自分で考えて選択する力を伸ばし、
一歩一歩、着実に成長させる

埼玉栄中学校・高等学校

自分で考えて選択する力を伸ばし、一歩一歩、着実に成長させる

部活動での活躍は広く知られるところだが、近年、大学合格実績を伸ばしている。中高一貫教育では、医学、難関大、進学の3クラスを設置している。生徒の意思を尊重し、可能性を引き出すための教育に力を入れている。学校生活において、多くの選択肢を用意しているのが特徴だ。教育の特色について、林昭雄教頭に話を聞いた。


「人は生きた資本であり、資産である」という意味を持つ「人間是宝(にんげんこれたから)」を建学の精神としている。生徒一人ひとりの可能性を開発し、伸ばし磨いていく教育を実践している。また、「今日学べ(こんにちまなべ)」という校訓のもと、一日24時間という時間を無駄にすることなく「今日できることは今日やる」ように指導している。

自分で考えて選ばせる教育

正規授業のほかに、補習が多いのも特徴の一つだ。朝は1時限目の前に0時限授業を実施している。中学は英語・国語・数学の3教科で、普段の授業の振り返りが主な内容だ。高校では2・3年生を対象に、大学入学共通テストへ向けた対策講座を開講している。放課後は中学で7時限、高校で7〜10時限目まで、弱点の補強や発展的な内容の演習授業を行っている。0時限授業、放課後授業のどちらも希望者が対象だ。生徒は自分の学習スタイルに合わせて自由に時間割を作成することができる。林昭雄教頭がこう話す。

「これからの社会は先行きが不透明な部分も多く、自分で決断しなければならない場面が増えるでしょう。そうしたときに、必要なものを自分で選択する力は重要です。本校では補習を生徒に強制するのではなく、自分で考えさせて、自主的に選べるようにしています。勉強に力を入れる生徒もいますし、部活動に一生懸命に取り組む生徒もいます。両立させたいと考える生徒の中には、部活動が終わってから10時限目の演習に参加する子もいます」

基礎学力を養成するための取り組みとして、中学では毎日朝読書を実施している。朝学活が始まる前の10分間に、自分で選んだ好きな本を読む。読解力が身につき、国語の成績が年々上がっているという。また、本を通して自分とは異なる考え方や価値観を知ることができるのも、朝読書の大きなメリットだ。

各教科で工夫してアクティブラーニングを実施

コロナ禍において、以前に増して注目されているのがICT教育だ。埼玉栄では、学習システムとしてClassiを導入している。Classiとは「学習コンテンツ」「生徒カルテ」「コミュニケーション」などの機能を持つサービスで、日々の学習記録や部活動の記録も入力することができる。

普段の授業では、画像や動画をプロジェクターに投映するなど、視覚を意識した授業を展開している。これらは中学でのアクティブラーニングにも利用されている。例えば、英語の授業では、登山をしている人々の様子を撮影した写真を2枚用意し、それらについてオールイングリッシュでディスカッションを行う。また、社会の授業では、歴史上の人物や、史実を表した写真を生徒に選ばせて、毎時間それについての発表を行う。

「どの教科においても、講義をただ聞いてノートを取るという授業ではなく、双方向のやり取りを行ったり、生徒が自分で考えて意欲的に取り組めるような指導を心がけています」(林教頭)

自分の生き方や、社会貢献の仕方を考えるキャリア教育

一方、キャリア教育にも力を入れている。自分が何になりたいのか、将来、どういったことで社会貢献ができるのかを考えていくのが目的だ。中学では企業のトップを招いて講演会を行ったり、高校では職業体験を行ったりしている。さらに、校舎から程近くにクラブハウスを持つサッカーJリーグの大宮アルディージャと連携し、SDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みも進めているところだ。

進路指導においては、学内の進路指導センターを中心として学習や進路に関する相談に応じている。生徒一人ひとりの成績の推移をカルテ化して一括管理しており、教員間で共有している。どのくらいの成績の生徒がどのような大学に合格しているかといったデータも蓄積されているため、そうした情報も参考にしながら生徒にアドバイスをしている。

「一方的に指導するのではなく、情報を整理して、生徒がどうしたいのか考えられるように導きます。さらに、本校は放課後に会議を滅多に行わないため、教員は放課後の時間をすべて生徒のために使っています」(林教頭)

また、2016年に設置された医学クラスでは、帝京大、筑波大、北里大などの医学部と連携し、教授の話を聞く機会を設けたり、実験の見学を行ったりしている。1期生は来春卒業予定だ。医学部受験に向けて、学校全体でバックアップしている。

最後に、林教頭がこうメッセージを送る。

「本校の教員は覚悟と責任を持って、一生懸命生徒に接しています。面倒見がいいのが特徴ですが、最後は自分で何でもできるように、成長段階に合わせた指導を行っています。また、中高の6年間は周りの友人から受ける影響が大きいのです。リモートでも勉強はできますが、誰と一緒に勉強するかというのは本当に大事です。本校では何でもチャレンジする生徒が多いので、自然と自分もやってみようと思えるようになるでしょう。完成して5年目を迎えた素晴らしい校舎と熱意ある教員をぜひ一度見に来てください」

取材日:2021.6.4