少人数教育が特徴のアットホームな環境で
「広尾モデル」を実践

広尾学園小石川中学校・高等学校

「自学創造」を実現するきめ細かな教育プログラムを実践

2018年度から広尾学園と教育連携を開始した村田女子高等学校は、来年2021年4月に広尾学園小石川中学校・高等学校に変わる。校名変更、中学募集の再開、共学化に加え、広尾学園と同等同質の教育を実践していくという。小石川で行う新たな「広尾モデル」の展開について、松尾廣茂校長に話を聞いた。


ー来年、いよいよ広尾学園小石川がスタートします。

松尾 オンライン説明会には非常に多くの方にご参加いただき、「広尾の教育を受けたい」という保護者の方々の強い思いを感じました。広尾学園と同等同質の教育を提供するのが我々の目標です。それが達成できれば、広尾学園との差は立地の違いになります。広尾学園の教育が広まったというイメージになることを目指しています。

ー両校に共通する広尾学園の教育の本質とは何でしょうか。

松尾 広尾学園の教育理念は「自律と共生」です。自律の精神は問題解決能力につながり、共生の精神はコミュニケーション能力につながります。ある人の詩に、「『思い』という種をまけば『行動』という実を刈り取ることができて、『行動』という種をまけば『習慣』という実を刈り取ることができて、『習慣』という種をまけば『人格』という実を刈り取ることができて、『人格』こそが人生を成功に導く」という一節があります。思いからスタートして人格にたどり着くという流れが両校に共通するものだと思います。

ー広尾学園と同等同質の教育を実践するために行ってきたことを教えてください。

松尾 教育連携校である広尾学園から実績のある教員14名と、他の進学校で受験指導に実績のある教員4名が加わりました。また、教科指導力を鍛える「授業力研修」や、教員自身が大学の入試問題を解く「入試研修」などの教員研修を両校で一緒に行います。教員には子どもたちにさまざまなことを語れる「語り部」となることを期待しています。教科指導力と人間的魅力を兼ね備えた教員集団を作っていきます。

ー広尾学園小石川の教育の特徴を教えてください。

松尾 一学年の定員が120名という少人数でアットホームな環境が強みです。子どもたち一人ひとりの強みを発掘できるような教育を実施します。

本校では本科コースとインターナショナルコースという二つのコースを設置します。中学のインターナショナルコースはアドバンストグループ(AG)とスタンダードグループ(SG)に分かれています。

AGは帰国子女など、英語を日常的に使える生徒を対象とし、卒業後の進路として主に海外の難関大学への進学を目指します。SGは入学後に語学力を身につけていき、国内外の大学への進学を目指します。ホームルームの他、美術や技術・家庭科などの実技教科は、AGとSGが合同で外国人教員による英語での指導を受けます。また、帰国子女の生徒が日本との学習進度の差により理系科目を苦手とするという話を聞きますが、AGでは本科コースと同じカリキュラムを英語で展開するため、国内大学の入試問題にも対応できるようになります。

本科コースは、広く学んでいく中で将来の夢を見つけるためのコースです。英語以外のものに関心がある生徒や、興味の対象がまだ定まっていない生徒におすすめです。本校には一緒に夢を考えていく取り組みがあります。

その一つ、キャリア教育では「本物」に触れる体験を数多く実施します。各界の第一線で活躍している方々による特別講演会や、大学の研究室を訪問するツアーなど、広尾学園で成功したものを積極的に取り入れる予定です。また、広尾学園とは姉妹校の関係ですので、本校の生徒が広尾学園の校舎に行って一緒にキャリア教育を受けたり、それ以外の活動においても連携を組んだりしていきます。

ー今後のビジョンについて教えてください。

松尾 短期的な学力ではなく、長きにわたっての学力や人間力を育てていきます。チャレンジする精神を持ち、「思い」という種をしっかりとまける子どもを育成します。そのためには互いにたたえ合う環境が大切です。友だちの成功体験に自然と拍手が出るような学校を目指します。さらに、夢を持ち続けるためには仲間が必要です。仲間のために汗を流せるような強い集団を作り、広尾学園小石川の出身であることで、社会からプラスの評価を受けられるようにしたいです。

ー受験生や保護者に向けて、メッセージをお願いします。

松尾 本校にぜひ来たいという受験生や、具体的なビジョンがつかめていなくても頑張りたいという意思がある生徒は大歓迎です。ただ、そのためには保護者の協力が不可欠です。保護者と学校が同志となって同じ方向を向いて子どもの夢を叶えていけるような関係を目指しています。

また、来年度の中1が高校に内部進学する2024年度から完全中高一貫教育になるため、高校入試は2023年度までしか行いません。3年間は高校の本科コースとインターナショナルコースの募集を行います。高校のインターナショナルコースは本来AGのみですが、3年間のみSGも作ります。広尾学園の高校では本科コースの募集は行わず、SGもありません。したがって、高校から本科コースやSGに入学したいという方もぜひお待ちしています。

取材日:2020.7.8