あらゆることに挑戦できる環境を整え、
一人ひとりの才能を開花させる

埼玉栄中学校・高等学校

あらゆることに挑戦できる環境を整え、一人ひとりの才能を開花させる

埼玉栄といえば「部活動の強豪」というイメージが強いかもしれない。しかし、部活動以外にも、充実したキャリア教育、学習サポート体制があり、6年間で大きく成長できる環境を整えている。その中高一貫教育の特徴を、原田道之教頭に聞いた。


人生への希望を持ち、将来の進路を明確に描けるよう、中学1年次からキャリア教育を実施しているのが特徴。6年間のキャリア教育の大きな柱となるのは、外部の講師を招いた講演だ。経済同友会の協力を得て、企業のトップなどが講演をしている。さまざまな経歴の講師に、中学時代にやっておくことや心がけなどを分かりやすく話してもらい、“気づき”を得て早期から職業観を養う。

中学3年次には「職業体験」として、企業を訪問し、会社の概要、仕事内容などをインタビューし、それをまとめる。その後、プレゼンテーションなどを行い、企業についての学びを深めている。

中学には医学、難関大、進学の3クラスがある。その中の医学クラスでは、各学年で医学系の特別プログラムを実施している。大学の医学部の協力を得て、研究室を訪れ、学生と一緒に研究をしたり、病院の施設見学などを行う。筑波大の訪問では、睡眠研究の権威の先生から直接話を聞くことができた。今後は東大の研究機関を見学することを計画中だ。このほか、医療機関などから講師を招き、「医学部卒業者は医師以外の進路も開けている」という話や、コマを使った物理の講演など、学問への興味がわき、視野を広げる講演を多数行っている。

原田教頭がこう話す。

「医学部をめざす生徒は、モチベーションが高くなければ勉強が続きません。将来が楽しみになるような体験を取り入れて目的意識を高め、モチベーションを維持させています」

これらの講演や企業訪問は、ただ受けるのではなく、終了後の感想をClassiに残している。在学中の活動記録となるeポートフォリオを中学の段階から始めており、蓄積した内容は大学入試の際に活用する。

ポートフォリオに加え、日々の授業でもClassiを活用している。学習動画もあり、生徒は電車や家で復習することができる。生徒の科目ごとの学習状況はClassiに記録され、生徒自身がコメントを入れることもある。教員は生徒の学習状況1クラス分を、10分ほどで簡単に閲覧することができる。

原田教頭がこう説明する。

「『授業が全然分からない』とコメントを書いている生徒がいたり、一人ひとりが考えていることが分かるので、理解が不十分な部分を次の授業でおさらいでき、授業の効果が上がります」

学校での勉強だけで大学に合格できるようサポートしている。始業前の0限目の補習にも力を入れる。一つは演習。授業で扱わない、進んだ内容を学ぶもので、医学クラス、難関大クラスの生徒はほぼ全員が参加する。もう一つは定期試験の補習。定期試験の成績が悪かった生徒を指名し、取りこぼしがないよう、徹底的に指導する。このほか、学習が進んでいる生徒は、放課後の7時限目授業で、高校の授業を選択することもできる。

自ら考える力の育成

2020年度から始まる大学入学共通テストや、近年の医学部入試では思考力が必要だ。そのため、授業においても、自分で考え、課題を解決する力の養成に重点を置いている。理科では実験を数多く行い、レポートを課して、考察していく。

また、全学年で毎日、朝読書を行っている。わずか10分ではあるが、毎朝の積み重ねによって読解力が養われ、中学生の国語の成績が全体的にアップしたという。これは、国語力アップだけでなく、大学入試でいろいろな科目の問題文を理解する力にもつながっている。学んだ語彙(い)力や表現力を、今後は、論文作成といった作業に発展させる指導を行っていく。

思考力を身につける課外活動も行っている。2年次の鎌倉校外学習では、班別に自主性・主体性を養う。これを踏まえて、京都・奈良の校外学習でも班別行動を行い、最後の課題発表は英語で行う。これが3年次のオーストラリア修学旅行へつながる。ホームステイ先の家庭において、日本文化についてプレゼンテーションを行う。自主性・思考力・国際理解力などをトータルで養うことができる仕組みだ。

こうしたさまざまな取り組みの成果は、大学合格実績として現れている。今春卒業した中高一貫生の国公立大学合格者は13人で、過去最高となった。なかでも、東京工業大に2名合格。2人とも進学クラスで、一般的な生徒だ。原田教頭がこう振り返る。

「2人とも中学入学時から特に目立って成績が良かったわけではありません。塾には通わず、学校でのサポートを活用し、分からないところは積極的に先生に質問しに来ました。自分で掲げた目標に向かって、自分で努力したことが、合格を勝ち取った最大の理由でしょう」

中高の教室は同じ校舎内にあり、学習スペースは、中学生と高校生を同じ階にしている。高校生から刺激を受け、目標にして、自主的に勉強しようという意欲を中学生に持って欲しいというねらいがある。

最後に原田教頭は、受験生にこうメッセージを送る。

「さまざまなことにチャレンジできる環境を整えている学校です。学習面での面倒見が良いのも特徴で、教員は熱心にサポートします。また部活動は、38もの多様な部を設置しています。医学の道を志す生徒、スポーツで頑張る生徒など、さまざまな生徒がいて、お互い刺激を受け合っています。一人ひとりの個性を尊重し、可能性を見出しますので、いろいろな方面で一緒に頑張りたいという人に、ぜひ入学して欲しいと思います」

取材日:2019.6.18