2023年、学校創立100周年。
基礎力養成と生徒のモチベーション向上を大切にする英語教育

保善高等学校

探究学習を通じて、社会を生き抜く力を養う未来考動塾

保善高校は100周年の歴史を誇る高校単独の男子伝統校だ。英語教育で4技能(読む・聞く・書く・話す)が重視される昨今においても、まずはその土台となる、文法・語彙・構文といった基礎力指導を徹底している。また、英検全員受検を推奨するなど、さまざまな機会が生徒のモチベーション向上に役立っている。これら英語教育の特色について、英語科主任の佐藤欣宏先生に話を聞いた。


保善高校には目指す大学の難易度別に、特別進学・大進選抜・大学進学の3つのクラスがある。英語のカリキュラムは授業を大切にし、各クラスのレベルに応じた指導を行っている。その中で共通しているのは文法・語彙・構文を重視していることだ。

グローバル時代の到来により、英語教育の流れが4技能(読む・聞く・書く・話す)重視になりつつある中、とりわけ文法・語彙・構文に力を入れている理由について佐藤先生はこう話す。

「進学校である以上、大学進学を視野に入れるとなると、例えば将来的に研究などで難解な英語に接する場合、基礎である文法・語彙・構文がしっかりしていなければ生徒が困ります。4技能をないがしろにしているわけではなく、むしろそれを伸ばす意味でも土台を鍛えることが必要です」

基礎を徹底することが、大学での英語力や、4技能の向上において、等しく重要であるという考え方だ。

授業は、男子生徒ならではの特性をうまくとらえ、やる気をアップさせている。例えば、佐藤先生の授業では、男子が自分の知らない世界に好奇心旺盛なことに注目。単語ひとつであってもその背景や豆知識をからめて授業をすると、一気に引き込まれて集中力が増してくるのを実感しているという。

また、学校全体でICT化が進み、昨年の1年生からiPadを貸与した効果も大きい。英語の授業では、英文をモニター画面に投影することで、板書する時間が削減され、その分、生徒とのやりとりが増えた。さらに、生徒の解答をiPad経由で送信し、電子黒板に表示させることで、フィードバックや意見交換が容易に行えるようになった。対面授業を大事にしている保善高校だからこそ、ICTが効果を発揮し、先生と生徒、生徒同士のコミュニケーションがさらに円滑になっている。

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英検受検で実力把握とモチベーションアップに期待

保善高校では、以前から英検全員受検を推奨してきた。英検である理由について佐藤先生はこう話す。

「級のレベル設定が各学年で培われる英語力に対応しています。そのため、授業の中で必要なスキルを鍛えることができます。また生徒が自分の習熟度を把握できるため、モチベーションを維持しやすいことも利点です」

実際、英検準1級1次試験に合格したことがきっかけで東大を目指し、今年見事合格した生徒もいる。

英検対策としては、民間企業が開発したアプリを導入。スピーキングや面接対策はそれまで教員が個別に対応してきたが、英検の重要度が上がり合格者が増えてきた中で、教員だけで対応しきれなくなった部分をアプリが担ってくれるようになった。生徒にとっても、あらかじめ級を設定することで自分に合った学習に取り組むことができる。教員も、アプリを使って課題を配信したり、生徒の進捗状況を把握できるようになった。

英語科主任|佐藤 欣宏 先生

授業以外では希望する生徒に対し、弱点克服や得意部分を伸ばす学習サポートが充実している。例えば、夏期講習や冬期講習などでの英検対策講座や外国人講師との集中英会話講座、セブ島在住の講師とのWeb英会話レッスンなどがある。

また、定期テストの1週間前に試験範囲に準拠した内容のスペリングコンテストが行われている。授業で身につけた語彙力の習熟度をはかるもので、成績優秀者は年度末に表彰されるなど、モチベーションを持って自学自習に取り組む工夫を行っている。

そのほか1・2年生を対象に、夏休みの15日間、ニュージーランドで実施される海外ホームステイ英語研修がある。ホームステイ先の生徒と一緒の授業や日本人向けの特別授業に参加したり、社会科見学として現地の観光地を巡ったりするなど、多彩なプログラムが用意されている。現在はコロナ禍により休止しているが、セブ島語学特訓研修とあわせてコロナが落ち着いたら再開する予定だ。

多彩なサポートのある保善高校だが、英語の苦手な生徒も少なくない。佐藤先生は「英語は非英語圏の人も含め、世界中で使われているコミュニケーションツールです。したがって、誰もが話せる可能性を持っています。もし今苦手でも、あきらめないでください。正しいやりかたで継続していけば、必ず修得できます」と語る。そしてこう続ける。「保善高校には、熱意のある教員が大勢います。生徒が自信を持って目標に向かっていけるよう、きっかけを与えながら指導していきます。本校でともに学べる日を楽しみにしています」

取材日:2022.9.3