主体的に活動する多彩な場所がある
チャレンジ精神を満たす本郷の教育

本郷中学校・高等学校

本郷中学校・高等学校は創立100年を超える伝統校だ。創立以来、校訓である「強健・厳正・勤勉」のもと、社会の第一線で活躍するリーダーを数多く輩出してきた。独自の本数検をはじめ、生徒のチャレンジ精神を刺激し、可能性を広げていく多彩な取り組みがある。今年4月から中学教頭に就任した渡邉宣武先生に、三つの教育方針「文武両道」「自学自習」「生活習慣の確立」の具体的な取り組みや、男子校の魅力について話を聞いた。


―教育の特色についてお聞かせください。

渡邉 「文武両道」「自学自習」「生活習慣の確立」の三つの教育方針を実現する様々な取り組みがあります。「文武両道」では、通常の授業とともに、クラブや委員会などの課外活動、学校行事に積極的に取り組むことを重視。学年を超えた縦のつながりの中で仲間と切磋琢磨し、社会性を養う機会になっています。限りある時間を有効に活用しながら、チャレンジする力も身につけてほしいと考えています。

「自学自習」の特徴的な取り組みに、本数検(本郷数学基礎学力検定試験)があります。長期休暇直後に実施する数学のテストで、得点に応じて級や段が認定されます。生徒のチャレンジ精神を刺激する行事として、多くの生徒が意欲的に取り組んでいます。

「生活習慣の確立」については、生徒が自ら気づけるような指導や対話を心がけています。また、中1から日々の振り返りができる手帳を活用。自己管理能力を高めつつ、大学進学など自分がイメージする近未来に向かって具体的に計画する力も養ってほしいと思います。

中学校教頭|渡邉 宣武 先生

―主体的に活動する生徒が増えているようですね。

渡邉 生徒一人ひとりが能動的に思考し、様々なことを主体的に決める学校へと変化しつつあります。主体性が高まる中、学校への帰属意識も高まっています。

特に、生徒会が積極的に活動しており、5年前には生徒会が中心となって、通学カバンにリュックサックを導入。靴下の変更についても議論を重ね、本校のモットーである「スマートであれ、紳士であれ」を体現した複数の色を取り入れました。校則を考える会も立ち上げて、本校OBでスクールロイヤーの経験がある弁護士とともに活動しています。

最近は言われたことに疑問を持たず鵜呑みにしてしまう人が多いようですが、クリティカルシンキングも大切です。脳に汗をかくように自分の頭で考えて、自分の意見をアウトプットできるようになってほしい。たとえ意見が異なっていても、互いを知るための楽しい対話になると思います。

―クラブ活動も盛んです。

渡邉 クラブ活動は、成し遂げる力や継続する力を養う絶好の機会です。本気で取り組むことで、成績以上に大きなものが得られます。勉強とクラブを両立させながら心と身体を鍛え、誇りと自信を獲得して、人としての幅や人間的な豊かさを身につけてもらいたいと考えています。

勝利至上主義で

はありませんが、運動部、文化部ともに好成績を収めているクラブは多く、運動部は全国大会に出場経験があるラグビー部をはじめ、フェンシング部やバレーボール部、サッカー部、陸上競技部などが活発に活動しています。

地学部や科学部、社会部といった文化部の活躍も目覚ましいものがあります。軽音楽部は一昨年の大会でベストボーカル賞とベストドラム賞を受賞。男子校では珍しい料理研究部は豊島区の大会で優秀賞に輝きました。数学同好会も外部のコンテストで受賞経験があります。応援団は今年、高校応援団フェスティバルに参加。応援団がある学校は減っていますが、彼らの活動をみていると、逆にこちらが応援したくなるような素敵なエールを届けています。

―大学進学に向けて、どんな指導をしていますか。

渡邉 大学進学は、生徒自身が将来に対する明確なビジョンを持つことが前提となります。強い志望意識を養うために、講演会や調べ学習、大学訪問など、様々なプログラムを用意。生徒が自問自答を重ねながら進路を決められるようにサポートしています。

順天堂大学との高大連携は3年目を迎え同大学医学部から、これまで貴重な学びの機会を得ています。最前線の医療現場からのダイレクトな情報により、生徒たちは視野を広げ、その挑戦に向けて強い関心と意欲を喚起されています。

―男子校にはどんな魅力がありますか。

渡邉 どんな学校にも特有の文化がありますが、本校には男子校ならではの一体感や仲間意識の強さを感じます。体育祭や本郷祭などの学校行事を生徒が運営していることも一体感を生み出しやすいと思います。また、異性がいない分、気取らず自然体で過ごせる雰囲気があります。同じ目標に向かって協働する中、調和を図りつつも互いを高め合うように競争する。そのバランスが、成長につながっています。

ただ、卒業後は女性と協働することになりますので、そういう機会も積極的に設けています。順天堂大との高大連携プログラムでは女子校とコラボした取り組みを実施。クラブ活動でも交流する機会があります。異なる文化を持つ者同士、互いの違いに気づき、共有し合うことは人生を豊かにします。こうした企画は生徒を成長させる波及的効果があります。

―受験生に向けて、メッセージをお願いします。

渡邉 本校には多様な生徒が活躍しやすい環境があります。その中で、5年後、10年後をイメージしながら、思考力や判断力、探究心を養ってほしい。心と身体が成長する6年間、互いに刺激し、高め合う中で無限の可能性を広げ、未来を創造していきましょう!

取材日:2025.7.29