チャレンジすることで、世界に貢献する力を養う
PBLインターナショナルコース共学1期生の歩み
武蔵野大学中学校・高等学校

自然に恵まれた、落ち着いて学べる環境が魅力の武蔵野大学中学校・高等学校。仏教精神に基づく「こころの教育」を実践し、豊かな人間性を養う学校だ。中学では、"グローバル&サイエンス”をテーマに、探究心と自主性を育てる教育を実践。高校ではハイグレードコース、PBLインターナショナルコース、本科コースの3コースを設置。いずれのコースも探究に力を注ぎ、将来の進路につなげていくカリキュラムがある。ここでは、PBLインターナショナルコースの特徴について、2024年4月に校長に就任した原田豊先生、同コース長の桑原千鶴先生、同コース(中学共学1期生の)卒業生で現在、国際基督教大学1年生の長谷川嘉瑞さんに話を聞いた。
―武蔵野大中高の特徴についてお聞かせください。
原田 校長に就任したときの最初の印象は、教育の骨子がしっかりしている学校だということです。「熱量」と「チャレンジ」を合言葉に、生徒の好奇心を刺激する仕掛けがたくさんある。高校には、各コースの特徴に合わせた探究プロジェクト「MAP」がありますし、中学では探究の基礎力を養う言語活動やPBLの授業を行っています。PBLインターナショナルコースも独自の取り組みの一つです。探究力と発信力を養う多彩な取り組みが、学校全体の元気の源になっていると感じます。

―PBLインターナショナルコースはどんなコースですか?
桑原 PBLインターナショナルコースは「英語」「留学」「探究」を柱に、世界に貢献するための起業マインドを養うコースです。国際色豊かな大学や海外大学進学を視野に入れています。最大の特色は1年間の留学プログラム。コース在籍生徒の半数以上が留学を希望しています。留学しない生徒についても英語をしっかり勉強する体制が整っています。また、同コースでは高1・2でアントレプレナーシップ講座を実施。外部の企業と連携して、新しい価値やビジネスプランを創出する講座です。可能性を広げ、将来の進路につなげるプログラムになっています。
―在学中、印象に残っていることはどんなことですか。
長谷川 最も記憶に残っているのがニュージーランドへの1年間の留学です。日本と異なる環境で、常にチャレンジが求められる状況でしたが、自分の弱さと向き合い、できないことを受け入れつつ、何ができるのかを考える機会になりました。在学中はバスケットボール部に所属していたので、現地の高校でも入部しましたが、あまり話してくれず、パスをくれない生徒がいました。経験したことがない状況に戸惑いましたが、自分から話しかけたり、積極的なプレーでアピールしたりしながら乗り越え、最終的にはみんなに頼ってもらえるようになりました。

―在学中、印象に残っていることはどんなことですか。
―アントレプレナーシップ講座では何を学びましたか?長谷川 自分たちで身近な問題を発見し、解決策を見出していくプロセスを学びました。私が取り組んだのが、ジェンダーギャップについて。実際に課題を抱えている人へのインタビューもして、解決に向けて取り組みました。この経験を経て、身近には意識しないと気付かない問題が山積みしていることがわかりました。
桑原 アントレプレナーシップ講座は、自分たちで課題を解決していくマインドセットをする講座です。社会に貢献する力を養うために、大学で何を学ぶべきかを考える機会にもなっています。プロジェクトを通じて、当事者意識をもって課題に取り組み、人間力の高さや人としての包容力を養います。
―将来の進路についてお聞かせください。
長谷川 将来、人と関わる仕事がしたいと考えていますが、早い段階で専門を決めるのは難しいと感じました。国際基督教大学は3年次から専攻に分かれるので、2年間じっくり考えた上で自分の専門分野を決められるのが魅力です。学問を幅広く学び、その中から本当にやりたいことを見つけたいと思います。
―武蔵野大中高の魅力を教えてください。
長谷川 先生との距離が近いのが魅力です。環境面も恵まれており、運動場や体育館はきれいで過ごしやすいです。また、僕が好きだった図書館には人工芝のスペースがあり、授業でもよく利用されていました。最近完成した創造的な学びの施設「MUseion(エムユーセイオン)」も居心地がよさそうです。勉強や探究活動、部活動と忙しい日々でしたが、自分なりに時間配分をしながら、充実した6年間を過ごせました。
桑原 コツコツと学び、ワクワクしながらいろんな活動に力を注げるところが本校の魅力です。長谷川さんはそれを実践した生徒で、幅広い分野で活躍してくれました。

原田 困難にたじろがず、自分をコントロールしながら頑張り続けるのはメタ認知能力の高さ。留学中、長谷川さんが困難に立ち向かう強い心を育んだことは頼もしいですし、留学しない生徒も部活動や特別活動を通してそういう体験ができるのが本校の魅力です。本校にはメタ認知能力が高い生徒が多いですが、それには仏教精神を基盤とする奥行きの深い教育が結びついているとも感じています。
―今進めている改革についてお聞かせください。
原田 今年度から中1・2の理科は、実験中心の授業スタイルになりました。学校行事や探究プロジェクトの前後で、生徒のコンピテンシーをはかるテストも今年度から導入しました。また、メタ認知能力を鍛えるためには、振り返ることも大切です。本校は、ムサログという時間管理手帳を使用し、日々の振り返りをしやすくしています。今進めている取り組みをさらにブラッシュアップし、より実りあるものにしていきますので、「熱量」をもって「チャレンジ」したい受験生をお待ちしています。

取材日:2025.7.24