今年100周年。高校単独の男子校として、
文武両道を追究する

保善高等学校

探究学習を通じて、社会を生き抜く力を養う未来考動塾

今年100周年を迎えた保善高校は、都内で数少ない高校単独の男子校だ。勉強と部活動を両立しやすい居心地の良い環境があり、大学の現役進学率も高まっている。保善高校の教育の特色やこれからの100年に向けた抱負について、副校長の安永武仁先生に話を聞いた。


―保善高校のカリキュラムについて教えてください。

安永 特別進学・大進選抜・大学進学の三つのクラスがありますが、すべてのクラスで共通しているのが大学進学を目指している点です。本校のスローガン「新しい自分・自分が望む自分」を創るために、早くから自分の適性や志望大学を明確にして勉強に取り組んでいます。特別進学クラスは国公立大や早稲田大や慶應義塾大などの難関私立大、大進選抜クラスはGMARCH(学習院大・明治大・立教大・中央大・法政大)などの難関私立大、大学進学クラスは中堅以上の私立大など、将来の目標を実現するクラス別のカリキュラムがあります。

普段の授業はもちろん、授業以外でも学力を高める取り組みを数多く行っています。主要3教科の月例テストで基礎学力を高めていくほか、サマーセミナーや放課後補習なども充実しています。今年から、希望者対象のオンライン英会話講座もスタートしました。

副校長|安永 武仁 先生

また、各種検定試験に取り組むことも奨励しています。特に、英検は年に最低1回は受検することを目標に、対策講座を実施。取得した生徒を表彰する機会も設けています。

学校全体の現役進学率が高いことも本校の特徴で、23年度は86%でした。高2・3の2年間はクラス替えがなく、同一の担任が生徒一人ひとりの進路を把握して、手厚く指導していることも実績に結びついています。

―文武両道も特色の一つです。

安永 文武両道の校風があるので部活動は盛んですが、勉強との両立を何より重視しています。部活動に積極的な生徒は、学業でも優秀な成績を修めており、大学への現役進学率も高くなっています。部活動で勉強時間が限られる分、時間の使い方を工夫して効率よく勉強する習慣を身につけているからです。

また、本校には全国大会を目指す5つの強化指定クラブがあり、日々積極的に活動しています。特に空手道部は、毎年インターハイに出場しています。陸上競技部も、投てきなどの専用グラウンドはないものの、高校から始めた生徒が全国大会に出場するなど、指導体制が整っています。

文化部も多彩です。今年、釣り研究部は、東京湾で釣り上げたマアジの重さを競う大会(VARIVAS CUP 2023)に出場して、5位に入賞しました。この他、写真部や科学部など、文化祭などで活躍する文化部も数多くあります。

―特別進学クラスの未来考動塾にはどのような取り組みがありますか。

安永 未来考動塾は、教科指導の枠組みを超えた科目横断型の授業です。1年次では自ら問いを立てて調査し、成果を発信する探究学習の仕方を学びます。例えば、「新宿まちづくりコンペティション」では、新宿区の現状や課題を知り、解決策を探って、最終的に新宿区長の模擬選挙につなげていきます。2年次では、修学旅行で訪れる沖縄を舞台に探究学習を実施。また、3年次では、「大学の学問」「大学入試」「高校の学び」の三つの要素を交えた「知の三叉路」の企画に取り組み、3年間の集大成である卒業論文につなげていきます。

また、未来考動塾の一環として、OBセミナーも開催しています。OBとの交流をきっかけに、将来自分がどう生きていくのか、何をやりたいのかをじっくり考えてほしいと思います。

未来考動塾がスタートしてから、生徒の主体性が高まっていると感じています。この取り組みを参考に、大進選抜・大学進学クラスでも新たな探究学習のプロジェクトの導入を検討しています。

―今年100周年を迎えました。

安永 100年続けてきた人間性や自主性、国際性を養う教育は、この先も変わらず続けていきます。

記念事業の一環として、体育館の冷暖房施設を整えました。また、ほとんどの教室に電子黒板を設置するなど、ICT環境も整いました。本校では一人一台iPadを使用していますが、社会に出たらPCが必須になります。キーボードの操作が必要になりますから、その力をしっかり身につけさせたいと考えています。

ICT化が進む一方で、課題もあります。国語科では、生徒の文章力が落ちていると感じることがあります。文章力や会話力の土台となる「読む」「聞く」力を養うために、朝読書も取り入れました。この他、基礎学力を高めていけるように、検定などにもより積極的に取り組んでいきたいと思います。

―受験生や保護者に向けて、メッセージをください。

安永 入学時に全員が同じスタートラインに立てるのは高校単独校の特色の一つで、居心地の良さを感じる部分だと思います。16〜18歳の大切な時期、充実した高校生活を送るためには、伸び伸びとやりたいことができる学校を選んでほしいと思います。生徒が多様な進路に進む本校の場合、自分の将来について様々な可能性の中から選択できることが魅力です。ぜひ説明会に参加して、生徒の様子や学校の雰囲気を体験してください。

取材日:2023.8.2