯しているiPadで投票した。「命の大切さを理解しどのように命を使うかを書いているところがいい」など、生徒たちからは素直な感想があったという。

また、2か月続いた詩の授業の集大成として、詩人のたかはしけいこさんを招いて授業を行った。生徒の創作詩集の各テーマから一編ずつ良いと思うものを選び、その理由についてグループで話し合い、意見をまとめていった。各グループの意見をワークシートに書き込み、代表者が発表することで、クラス全員の意見を共有。その後、たかはしさんから講評をもらいつつ、詩の創作のポイントなどを学んだ。たかはしさんがこう話す。

「中1というと、植物でいえば若い葉が出てきた頃でしょうか。中村の生徒たちの詩を読み、彼女たちが素直に育っていることを強く感じました。詩の創作を通して詩がどういうものなのか、少しわかっていただけたようです。詩は、人生にふくらみを持たせ、彩りを与えてくれます。人が人生を生きていくということについて、詩を通して考えてもらえるいい機会になったと思います」

自分の意見を共有することで心の成長を促す国語教育

様々な情報の中から自分で問いを見つけて考えたり、他の人の考えに触れ、学び合うことで思考力や表現力を養っていく。今年度から「文章読解・作成能力検定」を導入。授業などで身につけた表現力を客観的に測定していく体制が整った。

また、100本表現でも、作品を読んだ後に思ったことなどを自分の言葉で表現し、他の人々と共有することを重視している。6年間、夏の宿題として読書感想文を課していることも表現力の育成につながっている。高1では全員が夏期講習として5日間、小論文の講座を受講。小論文の書き方を学んだ上で、夏と冬に小論文模試にもチャレンジする。この他、「先生からのLOVE CALL」「中村の100冊」「読書ノート」なども中村独自の取り組みだ。国語科主任の中嶋政太教諭が言う。

「国語科の多彩な取り組みを通じて、読書は楽しいものだと伝えたいと考えています。また、読書によって磨かれる感性など、“人としての機微”は、様々な問題が起こる社会で生きていくために必要な力です。文章を読み、人の心を理解した上で考え、共有することで、自分の心を成長させて他人の痛みがわかる人になってほしいと思います」

取材日 2018.9.11
中村中学校・高等学校HP
back