これからの時代に対応した
使える英語を身につける

麴町学園女子中学校・高等学校

あらゆることに挑戦できる環境を整え、一人ひとりの才能を開花させる

麴町学園女子では、2016年度から「アクティブイングリッシュ」を主軸とする英語教育の大改革に着手。わずか数年で、英検の実績を大きく伸ばすなど、「英語の麴町学園」へと生まれ変わった。生徒たちが「時間を忘れるほど楽しい」と評する同校の英語の授業はどのようにつくられたのか。英語教育改革を指導した、英語科特別顧問の安河内哲也氏と、英語科主任の堀美加教諭に話を聞いた。


麴町学園女子の「アクティブイングリッシュ」は、生徒がより多くの英語を話すことに重点をおいた英語の授業形態だ。教員からの知識伝達は最小限に抑え、英語の発話や対話を通して、基礎的な文法なども身につけていく。ネイティブの発音に合わせたリピートに始まり、課題の発表、ペアワークで行うダイアログの読み合わせや小テストの答え合わせなど、生徒が主体の英語活動が続く。

アクティブイングリッシュの実現には、指導にあたる教員側の努力とともに、同校の英語教育の大改革があった。改革を主導した英語科特別顧問の安河内氏は、その狙いをこう語る。

「英語教育を変えるためには、表面的な取り組みではなく、根本的な改革が必要です。一つは教科書・教材を変えること、そして、テストを変えることです。難易度の高い教科書や分厚い参考書を使えば成果が上がると誤解されがちですが、難解でわからないものを大量に押し付けられても生徒は伸びません。そのため、思い切って教科書のレベルを従来のものより易しくし、分厚い参考書も無くしました。結果、『わかる』ことが生徒のモチベーションアップにつながったのです」

テストの改革では、教員や学年ごとにばらつきがでる点を見直し、一貫した方式で、「読む、書く、聞く、話す」の4技能を評価するように改めた。さらに、テスト範囲を既習分野全てへと変更し、くり返し学習による基本的な英語力の定着に結びつけた。

こうした成果は英検の成績に現れている。現在、グローバルコース(英検4級レベル)で入学した中学1年生が、年度末時点で75%が3級以上に合格。グローバルコース以外の生徒も約半数が4級以上に合格している。

堀教諭は英検合格率だけではなく、生徒の意識が変化したとして、「英語を科目の一つとしてではなく、『言葉』として学ぶようになりました」と語る。受験生に向けたアンケートでは、志望理由に同校の英語教育を挙げる声も多く、「英語の麴町学園」への期待値の高さが現れる結果となった。

オンライン授業でも対話を重視した授業を継続

今年の春から数ヶ月にわたり続いた休校期間も、同校の英語教育の基軸がぶれることはなかった。iPadが全生徒に配布され、すでにICTを活用した自宅学習が導入されていたこともあり、オンライン授業への移行はスムーズに進んだという。

堀教諭は、オンライン授業を振り返ってこう語る。

「ネイティブの発音のリピートなど、英語を声に出す活動から始め、クラスに慣れてきたタイミングで、オンラン上で生徒同士のグループやペアをつくり、生徒が英語で話し合える環境をつくりました。ズームのブレイクアウトセッションを利用して生徒たちの様子を確認し、発音指導なども行いました。オンラインであれば、マスクをする必要がないので発音チェックがしやすいなどのメリットを感じる面も多くありました」

学校再開後も、新型コロナウイルス感染対策のため、マスクなしでの発話や生徒同士が近い距離で活動することが難しい状況が続く現在、通常授業とオンライン授業の併用も検討しているという。

堀教諭は、続けてこう語る。

「通常の授業でもオンライン授業でも、私たちが目指す英語教育は変わりません。一方通行ではない、相手の発言を受けて、自分の意見を述べるなど、人と人が対話する授業です」。

オンライン授業でも対話を重視した授業を継続

世界的な新型コロナウイルスの流行によって、飛行機などによる物理的な人の行き来は抑制された。一方で、オンライン化が加速度的に進むことで、国境を越えて人と人が繋がる機会は大幅に増えた。

安河内氏は、こうした時代に求められる英語スキルについてこう語る。

「急速に進んだオンライン化によって、世界は一気にせまくなりました。例を挙げると、私が今まで年1回のペースで開催国に出向き参加していたNPOの国際会議は、オンライン化によって月1回、週1回のペースで開催されるようになりました。今後、世の中のあらゆる分野で、さまざまな国の人々がオンライン上で一同に介する機会は増えるでしょう。そうした時代に、より重要になるのは、英語で自由に話し合い、対等に議論できるスキルなのです」

 

同校のアクティブイングリッシュは、まさにこれからの時代に対応した英語教育となっている。

取材日:2020.8.5