心の教育と最先端の取り組みで
アントレプレナーシップを養う駒込イズム
駒込中学校・高等学校

1682(天和2)年設立の勧学講院を前身とする駒込中学校・高等学校は、今年創立343年を迎えた。1925(大正14)年に現校名になり、今年で100周年だ。人間教育と、ICT教育やSTEAM教育などの最先端の取り組みを融合させた教育を実践。中学・高校ともに人気がアップしている。利他心の教育のもと、生徒のための学校づくりを進めている河合孝允校長に、学校の特色について話を聞いた。
―今年100周年を迎えました。
前身の勧学講院から数えると、今年は創立343年目。大正15年に駒込中学校に校名を変更してから今年で100周年になります。他者を思いやる利他心の教育を行う仏教校として、生徒のための学校づくりに取り組んできたことが長きにわたって支持されている最大の理由でしょう。生徒と教員、保護者が三位一体となって学校づくりを進めていることも特色の一つです。保護者の皆様も直接、生徒の活動を支援してくださり、その予算規模は毎年5千万円以上。これも本校ならではの特徴だと思います。
100周年を迎えて様々な企画が進行中です。ハード面では、生徒が楽しく過ごせるカフェスペースを併設した部室棟の建設を進めています。11月に完成予定です。また、本校は全教室にプロジェクターや電子黒板、wi‒fi環境を整えています。これをバージョンアップし、授業のレベルをさらに上げていきます。生徒たちの憩いの場であるサンクンガーデンのモザイク壁画も拡充します。
生徒による「100周年記念実行委員会」も立ち上げました。90余名の生徒が集まり、記念誌の企画・編集を進めています。年明けの1月には生徒主催の記念式典を行う予定です。
―御校の生徒の特徴を教えてください。
本校には、その生徒がいるだけでクラスやクラブが明るくにぎやかになる「ハブノード=つながりの拠点」となる生徒がたくさん入学してきます。そういう生徒たちが自分のオリジナルな発想で考えたことに、仲間と一緒に取り組むシーンをよく見かけます。
学校づくりで一番大切なことは、生徒の居場所となる空間をどう保障するか。本校の生徒たちは、一人ひとり異なる個性を輝かせながら学校生活を送っています。
クラブ活動や課外活動も活発です。全国大会で優勝し、世界大会で金メダルを獲得した和太鼓部、フジテレビの「ハモネプハイスクール アカペラ選手権」で全国5位に輝いた合唱部など、外部の大会に出場し、入賞したクラブは少なくありません。また、今年高2の生徒が空手道の東京大会で第3位に入賞。全国選抜大会出場に向けて挑戦を続けています。
―ICT教育やSTEAM教育など、最先端の教育に定評があります。
ICT教育については、先進事例校として高い評価を受けています。STEAM教育を導入している理系先進コースは、「埼玉大学STEM教育研究センター」と連携した探究の授業を展開。自走ロボットや農業支援ロボットなどを開発して外部コンテストで入賞した生徒。地域活性化の懸賞論文に応募して金賞を受賞した生徒。東京都主催のコンテスト「スタートアップゲートウェイ」で優秀賞に輝き、ベンチャー企業を2社立ち上げた生徒など、生徒たちの活躍は目覚ましいものがあります。
グローバル教育ではオセアニアを含めたアジア・太平洋地域での教育を強化し、国際社会で活躍できるリーダーを育成しています。
海外研修も盛んです。夏休みに行うマルタ島語学研修をはじめ、高1のオーストラリア・ニュージーランド留学、オールイングリッシュで行う2泊3日の英語キャンプ、ハワイスタディツアー、高2のシンガポール&マレーシア修学旅行など多彩なプログラムがあります。
―人間教育の取り組みについて教えてください。
比叡山研修や日光山研修など、利他心を育てる仏教行事を数多く実施。自己を見つめる「気づき学習」になっています。こうした非日常の体験を積み重ねている生徒たちは、つらいときに般若心経の一行で自分の心を取り戻すこともあるでしょう。般若心経の言葉自体、すべての人に共通する意味や意義、真実を伝えているわけではなく、その言葉をそれぞれが受け止め、心の中で生かしていくのです。数々の体験のもとで自分を見つめ、自己認識ができる生徒を育てていく。それが仏教校としての本校の役割です。
伝統や歴史を受け継ぎながらも、OECDが進めるPISA型教育にも取り組んでいます。高度情報化時代を迎えた今、求められているのがアントレプレナーシップ(起業家精神)です。10年先、20年先の日本について考え、誰もやらないからこそ、自分がやるという強い意志を持って社会で活躍する生徒を育てたい。そのために、改革を続けていきたいと思います。
―どんな受験生に入学してほしいですか?
子どもは神仏からの大切な授かりもの。「国の宝」としてお迎えしています。
乳児期は手を離さず、少年少女期は目を離さず、思春期には心を離さずというのが子育ての常道ですが、今は思春期になっても親離れ、子離れできない家庭が増えているようです。子ども自身が持つ生きる力、成長する力に委ねてほしいと思います。
小学校時代は不登校だった子が入学するケースもありますが、本校では勉強に、部活動に、楽しく過ごしています。生徒たちには自ら目覚め、自己肯定感をもって生きていく力を身につけてほしい。そのために、子どもの個性を無条件に受け止めるフレキシブルな学校創造に力を注いでいきます。
―受験生や保護者に向けてメッセージをお願いします。
学校に足を運ぶと校風が分かるので、自分の力を発揮できそうな学校を受験してください。駒込にも、ぜひ遊びにいらしてください。生徒たちの笑顔が皆さんをお待ちしています。良い友達が欲しかったら、良い友達になりましょう!
取材日:2025.9.19
