次世代に求められる人材を育成し、
未来を切り開く駒込イズム

駒込中学校・高等学校

「一隅を照らす」最先端の教育を実践

今ある職業のうち6~8割が今後、AI(人工知能)に代替していくといわれている。そんな時代に向けて、積極的に学校改革を進めているのが駒込中学校・高等学校だ。これまでも個性あふれる生徒を育て、社会に送り出してきた学校として定評がある。その教育について、河合孝允校長に話を聞いた。


―時代のニーズに応える改革を実行しています。

河合 約15年前から、新たな時代を見据えた「駒込ミレニアム改革」と題した学校改革に着手しています。高校では、世界の理数教育の主流であるSTEM(Science Technology Engineering Mathematics)教育を基盤とした理系先進コースと、IB的要素を兼ね備えた世界標準カリキュラムを行う国際教養コースをいち早く取り入れました。現在は国公立・難関私立大を目指す特S・Sコースと合わせて3つのコースがあります。中学は、2021年度からこれまでの2コース制を国際先進コースに一本化しました。このほか、オールイングリッシュによるイマージョン講座の実施や、ICTを活用した双方向授業、未来志向の人材を受け入れる入試制度の導入など、様々な改革を実行しました。

最近では、高校受験で日比谷や戸山、西といった都立難関高を目指す受験生に、併願校として選ばれるようになっています。本校が実施している「多様性を育むアクティブラーニング(能動的学習法)」など、時代を先取りした教育が多くの受験生を惹きつけているのだと思います。

―教育の特色を教えてください。

河合 自分で選択し、見通しを立てて、行動を起こし、振り返るという「エージェンシー教育」を様々な形で取り入れ、自己肯定感に裏付けられた「生きる力」を養います。

教育の柱となるのが、21世紀の世界標準であるSTEM教育とグローバル教育です。

高校の理系先進コースが中心となるSTEM教育では、日本の代表的なSTEM教育研究機関である「埼玉大学STEAM教育研究センター」と提携しています。身近な問題を発見し、解決案を見出していく独自の探究学習が特徴です。実践的な学びを推進しており、授業だけでなく、学外のプログラムにも積極的に参加しています。

また、グローバル教育では世界で活躍できる人材を育成するために、論理的思考力や多元的な視点、問題探究力を育みます。多くの授業で発表やディベートを取り入れるなど、先進的な教育を行っています。

一方、300年以上の歴史と伝統を持つ本校では、仏教的情操教育も重視しています。比叡山研修や寛永寺研修などを通じて、建学の精神「一隅を照らす」人材として必要な「智徳体」を養う人間教育があります。

―生徒の活躍には目覚ましいものがあります。

河合 本校は勉強と興味があるものを両立できる学校づくりに力を入れています。異なる価値観を持つ生徒が積極的に活動し、外部コンテストにもチャレンジしています。国内初のドローンサッカー大会では、有志2チームが優勝と準優勝を勝ち取りました。また、自律型ロボット大会の東京地区でも準優勝に輝いています。結成15年の合唱部は今年、東京都大会で代表に選ばれ、全国大会に出場しました。

今年卒業した生徒の中には、1803社が参加する東京都主催の「TOKYO STARTUP GATEWAY」という、起業を目指す人を対象としたコンテストで優秀賞に選ばれ、2社の社長になって卒業していった人もいます。世界トップレベルの研究者として、最先端の研究に携わっている卒業生もいます。多彩な分野で活躍する卒業生の存在は、生徒の励みにもなっています。

進学実績も伸びています。中学から入学した生徒の入学直後の偏差値はあまり高くありませんが、6年後にはGMARCH以上の大学に数多く進学しています。筑波大医学部などの国公立大をはじめ、海外の難関大にも合格しています。また、文化芸術分野に優れた生徒も多く、東京芸術大には毎年のように合格しています。絵画の甲子園と言われる「学展」にも、本校は最優秀校に選ばれています。

―今後の目標についてお聞かせください。

河合 来年4月から、先進的な理数教育を行い創造性豊かな人材を育成するスーパーサイエンスハイスクール(SSH)と、グローバル・リーダーを育成するWWLコンソーシアムを目指すカリキュラムの導入を検討しています。SSHでは、コンピテンシー教育の一翼を担うスーパーサイエンスコースの立ち上げを構想しています。また、WWLでは、国際教養コースを土台に、他教科と融合したコースの設置を検討中です。

卒業後も駒込で学んでよかったと言ってもらえるよう、これからも生徒一人ひとりに合った学校づくりを進めていきます。

―受験生とその保護者に向けてメッセージをお願いします。

河合 人間はだれしも、最も素敵な自分になりたいと思っています。自分探しの旅の中で、そういう自分を見つけたい人は、駒込で3年間もしくは6年間かけて探してもらいたいです。また、本校の比叡山研修では回峰行として30㎞にわたり巡拝します。歩き終わり、琵琶湖から昇る朝日を見て、感動する自分に気づくでしょう。学びとはこうした気づき学習のこと。そういう場が駒込にはたくさんあります。

取材日:2021.9.1