学校完結型の学習環境の下、
英語の4技能を高める英語教育

安田学園中学校・高等学校

「自学創造」を実現するきめ細かな教育プログラムを実践

2014年に共学化し、カリキュラムを大幅に刷新してから、安田学園の大学合格実績は右肩上がりだ。特に注目を集めているのが英語教育。その特色について、英語科の大西洋平教諭に話を聞いた。


安田学園ではここ数年、英語教育に関するさまざまな改革を行ってきた。独自の英語教育について、英語科の大西洋平教諭がこう話す。

「土台となる基本的な知識・技能を身につけつつ、今の時代に求められている英語力を養っていくバランスの良いプログラムがあります。その中で、生徒がいろいろな角度から英語に触れられるような仕掛けをたくさん用意しています」

今年度から高3を除く全学年でオンライン英会話がスタート。毎週1回35分のマンツーマンの授業の中に、音読の練習や質疑応答、フリートークなどが組み込まれ、段階的にレベルアップできる仕組みになっている。大西教諭がこう話す。

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「大学入試改革により、スピーキングとリスニングの力が問われるようになっています。この2つの力を養うためには、1対1で英語を話す機会をできるだけ多くとる必要があります。オンライン英会話では、英語を発信する力とともに、相手の話を瞬時に理解していく力を養います。来年4月からは高3にも導入し、新たに始まる大学共通テストに備えていきます」

また、2020年度から始まる大学共通テストで英語の外部検定試験が必須となる中、安田学園では早くから英検の取得を推進してきた。各学年で目標とする級を設定しており、中3の先進コースで目標としている準2級以上の取得率は過去3年間平均で87%となった。総合コースでも、目標の3級を9割近くが取得している。

早くから勉強の習慣を身につけていく学校完結型の学習環境があることも、安田学園の特色の一つだ。その取り組みを担っているのが学習法体得授業だ。中1から、英語と数学の2教科について授業時間内に予習・授業・復習の一連の流れを集約。その中で予習と復習の仕方を丁寧に指導することで、勉強の仕方が分からない状況をなくしている。その上で行われる週2回の習熟度チェックテストは、基礎基本の問題が中心だ。一定の点数が取れなかった場合は、再度テストを実施して合格できるまで徹底して基礎学力を磨いていく。

この学習法体得授業をさらに進化したものが学習法体得合宿だ。3泊4日の日程で、中1〜3の全員が英・数・国の授業を受けるとともに、予習と復習も自習の形で進めていく。合宿で予習・授業・復習を繰り返すことで勉強の仕方を定着させる狙いがある。この合宿は生徒にも好評で、終わったあとは達成感もあるという。

一方、授業などでインプットした英語の知識や技能をアウトプットする行事も充実している。

中1〜3の年度末に行われるスピーチコンテストもその一つだ。4技能複合型の一大イベントで、自分で設定したテーマを英作文にして発表。予選を勝ち抜いた代表者が英語でスピーチを行う。また、中1〜高1で年5回、高2・高3で年3回実施する英単語コンテストは、覚えた英単語の知識量を競うイベントだ。

「高校生は全員同じ試験を受けて、クラスごとの順位や個人の成績を発表します。こういったさまざまなイベントは、自分の得意な角度から英語に触れられる機会でもあり、生徒のやる気を高めるきっかけになっています」(大西教諭)

海外研修の機会も多く、6年間のうち最低1回は全員が海外を体験している。特英コース全員参加のニュージーランド語学研修のほか、希望者対象のカナダ・オーストラリア語学研修、ニュージーランドまたはオーストラリアの現地校で過ごす3ヵ月短期留学など、多彩なプログラムがあり、参加者も年々増えている。

このうち、先進コースが全員参加するプログラムが高2のグローバル探究・英国だ。

先進コースの授業「探究」では、疑問を設定して、仮説を立て、検証・発表する一連の手法を学ぶことで、思考力・表現力・創造力を養っている。グローバル探究・英国は、その集大成となる。高1の授業で各自がテーマに沿って作成した論文を翻訳。その論文をイギリス・オックスフォード大学のハートフォード・カレッジで、学生や教授に向けて発表・ディスカッションを行っている。

2014年の共学化、カリキュラム刷新から今年で6年。共学後の第一期生が今年高3となった。学力レベルは年々右肩上がりだ。

今後の英語教育について、大西教諭がこう話す。

「英語教育で最も大切なのはバランスです。これからの英語の授業では、英語を使用する機会を増やして、日本語の使用をなるべく少なくしていく予定です。ただ、“聴く”“話す”の2技能に偏りすぎて、文法力がおろそかになることがないよう、深い知識を養った上で、発信する場を設けていく必要があります。その点を注意しながら授業をより良いものにしていきます」

取材日:2019.9.18