都会にありながら、
自然あふれる環境で学ぶ

青山学院中等部

青山学院中等部は、フロアごとに各教科の教室や実験室などを設置した“教科センター方式”の校舎で学んでいる。理科フロアは6階にあり、複数の教室や実験室のほか、全方位に庭を配置。自然あふれる環境で本物に触れ、理科への興味を掻き立てる環境が整っている。中等部の理科教育について、理科の青野拓朗先生に聞いた。


―青山学院中等部の理科教育の特色を教えてください。

青野 本校では、本物に触れる機会を大切にしています。理科の授業では、生徒の「なぜだろう」という視点を本質的な学びにつなげることで、理科の面白さが伝わるように心がけています。

本物に触れる機会の一つである実験も数多く実施しています。物理・化学分野の理科1は授業の3分の2が実験です。実験のレポートは、青山学院大の理工学部のフォーマットをもとに作成しています。また、人に伝わるレポートの書き方について、生徒自身が考察できるように、先輩が書いたレポートをフロアの廊下に展示しています。

夏休みなどの長期休みは、興味があるものや本物に触れる絶好の機会です。その一環として、理科では理科新聞や脊椎動物のポスター作成の課題を出しています。理科新聞では、身近なことや興味があることについて自分なりに研究し、その成果を表現します。ポスター作成では、実際に水族館や動物園で生き物を観察してポスターにまとめます。どちらも生徒の個性が光る作品になっています。

一方、多彩な講座の中から興味があるものを選択できる中等部の選択授業の一つに、「理科実験」があります。授業で得た知識を応用し、普段の授業ではできないような複雑な実験にチャレンジしています。例えば、「透明骨格標本づくり」では、2〜3週間かけてメダカやエビなどの標本をつくります。根気がいる作業ですが、生徒たちは意欲的に取り組んでいます。

―教科センター方式の校舎は、生徒にどのような影響がありますか。

青野 理科に興味を持ちやすくなり、授業の質も上がったと思います。理科の6階フロアには、博物館をイメージした様々な展示物を置いています。目で見たり、さわって楽しい仕組みが満載で、あまり意識せずに理科の学びに触れられる環境になっています。また、教員が来るのを待つのではなく、生徒自身が授業毎に教室に足を運ぶことで気持ちを切り替えやすく、学習に対して積極的な姿勢を持てるのもいいと思います。

科学部に入部する生徒も増えました。学校見学や中等部祭などで科学部の活動を知って、本校を志望する受験生も増えてきました。現在は、1〜3年生の約40人が所属し、主体的に活動しています。3年生が後輩を指導しながら、活動内容を決めて実験をしたり、庭の水やりや生物の世話などを担当します。授業で習った知識を応用する機会がたくさんあり、まだ習っていない分野に対しても、興味を持つきっかけになっています。

―理科のフロアには庭がありますが、どのように活用していますか。

青野 庭は、都会にいながらも四季を感じられる空間です。東の庭にはカブトムシが生息しており、授業では幼虫や成虫のスケッチをします。ボトル内で卵から育てて、その一生を観察する選択授業も行っています。学内の落ち葉を肥料として活用するなど、SDGsに関連した取り組みも行っています。

南の庭にはビオトープがあり、四季の変化を感じやすくなっています。メダカやトンボのヤゴなどが生息しており、いろんな生き物が集まるように植栽も工夫しています。南や西の庭ではメロンやシャインマスカット、枝豆を栽培しています。世話をして収穫し、調理して食べるまでの一連の流れを体験。生きるために必要な力を養う機会にもなっています。

―理科の入試問題はどのような特徴がありますか。

青野 理科の入試では、突飛な問題は出題せず、こつこつ勉強してきた受験生が解きやすい問題を出題しています。入学後、より深く学べるように、ただ知識を暗記するのではなく、本質を理解して入試に臨んでほしいと思います。

受験生活では、勉強が中心になると思いますが、博物館などに行って様々な体験をすることも、子どもにとっては必要なことです。ぜひ、子どもが行きたい場所に連れて行ってあげてほしいと思います。

―中等部の魅力を教えてください。

青野 本校には自主性を重んじる校風があり、生徒たちは日々、自分で考えて行動する力を伸ばしています。そんな中等部の良さを、学校見学や中等部祭などを通じて、感じてもらいたいと思います。

また、中等部には受験勉強にとらわれずに全教科しっかり学ぶ体制があります。同じ敷地内に高校・大学があるので、数年後の未来を視野に入れた学校生活を送りやすく、一生の友達ができやすいのも特徴です。気軽に遊びにくる卒業生もおり、そういう先輩・後輩の関係性も魅力だと思います。

取材日:2023.7.31