生徒一人ひとりが、自分の可能性を見つけ、伸ばし、
羽ばたいていくことができる環境
聖徳学園中学・高等学校

作品づくりを中心とする独自のSTEAM教育と、アジアやアフリカへの国際研修旅行など世界の課題に向き合うグローバル教育を二本柱とし、「正解のない問題」に挑戦する力を育む聖徳学園中学・高等学校。創造性と多様性を尊重する同校では、海外大学進学セミナーをふくむ様々な進学セミナーや個別面談などを通じて生徒の希望する進路を応援している。この春、東京大学と海外大学に進学した卒業生2名に、進路を決めたきっかけや進学サポート、学校生活の思い出についてお話を聞いた。また、二人の中学・高校時代の学年主任を務めた佐藤尚美先生に、生徒たちの個性を活かす同校の教育のあり方について伺った。
―まずは、それぞれの進路を選択した理由やきっかけがあれば教えてください
。生方 私が東京大学を志望したきっかけは、進路の面談の際に先生に勧められたからです。正直、「行ける大学に行こう」と思っていた私にとっては想定していなかったレベルでしたが、先生の言葉で、「ここから目指してみるのもおもしろいかな」と思え、高みを目指すモチベーションが湧きました。
荒井 僕の場合は、高校生で参加した国際研修旅行がきっかけです。アフリカのルワンダとフィリピンのセブ島の研修旅行に参加し、ルワンダでは「SDGs」の授業で取り組んだ世界の水の問題について深く知ることができ、セブ島ではスラム街などを訪れ現地の人々の生活を肌で感じ取ることができました。そのときから「世界的な課題の解決のために自分も何か挑戦してみたい」「世界をもっと知りたい」という思いを持っていたところ、研修旅行を引率した先生から海外大学進学を提案され、思い切って決心しました。
―お二人とも先生の言葉がきっかけになっているのですね。
生方 担任の先生をはじめ、聖徳学園の先生は私たち生徒一人ひとりをすごくよく見てくれているので、先生からの言葉で進路に対してより真剣に取り組めるようになったと思います。
荒井 もともとは国内難関大志望でそのための進学セミナーも受講しており、国際研修旅行で芽生えた自分の思いも「海外大学」には結びついていなかったのですが、先生からの一言で自分のやりたいことや学びたいことと進路がすっとつながりました。
生徒のやる気に応える柔軟なサポート体制
―大学進学のためにどのようなサポートがありましたか?
荒井 海外大学の場合は国内大学のような入学試験ではなく、英語の成績証明やエッセイなどが必要になるため、ネイティブの先生がたに英会話の特訓やエッセイの添削をしてもらいました。実はもともと自分の英語に自信がなく、セブ島での1日10時間の英語学習で力をつけることができたものの、海外の大学で学ぶにはまだまだでした。ですから、海外大学進学を決めてからは、英語に一点集中して努力をしました。
生方 私は当初共通テストのために「日本史」と「政治経済」に取り組んでいたのですが、東大の二次試験では「政治経済」が選択できないため、「日本史」と「世界史」での受験に切り替えて受験勉強をする必要がありました。そのため、難関大セミナーで「世界史」をマンツーマンで指導してもらいました。どちらも並行して勉強することで、歴史の流れや因果関係が整理され、歴史に対するマクロな視点を持つことができたと思います。そのほかにも多くの先生に苦手分野の対策や二次試験のための添削をしていただき、「自分でもできることはすべてやった」と思えるくらい頑張ることができました。学習面だけではなく、メンタル面でも励ましや声かけなどきめ細かなサポートをしてもらったことが、とても嬉しかったですし、最後までやりきる原動力にもなりました。
「聖徳学園だから」価値観が大きく広がった
―聖徳学園での6年間で、自分が成長したと思えることや変化したと思えることがあれば教えてください
。生方 私は、以前は真面目に勉強をして先生の言うことをよく聞く優等生のような生き方が絶対に正しいと考えているところがありました。けれど、聖徳学園には個性豊かな生徒がたくさんいて、勉強はすごくできるけど先生にいたずらを仕掛けるのが好きな友達や、先生の意見とは違っても自分の意見をはっきりと言う友達はとても魅力的で楽しく、私自身も「品行方正な道から一歩飛び出して楽しんでもいいんだ」と思えるようになりました。そんなふうにものの見方や価値観が変わったことで、生き方の幅も広がり、人間として成長できたと思っています。
荒井 やりたいことがあっても気後れして言い出せないことが多かったのですが、聖徳学園での6年間で、なんでも挑戦すればいいんだと気づくことができました。僕は中学から生徒会で活動していたのですが、そこでは誰の提案に対しても否定から入るのではなく、受け入れて話し合う空気がありました。先生がたも生徒のやりたいという気持ちにできるだけ寄り添い、実現するための提案をしてくれましたし、生徒も先生の提案を受けて、再度アイデアを出し合うなど、お互いに前向きに進むことを学びました。
―先生から見て、お二人の印象を教えてください。また、どのような成長を感じましたか?
佐藤 荒井さんは生徒会をずっと頑張っていた印象があります。中1の最初の選挙で生徒会に入り、引退後も後輩の面倒を見てくれていました。本校は個性的な生徒が多いので、毎年入れ替わる生徒会のメンバーにもいろいろなタイプの生徒がいましたが、荒井さんはうまくバランスをとる存在でした。生方さんは本人も言っていたように当初は真面目な優等生タイプで、勉強熱心な点などは変わりませんでしたが、友達と一緒になって教員にいたずらを仕掛けてくるなど、学校生活を全力で楽しむようになったと思います。本校では「聖徳仮装Day」と言う生徒会主催で校内で仮装して過ごしてもよい日があるのですが、印象深いのは高3時のこの日、生方さんは友達と妖怪の仮装をしていて、1日中カッパの姿でにこにこ過ごしていたことです。
豊かで多様な学びの環境で「自分」を発見する生徒たち
―生徒さんや先生のお話をうかがうと、個性を認め合う空気が学内にあるように感じます。佐藤先生が生徒さんに接する際に、心がけていることを終えてください。
佐藤 私は生徒たちには社会に出て恥ずかしくない大人になってほしいと思っています。そのために必要な最低限のルールやマナーはしっかりと身につけてほしいですが、6年間のうちに失敗があってもいいし、間違ったら反省して変えていけばいいんです。生方さんと荒井さんは勉強もすごくよくできる生徒ですが、仮に勉強ができなくても人間として豊かな経験をたくさんして成長してくれたことが最も嬉しいこと。優等生からはみ出してもいいし、やりたいことがあればなんでもチャレンジしてみればいい。失敗したらやり直せばいい。そんな気持ちで生徒たちを見守っています。
取材日:2025.8.25
