「自学創造」を実現する
きめ細かな教育プログラムを実践
安田学園中学校・高等学校
今年95周年を迎えた安田学園。2014年度から共学となり、カリキュラムを大幅に刷新。以来、入学者のレベルは年々上昇し、大学進学実績も飛躍的にアップしている。安田学園の教育の特色について、英語科の大西洋平教諭に話を聞いた。
安田学園には「自ら考え学ぶ」習慣を確立していく学校完結型の学習環境がある。多彩なプログラムがあるが、ベースとなっているのが「学び力伸長システム」だ。
その取り組みの一つ、学習法体得授業では、英語と数学の2教科について授業時間内に予習・授業・復習の学習活動を行う。特に中1は2学期半ばまで2時間連続の特別な時間割を設定し、丁寧に指導することで早い段階から学習習慣を身につけていく。
この授業を進化させた学習法体得合宿は3泊4日の日程で、中1〜3の全員が小教室で授業を受けたり、大教室で予習・復習を行う。
高1の学習合宿では自分の学習計画に基づいて独習することで、自学力を高めていく。
なかでも最近、目覚しい効果を上げているのが英語教育だ。「書く・読む・聴く・話す」の4技能をバランスよく、効果的に伸ばしていく授業を実践。多彩な問題が出題される週2回のチェックテストでは、8割〜9割を合格ラインに設定し、合格できるまで徹底して基礎学力を磨いていく。
テストで特に重視されているのが英作文だ。期末試験などでは大学入試の英作文の問題が出されることもある。大西洋平教諭がこう話す。
「テストを作る際、最初から難しい問題を出すと英語が嫌いになってしまう場合があるので、頑張れば解ける範囲の問題を繰り返し出題することで生徒の意欲を伸ばしています。また、大学の入試問題は解けるとやる気が高まりますから、生徒の学力を把握しつつ内容を精査して出題しています。最近はこちらが意図していることを生徒がきちんと吸収できるようになってきました。模試や英検の取得などの成果にもつながっています」
カリキュラムを刷新し、再スタートを切ってから5年。今年、第一期生が高2となった。表を見てほしい。模試の成績から一期生をみると、全体の3分の1がSゾーン(東大・東工大・一橋大・早慶レベル)で、約86%の生徒がGMARCHに合格できるレベルの学力を保持しているという。現在高1の2期生はさらに高い学力レベルとなっている。
また、安田学園では各学年で目標とする英検の級を設定している。昨年度の中3は、3コースのうち先進コースと特英コースの全員が目標の英検準2級を取得。総合コースも目標の3級に98%の生徒が合格した。こうした実績は、多彩なプログラムの下、高い基礎学力を積み重ねた成果だ。
一方、授業などで培った基礎学力をベースに、話す技術を伸ばしていくアウトプットの機会も充実している。
年度末に行われるスピーチコンテストは、4技能複合型の一大イベントだ。自分で設定したテーマを英作文にして発表。クラス内の予選を勝ち抜いた代表者が英語でスピーチを行う。大西先生が言う。
「こうしたイベントでは、単に発表するだけでなく、事前に原稿を作成し、添削したり、練習する地道な作業が欠かせません。多彩なイベントによってどのような力を養っていくのかをきちんと把握した上で、生徒のモチベーションを上げられるよう、工夫しています」
また、「トークタイム」という、放課後に英会話を楽しむプログラムもある。ネイティブ教員と1対1で、様々なテーマを英語で話すことで、会話力を強化していく。
さらに、生徒全員が6年間のうち、最低1回は海外体験できるよう、様々なプログラムを用意している。このうち、高2の先進コースが全員参加するのがグローバル探究・英国だ。
先進コース独自の授業「探究」では、疑問を設定し、仮説を立てて検証、発表する一連の方法を学んでいる。“根拠”と“論理”の意識を高め、思考力・表現力・創造力を生み出すこのプログラムの集大成となるのがグローバル探究・英国だ。
高1の探究の授業で作成した論文を英語に翻訳し、英国で行うプレゼンテーションに向け、準備を進める。その発表の場となるのがイギリス・オックスフォード大学のハートフォード・カレッジで、学生や教授に向けて発表・ディスカッションを行うことで、国際的な視野を養っていく。
この他、特英コース全員参加のニュージーランド語学研修や、希望者対象のカナダ・オーストラリア語学研修、ニュージーランドまたはオーストラリアの現地高で過ごす3か月短期留学など、多彩なプログラムがある。最後に、安田学園の英語教育について大西教諭が次のように言う。
「本校には英語が好きな生徒が多く、皆が切磋琢磨しながら勉強しています。今後、放課後や長期休暇中に行っているオンライン英会話を授業に取り入れていくことも検討しています。新たな試みも積極的に取り入れつつ、4技能をバランスよく効果的に身につけられる教育がありますから、英語を重点的に学びたい人には満足してもらえると思います」
取材日:2018.7.9