2024年4月、データサイエンスコース開設!
目まぐるしく変化する社会で生き抜く力を身につける
聖徳学園中学・高等学校
ICT教育やSTEAM(Science・Technology・Engineering・Arts・Mathematics)教育を筆頭に、現代社会の多様な課題に対応するための教育をいち早く導入してきた聖徳学園。2024年4月より、高校で新たにデータサイエンスコースを開設する予定だ。STEAM教育やデータサイエンスに力を入れる理由について、データサイエンス推進室長のドゥラゴ英理花教諭と、学校改革本部長の品田健教諭に話を聞いた。
—データサイエンスという学問に着目したのはなぜですか。
ドゥラゴ 私たち日本人は、今まで勘と経験に頼って物事を決める傾向がありました。もちろん、それは大切なことですが、予測不可能な社会においてはデータに基づいて科学的・合理的に判断するのが必要です。現在、私たちはさまざまなデータに囲まれて生活しています。これからの社会を担う子どもたちにとって、そのデータをいかに扱うか、また、そのデータからどうやって価値を創造していくかが大切な力になってくると考えています。
品田 ある国の課題を見つけてそれに対する支援策を考えるという授業に取り組む際に、生徒が設定する課題の根拠が非常に感覚的なものが多く、客観性に欠けていました。今はiPadを使って大人が扱うものと同じデータに触れることができるので、きちんとした根拠をもとに、なるべく正確に判断して物事を考えてほしいと思い、データサイエンスの導入を決めました。
—データサイエンスコースの目的を教えてください。
ドゥラゴデータを駆使して創造的な思考力や探究力を身につけること、それに加えてコンピテンシーの育成を目指しています。コンピテンシーとは、非認知能力と呼ばれるもので、勉強だけでは育成できないコミュニケーション能力や、共感する力といった人間力を指します。本コースでは知識習得だけではなく人間性も同時に育成することを目的としています。
—データサイエンスコースの学びはどのように展開されますか。
ドゥラゴ データサイエンスというと理系の科目のように思われるかもしれませんが、データサイエンスは科学でありながら私たちの生活を豊かにする実学といえます。したがって、文理融合型の学びができるよう、従来の教科のような学びが分断されているのではなく、横断的に勉強できるようなカリキュラムを設計しています。それと同時に、多種多様なデータを広い視点から考察するには、英語力も必要ですので、いくつかの教科は英語での授業実施を考えています。
—STEAM教育とデータサイエンスはどのように関連しますか。
品田 本校では課題解決のツールのひとつとしてSTEAM教育に取り組んできましたが、データサイエンスも同じです。STEAMの授業の前半ではAIの機械学習について紹介しましたが、そのときは興味を持たなくても、将来何かをやりたいと思ったときに、AIの機械学習でできるのではないかと思い出してくれればいいなと思っています。
データサイエンスに関しても、データサイエンスの技術の習得が目的ではなくて、それを使って何ができるのかというのを教えていきたいです。データサイエンスではプログラミングも扱いますが、最終的にプログラミングがあまり得意でなくても、プログラミングで何が解決できるのかを知っていれば大丈夫です。アイディアさえあればできる人に頼めばいいので、将来的にビジネスにもつなげることができますよね。
—これからの聖徳学園が目指すものは何ですか。
品田 STEAM教育もデータサイエンスもそうですが、生徒に「学ぶ手法」を教えていきたいです。大人になってからも学び続けられる人になるために、知識だけでなくあらゆる学びの手法を身につけてもらいたいです。卒業した生徒が将来、新しい道を切り拓いていく助けになるような教育を実践していきたいですね。
—最後に、受験生や保護者にメッセージをお願いします。
ドゥラゴ これからの学習で必要なのは生徒の多様性を受け入れた個別最適化された学びです。STEAM教育や探究学習を通して自分の興味・関心を探り、学びたい方向性が定まったらそれらの技能や能力をいかにして高めていくかを考えて学習していけば、自分にしかできない何かを創造することができるでしょう。聖徳学園は生徒ひとりひとりの特徴を生かすための様々な進路の選択が可能であり、また各生徒が自身に合った学びを組み立てられるようなサポート体制が整っている学校だと思います。
品田 自由に活動できる学校です。中高の6年間で、自分がやりたいことを見つけてチャレンジしたいと思っている人におすすめです。例えばプログラミングに関しては、もっと学びたいという生徒向けに放課後講座も設定しています。少人数しか集まらない場合でもきちんと対応してくれますし、さまざまなことをやってみたい人はきっと学校生活を楽しめると思います。
STEAMの授業
「授業のワンポイントレッスンムービーを作ろう」
夏休み明け最初の授業の課題は、iPadの動画編集アプリ「iMovie」とプレゼンテーション用アプリ「Keynote」を使った動画作成。授業の前半は、生徒の興味を引くような科学技術に関する話題だ。今回はAIの機械学習についての紹介。品田教諭がまず動物の写真を用いて概念を説明してから、AIの機械学習で具体的に何ができるのかを教える。例に出たのは、農家の人がキュウリをサイズ別に選別する仕分け作業を、AIを使って効率的に行っていることや、Googleが公開している画像の機械学習モデル「Teachable Machine」を使ったじゃんけんゲームだ。授業の後半は本題に戻り、これから取り組む課題についての解説だ。2学期の中間考査までの教科・科目から内容を選び、30秒前後で解説する動画を作る。背景となる板書の部分をKeynoteで、撮影した動画の合成をiMovieで行う。これから数回の授業を経て課題を提出するそうだ。
取材日:2022.8.26