TQノートや最先端のICTを活用して、
自学自習力とメタ認知能力を育てる教育

東京都市大学 等々力中学校・高等学校

「ノブレス・オブリージュ」の精神と「グローバル・リーダー」の育成を理想の教育像に掲げる東京都市大等々力中学校・高等学校。社会の変化に対応して最先端のシステムを取り入れるなど、進化を続けている学校だ。大学進学実績も、2年連続で過去最高の実績となった。どのような教育を行っているのか。原田豊校長に話を聞いた。


―御校の教育理念や教育目標を教えてください。

原田 誇り高く高潔な人間性を陶冶する「ノブレス・オブリージュ」の精神を表現した三つの学習者像「共生・英知・高潔」の下で、教育を実践しています。「共生」は、相手を尊重しながら意見を交わすアサーティブな人間関係を構築できる生徒であること。「英知」は、知識が豊富であると同時に、自分を客観的に認識するメタ認知能力が高い生徒であること。「高潔」とは、創立者・五島慶太先生が大切にした熱誠のことで、困難を前にたじろがない、強い心を持つ生徒であること。そういう生徒を育てるために、さまざまな取り組みを実践しています。

―どんな教育を行っていますか。

原田 最も重視しているのが、自学自習力を身につけることです。その根本となるメタ認知能力を強化していくツールとして、「TQ(Time Quest)ノート」があります。日々の生活や勉強のスケジュールを管理し、自学自習の習慣を定着させる、生徒の学校生活を支える土台になる取り組みです。生徒が自ら目標を設定し、達成するための計画をたててTQノートに書き、そのスケジュールに沿って勉強します。中1から高3まで、すべての生徒が書き、教員もコメントを書き加えます。この取り組みを通して学習習慣や規則正しい生活を身につけ、主体的に学ぶ姿勢を養っていきます。

また、2020年度から導入した「システムZ(ゼータ)」は、AIを活用した記憶定着アプリによる英語学習プログラムです。高2までに英検2級を取得することを目標に、毎日課題に取り組む中で、英語学習を習慣化していく効果もあります。

一方、外部のオンライン学習サービスも活用しています。今の時代、アウトソーシングは必要ですが、すべて外部に任せるのではなく、本校のシステムに組み込んでいくことが重要だと考えています。生徒がつまづいているところがあれば、カルテに記入して進路指導の拠点であるアナライズセンターに提出。オンライン学習サービスの最適な学習計画を作ってもらえるシステムを構築しています。

こうしたプログラムの下、本校の生徒は自学自習力をしっかり身につけています。22年に完成した都市大等々力リテラシーセンターは、自習室の拠点として活用されています。1階に進路指導の拠点となるアナライズセンターに加え、教え合いスペースやリフレッシュコーナーを設置。また、2階には約160席の自習室、3階には放課後の講座などで活用するスタディホールがあります。自習室は、毎日ほぼ満席になっています。また、試験前には1階と3階に自習スペースを増設します。その時期は、約400人もの生徒が自習しています。自学自習力やメタ認知能力を身につけ、日々自分を律しながら学んでいる生徒の姿が見られます。そうした自学自習力が、大学進学実績にも結び付いています。

―23年の大学進学実績は、2年連続で過去最高の数値を更新しました。

原田 23年の卒業生は、国公立大に87人、早慶上理に計153人、GMARCHに計458人が現役合格しました。どのカテゴリーも過去最高です。一般選抜のほか、学校推薦型選抜や総合型選抜など、生徒一人ひとりに合った入試形態で合格しています。

現役進学率が約9割と高いことも本校の特色です。進路指導では、高3を担当する教員全員が、生徒一人ひとりの受験校を検討する「マッチング会議」を年3回実施。その上で生徒と面談を行っています。高い現役進学率を実現できるのも、こうした綿密な進路指導によるものです。

―理科教育や国際英語教育にも定評があります。

原田 理科教育「SST(Super Science Todoroki Program)」は、実体験を通して自ら思考し、探究する姿勢を身につける機会です。特にSSTのサイクルの第1ステージである中1・2では、各学年で約100にも及ぶテーマで実験を行います。予習・仮説をたてて実験を進め、まとめていくという学習サイクルを繰り返しながら生徒の好奇心を高め、科学的な思考を養っています。

国際英語教育については、独自のロードマップを作成し、ステージごとの発達段階に合わせた教育があります。特に重視しているのが音読です。最新のICTを組み合わせた独自の音読メソッドを構築しています。このほか、放課後のイングリッシュ講座や、イギリスの名門パブリックスクール「ラグビー校」での海外研修、医療・理系探究型のオーストラリア夏季語学研修など、多彩な取り組みがあります。

―今後の目標について教えてください。

原田 海外大学を目指す生徒が増えているので、組織的に対応していく必要があると感じています。ただ、海外大学に進学しても、将来は日本で活躍できる人材を育てていきたいと考えています。そのためには、歴史や国語など、日本についての知識をしっかり養った上で、海外大学に送り出したいと思います。

―最後に、受験生や保護者に向けてメッセージをお願いします。

原田 さまざまな改革を行い、時代のニーズに合うプログラムを導入してきましたが、改革が終わったわけではありません。常にチェックし、より良いものかどうかを考えながら、刷新しています。自分たちの手で学校の歴史を作っていきたいという気持ちがある受験生に入学してもらい、一緒に学校を発展させていきたいと思います。

中学受験の勉強は大変だと思いますが、合格・不合格に限らず、頑張った経験は必ずどこかで生きてくると思いますので、目標に向かって頑張ってほしいと思います。

取材日:2023.9.19