心の力を磨き、本物の叡智を養う教育
麗澤中学・高等学校

あらゆることに挑戦できる環境を整え、一人ひとりの才能を開花させる

創立以来、「知徳一体」を基本理念に心の力を伸ばす教育を実践している麗澤中学校・高等学校。道徳教育をベースに、「本物の叡智」を身につけていく学びがある。麗澤独自の教育について、進路指導部の丸島淳教諭と数学科の室谷康生教諭、学習指導部の中野太郎教諭、英語科の林大輔教諭に話を聞いた。


麗澤教育の根幹となっているのが道徳の授業だ。週1回の道徳の授業は全学年で実施され、「感謝の心」「思いやりの心」「自立の心」の三つの心を養っている。心の力を土台に各教科の授業を受けることで、何のために勉強しているのかを各自がしっかり考えながら学ぶことができるという。進路指導部の丸島淳教諭がこう話す。

「この三つの心は、麗澤教育を象徴するものです。麗澤の生徒には、時代を超えて他の人を思いやることができる生徒が多いのですが、そういう麗澤の精神が息づいているからだと思います」

麗澤中高では、高度な学力に裏打ちされた「本物の叡智(智徳)」を育てるために、中1からアドバンスト叡智(AE)コースとエッセンシャル叡智(EE)コースを用意している。AEコースの進学目標は東京大をはじめとする最難関大だ。6年間を通して、目標を実現する中で百年後の社会に貢献できる知力と人間性を磨いていく。EEコースは麗澤教育のエッセンスを深めながら、グローバル社会で求められる本質的な力を養うコースだ。高2から高入生と一緒になり、進路にあわせて叡智TKコース、叡智SKコース、叡智ILコースに分かれて学ぶ。学習指導部の中野太郎教諭がこう話す。

「中1からコース制を導入することで、一人ひとりに合うきめ細かなサポートが可能になります。生徒たちは自身が定めた目標から逆算ロードマップを作成し、実現するためのコースを選択しています」

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丸島 淳 教諭
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中野 太郎 教諭

また、麗澤独自の教育である言語技術教育は、中1から高1までの毎週1時間、論理的な思考力・判断力・表現力を修得する教科だ。授業はディスカッション形式が中心で、生徒同士が議論を進める中で相手の言葉に耳を傾ける力、文章や資料をじっくり読み解く力、そして論理的に発信する力を養う。数学科の室谷康生教諭が言う。

「麗澤の言語技術教育は、国語以外のあらゆる教科に生かせる教育です。例えば、計算の仕方や公式を知っていても数学の問題が解けないことがありますが、その場合、問われている意味が分かっていないことが多いのです。数学も言葉の一つですから、問いを自分が分かる言葉に訳してから解いていく作業が必要です。言語技術教育で学ぶ“何を問われているのか”“どのように答えればいいのか”を考えていく力は、数学の問題を解くときにも必須のスキルで、社会に出てからも求められる能力だと思います」

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室谷 康生 教諭
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林 大輔 教諭

この言語技術教育を英語教育と融合することで、高度な論理的思考力とグローバルな発信力を磨いていく取り組みがある。英語科の林大輔教諭がこう話す。

「どんなに正しい文法や発音を身につけていても、自分の意見を発信する時には中身がなければ価値はありません。ですから、英語の4技能をもとに、何を発信するのかを重視して英語教育を実践しています。また、全員が参加する中3のイギリス研修では、日本文化を紹介するエッセイを英語で書きますが、そこにも言語技術教育の学びが生かされています。高校では希望者を対象に多彩な海外語学研修プログラムを用意しています。年間約100人以上の生徒が積極的に参加しています」

麗澤では道徳心をもとに自分のことを真剣に考え、目標や夢、志を明確にし実現していくための道のりを描いていく「自分(ゆめ)プロジェクト」を実施している。中学では、自分が将来どんな人生を創造していくのかを考え、さまざまな体験を通して、自分自身の関心・適性・能力を探っていく多彩なプログラムがある。そこで見出した自身のルーツをもとに、高校ではキャリア・進学支援プログラムを実践。自分が進むべき進路を見出し、目標となる進学先を具体的に絞り込んでいく。第一線で活躍する卒業生を招く職業別講演会には毎年、弁護士や政治家、医師や獣医師、看護師、建築家など、多くのOBやOGが、ボランティアとして駆けつけてくれる。彼らの話を聞き、質疑を重ねることで職業に対しての意識を高めていく。

また、多彩な校内課外講座があることも麗澤教育の特色の一つだ。英語・数学を中心に、国公立大や難関私立大の入試を見据えて学ぶ夜間講座や、季刊講座、小論文講座、サイエンスカフェ、グローバルセミナーなどがある。

さらに、受験勉強が本格化する高2の3学期からは「プロジェクト叡智」という特別進学指導体制がスタート。担当教員が生徒一人ひとりの学習状況を見ながら個別に対策を行う取り組みだ。校内予備校のような役割を担っており、約8〜9割の生徒が参加している。

「生徒が全力で受験に立ち向かえる環境を校内に整えていることで、塾や予備校などに通わずに学校の取り組みだけで受験に臨む生徒も目立ちます。予備校に通っていても、直前期は学校で集中的に勉強している生徒も多くなっています」(丸島教諭)

大学入試改革が進み、今後の大学入試では知識・技能中心の入試から、思考力・判断力・表現力が評価されるようになる。道徳教育や言語技術教育など、長きに渡って特色ある教育を行ってきた麗澤中高にとって、大学入試改革は追い風になるはずだ。最後に、中野教諭がこう話す。

「IT技術の進化やAIの発達などにより、社会が求めるスキルは変わってきていますが、社会で働く人間に求められる人間性は変わっていません。これからも、本校は大学入試を通過点として社会で生かせる力を養うことで、本物の叡智を身につけた人材を輩出していきたいと思います」

取材日:2019.5.15