茶道や箏楽を通して日本文化を深く知り、
仲間とともに努力することで“心”の力を伸ばしていく

麗澤中学・高等学校

麗澤中学・高等学校では、部活動においてもスポーツや芸術文化活動を通して、生徒たちの"心”の力を伸ばすことを大切にしている。文化部では書道や競技かるた、和太鼓など日本文化に触れることができる部が多くあることも同校の特色の一つ。今回は茶道と箏楽の活動を行う中高合同の日本文化部を紹介する。5年生(高校2年生)の部員であるA・Mさん、T・Kさん、T・Mさんの3名に集まってもらい、部活動の楽しさや成長できたことなどについて語りあってもらった。


―日本文化部に入部した理由を教えてください。

A・M 私は小さな頃から「かぐや姫」の物語が好きで、お箏などの日本文化に憧れを持っていました。麗澤中学に入学したところ日本文化部という私の希望にぴったりな部があったのですぐに入部しました。

T・K 私は自分の名前に音楽に関連した漢字が入っていることから楽器を演奏したいと思っていて、その中でもお箏は今まで触れたことがなかったので、興味を持ちました。また、小学校の茶道クラブが楽しかったので、またやりたいと思ったことも理由の一つです。

T・M 私は小学校の社会科の歴史の授業がきっかけで日本文化に興味を持つようになりました。また、6年生の音楽の時間にお箏に触れる機会があり、演奏をしてみたいという思いを抱いていました。麗澤を受験したのも日本文化部があるからで、無事に合格できたときはとても嬉しかったです。

箏楽や茶道の稽古を通じて日本文化を体験的に学んでいく

――まず、お箏ではどんなことを心がけて演奏をされていますか?難しさや魅力について教えてください。

A・M お箏の演奏では弾いている間だけではなく、弾いたあとの余韻が大切と教えていただいています。この余韻を楽しむという部分は、たとえば花火などほかの日本文化にも通じるものがあります。聴いてくださる方にしっかりと余韻を届けられるような演奏を心がけています。

T・K お箏は弦の弾き方で音がまったく変わります。一つの音をきれいに出すことと、スムーズに次の音につなげていくことは難しいですが、だからこそきれいな音が出せるととても嬉しいです。また、合奏では稽古を重ねるごとに一人ひとりの上達がハーモニーの美しさにも表れてきて、最終的に本番では想像もしていなかったくらいすごい演奏ができることに大きな魅力を感じます。

T・M 現在取り組んでいる「龍星群」という曲は6つのパートに分かれていて、それぞれが追いかけっこをするところが随所にあり、自分のテンポがずれると相手もずれてしまうという難しさがあります。自分のミスが全体に影響することは怖いですが、その分、稽古のときからお互いに呼吸を合わせることに気をつけていて、みんな心を一つにすることを大切にしています。

―茶道についてはいかがですか?。

A・M 部活動ではいすとテーブルを使った立礼式でお点前をしているのですが、いすに座ると足の動きも目立つので、全身すべての動きがきれいに見えるように動作に気を配っています。

T・K お稽古中は、道具の扱い方など細かいところまで神経を行き届かせて、きれいに見えるように努めています。お点前をするときは先生にほめていただけると嬉しいですし、お茶をいただくときはみんなで「お菓子がきれい」などと話すのも楽しいです。先生が四季折々の掛け軸や茶花についても教えてくださるので、とても勉強になります。

T・M 文化祭などお客様を招いてのお茶会では、お客様の前に出るお点前さんだけでなく、裏の水屋で準備をする役割などがあり、お点前さんの動作を見てタイミングを合わせながら自分の仕事を務め上げる大切さを実感することができます。地域のお茶会に参加させていただく機会もあり、お客様に良いおもてなしができると、おもてなしをする側も満足することができます。

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活動を通して自分を高め、将来にも活かしていきたい

―部活動を通して学んだ日本文化の良さはなんですか?

A・M たとえば茶道の作法には、いろいろなところに相手を思いやる気持ちが込められていると思いますし、お箏からは最初にお話したような余韻を楽しむ心を感じます。長い年月を経てつむがれてきた歴史や伝統を学べるのが部活動をやっていて良かったことです。

T・K 茶道の時の掛け軸やお花など、細かなところまでおもてなしの気持ちを込めるのが、日本文化の良さだと思います。お道具の一つ一つにも作った方の思いが込められていて、茶道を通してそれを感じとることができるのもすごいですし、もっと知りたいと思っています。日本文化部の活動で、浴衣も自分で着られるようになりましたし、普段の所作も少しは洗練されたのではないかと期待しています。

T・M 私はイギリスとフィンランドにホームステイをした経験があるのですが、海外の人とのコミュニケーションでは、英語を話せるだけでなく自国の文化を知っていることが大事だと感じました。部活動で日本の文化を身につけたことで、きちんと紹介できましたし、海外の人からもとても興味を持ってもらえました。

―今後の目標を教えてください。

A・M 今は、とにかく文化祭の発表を成功させることでしょうか。「龍星群」は箏部をテーマにしたアニメで使われた曲で、中学生のときに先輩が演奏しているのを聴いて憧れていた曲です。ですから、みんなでしっかりと演奏したいと思っています。

T・K 茶道の先生のお点前を見ていると、自分とは別次元のスムーズさや美しさがあるので、私も先生のようなお点前ができるようになることが目標です。また、私は小学校の先生を目指しているので、部活動で小学生にお茶を教えたいと思っています。

T・M 立礼式以外のお茶のお点前も習得したいと思っています。私は将来英語を活かした仕事につきたいと思っているので、日本の文化をもっと深く知り、海外の人に日本文化の良さを発信できたら嬉しいです。

先生からのコメント

顧問|田部井 將代 先生

部員たちの日々の姿勢に麗澤の“心”が表れる

「お箏の練習を見ていると、生徒たちが自分たちで工夫を重ねながら曲を仕上げていく姿に感動します。全員で合わせる前に個人やパートでの練習も重ねているからこそ、合わせるたびにどんどん良くなっていくわけですから、己を磨きながら他者と高め合うことができる生徒の姿勢がすばらしいと思います。麗澤の教育の柱である『感謝の心、思いやりの心、自立の心』が、部活動にも表れていると実感します」

副顧問|諫山 佳子 先生

貴重な経験を人生の豊かな財産としてほしい

「日本文化部では、顧問とは別にお茶とお箏それぞれに素晴らしい先生方が指導にあたってくださっています。単なる技術だけではなく、背景にある日本文化や日本の精神といったところまで生徒に教えてくださり、生徒たちもしっかりとそれを受け止めてくれているのが嬉しいですね。(私も麗澤の卒業生なのですが)中高の6年間で学んだことや身につけたことは社会に出てからの大きな財産になります。これからも生徒たちには部活動を通して人間として豊かに成長していってほしいと思います」

茶道指導|安武 智佐 先生

入部当初はできなかったことを克服する姿に成長を感じる

「指導をしていると生徒のみなさんの素直さ健やかさをしみじみと感じます。入部したころはできないことや苦手なこともありますが、稽古を重ねて克服する強さもあります。ぜひすくすくと育っていってほしいと願っています。また、部活動を通じて日本文化が好きになってくれたみなさんに、これをきっかけにたくさんのことに興味を持ち、理解を深めていってほしいと思っています。さまざまな学びと経験ができる麗澤で、ぜひ人生で打ち込めるものを見つけてほしいですね」

取材日:2025.7.23