成城では、2013年度からグローバル教育を推進している。その特色について、入試広報室長の宮本八太郎教諭がこう説明する。

「海外経験によって英語力を上達させることが第一の目的ではありません。広い世界に触れながら自分がどうあるべきかを積極的に考え、自己を確立していく機会となるように考えています」

そのグローバル教育の柱となっているのがエンパワーメント・プログラムだ。

エンパワーメント・プログラムは、中3~高2の希望者を対象に、1日6時間、5日間の校内研修を通して自己啓発を促すプログラムだ。カリフォルニア大学の学生等を招き、生徒とグループになって、英語のみで企画・議論・発表を行う。多様な文化を持つ学生と協働しながら課題を解決し、論理的に表現する力や失敗を恐れずチャレンジする精神を養っている。

エンパワーメント・プログラムを皮切りに、多彩なプログラムを導入した。その一つがオーストラリアでのグローバルリーダー研修だ。

オーストラリアでの研修は中3~高2の希望者が対象だ。約10日間、州政府が認定した経験豊富なホストファミリー宅に一人ずつホームステイしながら、現地の学校に通い、国際感覚を磨いていく。

現地の学校では生徒一人につき、現地の生徒がバディとして一人ついて一緒に昼食を食べたり、授業に参加する。こうした機会を通して、語学力やコミュニケーション力を高め、互いの文化への理解を深めていく。

また、校外学習としてクイーンズランド大学や南クイーンズランド大学を訪問する。大学教授の講義や学生の講演を聞いたり、少人数グループによる英会話の授業を受講するほか、理科実験に関するアクティビティに参加するなど、もりだくさんの内容だ。鎗田康史教諭が言う。

「今回の南クイーンズランド大学への校外学習では、病原体を含むものを実験で突き止めていくといった、ゲーム感覚で楽しめるアクティビティに参加しました。大学の研究室の雰囲気を味わういい機会となったようです。研修などを通して、現地の教育を体験することは、その後の学習へのモチベーションを上げることにつながりますし、語学力アップにも有効だと思います」

最終日には、お世話になったホストファミリーを招いて、さよならパーティーを開催した。内容は紙相撲や折り紙など日本文化を伝えるテーマで、生徒自身が考えたものだ。後藤竜文教諭がこう話す。

「指示を出されてから行動しがちな日本の生徒に比べ、向こうの生徒は早くから自発的に動く教育を受けています。研修中は、現地の先生方やバディがいろいろなアクティビティを通して生徒を引っ張ってくれるので、生徒は少しずつ積極性を身に付け、輪の中に入れるようになっていきました。研修でのカルチャーショックによって、彼らがどう変わっていくか、今後が楽しみです」

この他、台湾のグローバルリーダー研修もある。高校1・2年生を対象に、7泊8日で大学の寮に宿泊しながら、大学の講義を受講し、現地の学生と交流するプログラムだ。

グローバルな取り組みが増えるにつれて、生徒たちの目が海外に向くようになってきたという。それにともなって留学支援制度も整備。海外の学校との単位互換制度を設けた。留学を考える生徒は増加傾向にあるという。宮本教諭が言う。

「今年1月、留学を経験した高3の生徒達が、ハーバード大学から来日した学生を校内案内する機会がありました。その姿に憧れて、校内研修への参加を考える生徒が増えるなど、校内の雰囲気が変わりました。多くのプログラムに参加し、幅広い視野を持つとともに、自ら積極的に行動を起こしていく力を身につけてほしいと思います」

僕はこの研修を通じてさまざまなことに挑戦し、学び、成長することができました。自分が英語で話したことは、理解されなかったことが多く、自分にスピーキング力がないことを痛感しましたが、単語とジェスチャーだけで通じることに気づきました。根気よく話し続けることで相手も反応を示してくれたので、物事をポジティブに考えてどんどんやる気を出すことが大切だと思いました。初対面のホストファミリーに対しても徐々に話せるようになり、コミュニケーション能力は上がったと思います。現地校のバディとも仲良くなれました。ホストファミリーは博物館や動物園に連れて行ってくれたり、食事を作ってくれたり、生活を見せてくれたので、直にオーストラリア文化を感じることができました。今回身に付けたこと、学んだことをこれからも忘れないで実践していきたいと思います。
取材日 2017.8.30
成城中学校・高等学校HP
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