伝統ある“国学院らしさ”を大切にしつつ、
生徒たちの未来を見据えた変革を進めていく

国学院高等学校

あらゆることに挑戦できる環境を整え、一人ひとりの才能を開花させる

日本の文化やスポーツにゆかりが深く、都心にありながら緑豊かな渋谷区神宮前に校舎を構える国学院高等学校。高校単独校という特色を持ち、男女共学の大規模校という多様性のある環境のもと、「知・徳・体」のバランスのとれた全人教育に力を入れている。今年度から新たに校長に就任した中村彰伸先生は、自身も国学院高等学校の卒業生だ。1982年に教員として着任後、副教頭や副校長を歴任。長年国学院高等学校の生徒や教員と共に歩んできた中村先生に、同校の現在地とこれからの取り組みについて語ってもらった。


―まずは、国学院高校はどのような高校なのかを、ご紹介ください。

都内には数多くの私立高校があります。その中で本校の特徴としては、「高校単独校」、「大学付属校でありつつ上位大学進学志向」、「学業だけでなく行事や課外活動を重視」、「穏健な校風」などが挙げられるのではないでしょうか。

本校は併設中学校のない高校単独校です。また募集時の成績や進路によるコース区分もありません。新たな高校生活に向けて、入学時点で全員同じフィールドから一斉にスタートできます。この環境が、生徒同士の一体感を生み、勉強も課外活動も共に切磋琢磨していく学び合いの土壌をつくっていきます。

大学進学については、多くの生徒が一般入試に挑戦。生徒たちはよく努力し、ここ数年、早慶上理GMARCHといった都内の私立大学を中心に合格者数が伸びています。一方で、毎年2割、100名ほどの生徒が国学院大学に進学。さらに100名前後の生徒が他大学への指定校推薦で進学しています。

学業に力を入れるだけでなく、本校ではクラブ活動や学校行事も盛んです。体育祭や文化祭といった学校行事は生徒が主体となり1800名近い生徒が一丸となって作り上げます。文化祭での在校生の姿に憧れて、本校に入学を決めたという新入生もたくさんいます。

校風については、本校では礼節を大切にしていますが、入学時から比較的真面目で優しい生徒が多い印象です。毎日の学校生活や学校行事などを通して、自然に他者を思いやる心も育っています。

中村 彰伸 校長

競い合い学び合い切磋琢磨できる学習環境

―大学進学実績向上のために、どのような取り組みをされていますか。

本校では、1年次は全員が同じ環境でスタートし、広く基礎科目を学習します。2年次からは大きく文系、理系に分かれます。文系クラスで編成される「チャレンジクラス」は、一般入試で難関大学を目指す希望者が集まったクラスです。入試までの2年間、全員が同じ方向性に向けて努力することで、生徒たちが大きく成長します。理系では「数学Ⅲ」を必要としない入試を想定した「ソフトサイエンス」コースを新たにスタートさせます。多様な入試に対応し、生徒の進路希望に沿った最適な指導体制を進めていきたいと思っています。

一般受験、国学院大学への進学、指定校推薦等の多様な進路選択のため、本校ではこまめな面談を行っています。保護者を交えた三者面談のほかに、学期に1回ずつ面談週間を設け、担任と生徒との面談を行っています。成績や進路の相談のほかにも、学校生活についてなどお互いに話したいことを伝え合う機会となっています。面談に限らず、常に担任など教員に対して生徒が「安心してなんでも話せる」という信頼関係を築くことも大切にしています。

英検を活用して必須となる英語力を強化

―中期5ヶ年計画では「自己を実現し、社会貢献する力の基礎を培う学校」を将来像とし、さまざまな施策を打ち出されています。その中のひとつ、「高い英語力の獲得」についての取り組みを教えてください。

併設の中学校を持たない本校にとって、1年入学時から英語を強化することは大きな責務と捉えています。2023年3月卒業生の実用英語技能検定(英検)2級取得率は87%でしたが、これを95%にすることが目標です。また、準1級以上の取得者も初めて10%に達しましたが、これをさらに増やしていければと考えています。そのために、平素の授業でも標準単位数を上回る配当をし、3年次には独自の演習科目も設定しています。さらに、「英検講習」という1日3コマ5日間の集中講座を年5回開催し、1、2年生に年間3回の受講を必須としています。

また、コロナ禍前までは英語教育の2本柱としていた海外での研修も、昨年12月から徐々に再開しています。今年はオーストラリア、シンガポール、カナダで短期周遊型として実施しました。参加した生徒たちは、現地の大学や家庭を訪問して英語でコミュニケーションを取るとともに、異文化に触れる貴重な経験を得ることができました。今後は、ホームステイ型の語学研修も再開できるように努力をしていきます。

守るものと変えるものを見極めて進化していく

―これからの国学院高校をどのように展開していくのか。校長としてのビジョンをお聞かせください。

今、私学は選ばれるため、生き残るために常に進化し続けることが求められています。本校の母体である国学院大学の歴史と伝統を尊ぶ精神を受け継ぎ、時代を超えて守るべきものを守る一方、社会の要請に応じて変化していくべきものを見極め、進んでいかなくてはなりません。すべての面で、より高く、より広く進化していきたいと思っています。例えば、文科省は、現在3割程度の理系学生を増やすため、理工農系の学部設置等を支援する事業を行っています。社会に求められる人材の育成を念頭に、タイムリーな投資を行うことも必要でしょう。

最初にお話したように、穏健で礼節をわきまえた生徒が多い校風は、本校の大きな財産です。しかし、今後はそれにとどまらず、主体的で論理的な思考力や判断力を持ち、それらを発信できる力や、ものごとの中心となって周囲と協働していくリーダーシップなども必要になっていきます。仲間と切磋琢磨して学び合う環境や大人数の生徒が参加する体育祭や文化祭といった学校行事という本校の強みを活かして、そうした力も伸ばしていきたいですね。

取材日:2023.8.23