ありのままに自分を表現し、感覚的に他者理解を深める美術教育で
協調性を養い、世界の調和を目指す

成女高等学校

成⼥⾼等学校は、1899(明治32)年の建学以来、「社会で活躍できる⾃律・⾃⽴した⼥性の育成」を教育⽅針とし、早くから教育を通して⼥性の社会進出を⽀えてきた歴史を持つ。その伝統を継承しつつ、2020年には探究学習とキャリア教育を組み合わせた「⾃主研究ゼミ」や⾃⼰表現のための「表現プログラム」を⽴ち上げるなど、⼤幅な教育改⾰を実施。「360°キャリア探究」を掲げ、学校⽣活全体をキャリア教育につなげ、学⼒・探究・⾮認知能⼒を全⽅位的に伸ばす取り組みは、2024年にキャリア教育優良校として⽂部科学⼤⾂表彰を受賞するなど、⼤きな成果を上げている。同校では学校の⽅針が⽣徒に深く根付いていることも⼤きな特徴で学校説明会を「⾃分たちの後輩は⾃分たちの⼿で」という考えで⽣徒たちが運営し、教育内容の説明なども⾏っている。キャリア教育の特⾊について、⾼校3年⽣3名、校⻑の⼩泉潤先⽣と広報部⻑の鈴⽊暁⼠先⽣に話を聞いた。⽣徒にはそれぞれが感じる成⼥の魅⼒について語ってもらった。


大学や企業とも連携し各自が課題解決に挑む

成女高等学校のキャリア教育の大きな特色のひとつが、探究学習とキャリア教育を組み合わせた「自主研究ゼミ」だ。生徒は2年生から目指す進路に合わせ、大学の学部学科に連動した5つのゼミ(人文、芸術、社会、生活、自然科学)のいずれかに所属して、課題発見と課題解決という探究学習を進めていく。

たとえば、デザインに興味を持っていたY・Rさんは、芸術ゼミに所属し、「人を元気にするポスター」や「着た人が元気になるロリータファッション」をテーマに研究。看護師を目指すK・Aさんは生活ゼミに所属し、高2で「患者さんに安心感をあたえるナース服」、高3で「診察室での緊張をやわらげるBGM」をテーマに研究をした。

ゼミは進路に合わせているが必ずしも職業に直結するゼミを選ばなくてもよいと小泉先生は話す。

「ゼミは目指す職業に対する切り口なんです。同じ看護師を目指す生徒でも、医療からアプローチするなら自然科学ゼミですが、患者さんがリラックスできる空間づくりを探究したいなら芸術ゼミや生活ゼミで探究をします。看護師という一つの職業に対して、デザインや音楽といったプラスの要素考えることで、自分なりの強みを持った将来設計にもつながります」

また、探究学習では多くの大学や企業と連携し、よりハイレベルな探究学習や社会とつながった探究学習を実施。生徒たちが大学での学びや実社会での仕事を知る機会にもなっている。

小泉 潤 先生

生徒が好きなやり方で自己表現力を高める

表現教育の一環である「表現プログラム」も、同校のキャリア教育につながっている。このプログラムでは、生徒が、自分を知り、認め、表現することで、自己肯定感を高めながら、他者に伝えるスキルを身につけることを目指している。ボイス、トーク、エッセイ、ヴォーカル、デザイン、フォトの6クラスあり、それぞれプロの講師が指導にあたる。

 鈴木先生は表現プログラムの意義についてこう語る。

「表現方法はいろいろありますが、いずれも自信がつかなければ表現はできません。どのクラスでも生徒が思い切って自分を表現できる空気づくりや少しずつステップアップする指導を大切にしています。本校では、探究学習の発表のほか授業でも人前でプレゼンをする機会が多いのですが、そこでも『失敗しても大丈夫』と生徒が思える環境をつくり、フィードバックを受けて、再度挑戦することで表現力がどんどん高まっていきます」

また、表現プログラムでは、進路選択とは別に自分の好きなことややりたいことに取り組む生徒も多いという。音楽と栄養に興味を持っていたH・Eさんは、ヴォーカルクラスに所属して歌で表現することを存分に楽しみつつ、進路は管理栄養士を目指して学ぶことで、「好きなものを諦めずに高校生活を送ることができています!」と笑顔で話した。

鈴木 暁士 先生

一人ひとりのよさを最大限に伸ばしていく学校

最後に受験を考えている生徒や保護者に向けたメッセージを小泉先生と鈴木先生に聞いた。

「子どもたちには必ず“いいところ”があります。親御さんはご存知だと思いますが、学校ではほかにできないことがあると、すべてがダメといった扱いをされやすいものです。本校は、生徒の“いいところ”を伸ばす学校です。長所を伸ばし、生徒が自信を持つことで、将来の可能性も広がります」(小泉先生)

「本校ほどキャリア教育に力を入れている高校はありません。すでに将来の目標が決まっているお子さんは、夢のために力をつける教育プログラムが多数揃っています。夢が見つからないお子さんや、やりたいことがわからないというお子さんも、安心して本校を目指してください。たくさん試行錯誤をしながら、教員や生徒たちと一緒に好きなことややりたいことを見つけましょう」(鈴木先生)

生徒が語る成女の魅力

Y.R.(高3)|生徒会長

私は中学校の頃、あまり学校が好きではなく馴染めずにいました。私でも通える高校があるのか不安でしたが、成女のオープンスクールに参加した時に在校生も先生もとても楽しそうで話しているだけで心が温かくなりました。入学後は友達と遊びに行ったりするうちに自然と学校生活に馴染むことができ、生徒会に入るなど学校行事にも積極的に参加できるようになりました。オープンスクールで受験生を迎える際には、ただの受験生ではなく一人の人間として相手と向き合うように心がけています。私は誰かを元気にしたいと思っているので、自主研究では、「人を元気にするポスター」や「着た人が元気になるロリータファッション」をテーマにしました。この学校は、ただ勉強をするだけじゃなくて、自分が今まで知らなかった力も伸ばすことができます。少人数だからこそ挑戦できるチャンスもたくさんあるので、中学生の皆さんが今できないことがあっても安心してうちに来てください。

H.E.(高3)|生徒会副会長

成女は軽音部が有名で、音楽が好きだった私は軽音部がきっかけでオープンスクールに参加しました。そこで校長先生の「大学合格がゴールではなく、その先の就職まで見据えなければいけない」というお話に共感して入学を決めました。自分がやりたいことに思い切り打ち込める環境が、この学校の大きな魅力だと思います。私の将来の夢は管理栄養士になることで、そのための勉強や将来に向けた勉強や資格取得への努力しつつ、表現プログラムのヴォーカルクラス大好きな音楽も全力で楽しんでいます。自主研究では、高大連携を結ぶ実践女子大の先生の協力いただき、連携企業のゴディバジャパンのメニュー開発に挑戦するなど、ほかでは絶対にできる貴重な経験ができました。先生方は生徒の夢を本気で応援してくれていて、たとえば大学の出願のために急遽英検2級の資格取得が必要となった時には、受験日まで先生が毎日英語の勉強を教えてくれたおかげで無事に合格できました

K.A.(高3)

私は中学校では勉強が苦手だったのですが、高校入学後、毎日の10分程度の朝学習を続けていると少しずつ勉強が楽しくなってきました。少人数制なので授業で追いつけない生徒を置き去りにせず、復習などの対応をしてくれます。何より先生が小さなことでも褒めてくれるのが、私にとって大きなモチベーションになりました。学期末には成績優秀者や英検合格者などたくさんの生徒を表彰してくれるのもとても嬉しいです。私は人を助ける仕事に就きたいと思っており、コロナが流行した中1の頃にニュースでと病院で必死に命と向き合う看護師の方の姿を見て憧れを抱くようになりました。現在は看護学部のある大学に志望を決め、受験勉強に力を入れています。もし高校選びに迷っている中学生がいたら、ぜひオープンスクールに来てください。本校のよさは来ていただければきっとわかります。

取材日:2025.9.16