生徒一人ひとりへのオーダーメイドの
サポート体制がある城北の数学教育

城北中学校・高等学校

「数学は暗記科目ではないので、問題が解けるようになるという成功体験が一番積みやすい教科でもあります」こう話すのが、城北中学校・高等学校で数学を教える村上雄太先生だ。毎年、東大をはじめとする国公立大や難関私立大に数多くの合格者を輩出する城北の数学教育について、村上先生に話を聞いた。


数学の授業では、教員が説明しながら板書したものを、生徒が聞きながらノートに書き写すというのが一般的だ。しかし、黒板の内容を書き写すことに集中してしまい、説明を聞くことがおろそかになってしまう場合も多いという。また、授業を聞いても、理解が浅いまま、「わかった」気になってしまうこともある。しかし、「"わかった”からといって、"できる”ようになるわけではない」と、城北中高の村上雄太先生。続けて、こう説明する。

「"わかる”と"できる”は別で、授業の内容がわかっていても、問題を解けるようにはなりません。数学に限らず、物事に対して"わかる”で終わらずに、深く考察、行動していくことで、物事の見方が変わってきますよね。ですから、私の授業では、生徒自身が頭を動かし、手を動かす時間を多くとっています」

村上先生の授業では、説明のときにはペンは持たせず、聞くことに集中させている。説明が終わった後、その内容について生徒自身が考えながらノートに記し、問題に取り組んでいく。"聞く”と"書く”を同時進行で行うより時間はかかるが、授業の内容をしっかり理解させるためには重要なことだという。

また、数学の問題は、"初手”を適切に選ぶことが解答への第一歩となる。そうすることで、答案作成がスムーズになる。授業で問題を解くときも、すぐに解き始めるのではなく、「なぜ、最初にこの定理を使うのか」という根拠を説明し、道筋を立てて取り組むことで、初手をつかみやすくなるように指導している。

教員作成のオリジナルプリントを数多く配布している点も、城北の数学教育の特色だ。年間、かなりの量になるという。生徒のレベルに応じてプリント類を用意することで、数学が苦手な生徒をフォローするとともに、得意な生徒の意欲も高めている。ICT環境が整っている城北では、数学の授業でも活用。図形問題など、言葉で説明するだけでは伝わりづらいことが、モニターを使うことで理解しやすくなる。数学の授業も日々、進化している。

近年、数学の重要性が再認識される中、注目されているのが論理的思考力(ロジカルシンキング)だ。村上先生がこう説明する。

「私が考える論理的思考力は、"物事を逆算する力”です。つまり、一つの目標を達成するにあたり、与えられた条件をもとに物事を逆算しながら、道筋を立てていくということ。そういう力を養えるのが数学です。これからの社会は、文系・理系を問わず、こうした力が求められるようになります」

一人ひとりに合った受験指導で、塾に通わず、難関大に合格する生徒たち

城北では、大学受験に向けて高2から文系・理系に分かれて取り組んでいく。文武両道の校風がある同校では、高3の夏まで部活動に励む生徒が多いものの、塾には通わず、学校の勉強だけで難関大に合格する生徒も多数だ。各教科の教員が生徒一人ひとりの状況に応じて、きめ細かくサポートしているからだ。村上先生が言う。

「本校の一番の魅力が、やりたいことに全力で取り組める環境が整っている点です。勉強はもちろん、運動部や文化部の数が多いので、熱中できるものを選びやすいと思います」

城北には、卒業後も遊びに来るOBが多いという。アットホームで居心地が良い雰囲気もまた、同校の魅力だろう。

卒業生からのメッセージ

城北は、先生と生徒の距離が近く、相談しやすい雰囲気がありました。高2の春に一橋大を目指すことを決めたものの、数学が得意ではなく、高2の夏の段階では合格できるレベルではありませんでした。そこで、中1から数学を教わっていた村上先生に相談したところ、プリントを作成してくれたり、問題集を選んで、アドバイスをくれました。その通りに勉強を進めて、高3の春には数学の偏差値が一気に上がりました。私の得意分野や弱点などを知った上で、的確に指導してくれたおかげだと思います。また、城北の国立文系クラスは、東大、京大、一橋大の志望大学ごとに指導してもらえます。一橋大の数学の過去問を1970年代から持っている先生もいて、高3の2学期から毎週2〜3年分解くことで、一橋大特有の入試問題に慣れることができました。大学入学後、他校の出身者に聞いても、そこまで丁寧に指導してくれる学校はないようです。

 

先輩や後輩との関わりが深いのも、城北の特色です。今年の夏、卒業生として高2・3対象の入試懇談会に参加し、一橋大を志望している後輩に、大学の話や受験勉強のアドバイスをしました。そのときの後輩とは、交流を続けています。

 

今、商学部で学んでいますが、中高の6年間、数学をしっかり学んでよかったと思います。私がいる商学部は、大学でも数学を学びます。文系の場合、高3で数学を選択しない人もいますが、大学の高度な数学を理解するのは大変かもしれません。

 

大学に入った今も、戻りたいと思うくらい、城北で過ごした日々は楽しかったです。6年間皆勤で通いました。特に、大学受験のときはみんなが一丸となって取り組む、城北特有の“ファミリー感”があり、特別な時間を過ごせたと思います。

一橋大学商学部1年|寺澤 篤哉さん

取材日:2022.8.1