社会で活躍するための素地は中高の6年間で培われた
卒業生と教員が語り合う獨協の魅力

獨協中学・高等学校

男子校として140年を超える歴史を誇る、獨協中学・高等学校。完全中高一貫制の男子教育にこだわり、長年「知性」「感性」「人間性」を備えた人材を輩出してきた。同校で学び、育った、大澤哲人さん(会社社員)、嶋津裕人さん(金融機関職員)、木場拓海さん(研修医)、米山徹朋さん(大学院生)、石川悠人さん(大学院生)ら5名の卒業生と、彼らの担任を務めた松尾和明先生が久しぶりに集合。中高時代の思い出を交えながら、獨協での成長の軌跡について語ってもらった。


―まずは簡単な自己紹介をお願いします。

大澤 お香や書画用品の老舗企業に勤め、現在は百貨店の販売に携わっています。松尾先生の授業をきっかけに古典が好きになったこともあり、日本の伝統文化に関わる企業に就職しました。

嶋津 グローバルに働きたいという思いと、金融の仕事に憧れがあったので、投資銀行に勤め、金融で世界と関わっています。中学時代は英語が苦手でしたが、シアトルでの海外研修を経験して以来、海外に興味を持つようになり、英語にも力を入れました。

木場 現在都内の病院に研修医として勤務しています。中学時代は医師のほかIT分野にも興味があったのですが、高1の時に父を白血病で亡くしたことで、医師を目指す決意をしました。

米山 祖父を肺がんで亡くした際に、病巣を捉えながらも手術ができなかったことで、道具である医療機器に興味を持ち、中学の卒業論文で医療機器をテーマにしました。大学は理工学部に進んだのですが、修士から研究分野を医工学に移しました。博士に進むかを迷っていた時、奇跡のような偶然なのですがバーで中学の卒論で取材をした教授と医療機器メーカーの会社の方と出会い、当時の論文を褒めていただいたことから、研究を続けることを選びました。今は医療機器開発研究とあわせて、その技術を社会で役立てる技術経営学の研究にも携わっています。

石川 大学院の分子生化学研究室でミトコンドリアの研究をしています。自分のアイデアを生かしながら新しいことに戦略的に取り組み、研究を進めたいと考え、博士課程に進みました。計画的な姿勢は『獨協手帳』で育まれ、サッカー部のキャプテンやコーチのポジションでも生かしてきました。

左:大澤 哲人さん/右:米山 徹朋さん

部活や文化祭、修学旅行など忘れられない思い出ばかり

―中高時代の印象的なエピソードはありますか?

嶋津 高2で文化祭実行委員長を務めた際に、「innovation」というテーマに合わせて新しいことに挑戦したいと考え、他の学校と共同での企画を考えました。松尾先生が担当で、前代未聞のアイデアにも真剣に向き合ってくれたのがいい思い出です。

松尾 学校として守らなければいけないラインがあるため、時に彼らの前に立ち塞がる壁のような役割もしていましたが、彼らは努力と工夫を重ねてその壁を乗り越えました。「innovation」はその後の教員生活のテーマにもなったほど、私にとっても非常によい経験になりました。

木場 真面目な話では高1での病院の職場体験です。その後の進路決定の際に、現場の様子などを知っていたことが大きな助けになりました。楽しかったのは高2のハワイ修学旅行で、マウナケアに登って見た星空はものすごく美しく一生の思い出になりました。

米山 中高続けたラグビー部では人間力が鍛えられました。顧問の先生の「勉強よりも自分が何をやりたいかだ」という言葉は人生の指針にもなりました。OBとの交流も盛んで、中高の頃にたくさんの大学生、社会人の先輩方と出会えたのは貴重な経験になりました。

石川 獨協の先生は専門性の高い先生が多く、どの授業もすごくおもしろかったです。ほかにも学校行事で山登りなど自然に親しむ機会がすごく多くて、今でも獨協の仲間で集まると自然豊かなところに足が向きますね。

大澤 高3の時に朝講習があり、受験のために受講していました。正直、毎週朝早くて大変だったんですが、志望大学合格のために努力できる機会を提供してもらえたことはありがたかったです。

左:木場 拓海さん/右:石川 悠人さん

生徒の個性を大切に真摯に向き合う教員の姿勢

―先生から卒業生の皆さんの思い出を教えてください。

松尾 印象深い生徒ばかりに来てもらったので思い出は語り尽くせません。まず大澤君は穏やかですが、芯が強くやると決めたことをやり遂げる生徒でした。中高時代に古典に興味を持ち、受験勉強を乗り越え、大学で国文学を学び、今も日本の伝統文化に関わる仕事に就くなど、筋が一本通った生き方をしていると思います。

嶋津君は先に話にあったように文化祭でリーダーとしてみんなを引っ張り、成功に導きました。同じ時期に推薦入試に備えた外部活動にも力を入れ、かつ成績も飛躍的に伸ばした頑張りには驚かされました。

木場君は中2で担任を持った時のクラス開きに全然参加してくれなくて、途方に暮れました(笑)。けれど、医学部進学を決めてからは一転して勉強に打ち込みましたね。今は研修医として仕事をするだけでなく、ひとり親家庭の支援もしているとのことで立派に成長した姿に感動しています。

木場 中高時代は反抗期で、中2から担任だった松尾先生にはずっと叱られていた記憶があります。でも、見放すことなくずっと叱ってくれたことに、今では感謝しています。

松尾 米山君は優等生で、学級委員としてクラスのまとめ役もしてくれました。本人の話にもあったように、中3で医療機器について100枚を超える卒論を書き、今、大学院でその研究をしている。「志」を持った生き方を体現していると思います。石川君は中1・3、高1と担任で私が顧問を務めるサッカー部でキャプテンでした。卒業後にコーチとして戻ってきた時は感慨深いものがありました。

左:嶋津 裕人さん/右:松尾 和明 先生

実り多い6年間を過ごすことで社会に貢献できる人材が育つ

―最後に獨協のよさをアピールしてください。

大澤 中高時代は自分の好きなものに思い切り打ち込むことができました。そういう姿勢を先生も仲間も否定せず応援してくれるのが、獨協のよさだと思います。

嶋津 ポジティブマインドが育成される環境だと思います。中学の時は成績がまったく振るわなかったのですが、高校から推薦目指して頑張ろうとなったら、「がんばろう」「やれる」と前向きに応援しれくれました。

木場 私は外国生まれなこともあり、自由な校風はすごく合っていました。なおかつ中学生時代は手のかかる生徒だったと思いますが、熱心に関わってくる先生が何人もいたからこそ、今もこうしてつながりが持てています。

米山 獨協は少数精鋭で深いところまで教えてくれる先生が揃っていて、知的好奇心を育ててくれます。

石川 自主性と人へのリスペクトが学べます。自主性は先生が生徒を信頼して任せてくれるからこそ育ち、リスペクトは先生が生徒に思いやりを持って接してくれる姿から、学びとることができたと思います。

松尾 今日こうして卒業生の皆さんに会って、それぞれが社会に貢献しているのがわかり嬉しく思いますし、まさにそんな人材が育つことが本校の魅力だと思います。彼らは6年間本当に生き生きとした学校生活を送っていました。新たに本校で素晴らしい学校生活を送る仲間を待っています。

取材日:2025.9.20