多様性を尊重し、
一人ひとりの個性を伸ばす駒込イズム
駒込中学校・高等学校
多様性が重視される中、生徒たちが個性を輝かせながら成長する学校づくりに力を注いでいる駒込中学校・高等学校。約15年前から、新たな時代を見据えた「駒込ミレニアム改革」を実行。この改革が志願者の増加にもつながっている。改革を先導してきた河合孝允校長に話を聞いた。
―時代を先取りした改革を実行しています。
河合 多様性(ダイバシティー)を主眼に、学校改革を進めています。
21世紀の後半には、AI(人工知能)がすべての産業分野に進出し、今ある職業の大半がAIに代替される時代がやってきます。そういう時代を生きていく今の生徒たちには、「どれだけの知識を身につけたか」ではなく、「知識をどう社会に生かしていくのか」という視点が大切です。と同時に、主体性を持つことや自己肯定感も欠かせないものです。そうした力を養える、生徒の未来を保障できる学校づくりを進めています。
中学入試で適性検査型入試や自己表現入試、英語入試など、多彩な入試を導入したのも改革の一環です。未来志向の人材を受け入れるこれらの入試を中心に、受験生が倍増しており、説明会などの参加者も増えています。
―仏教教育に基づく人間教育を実践しています。
河合 300年以上の歴史と伝統を持つ本校は、仏教的情操教育を基盤とした人間教育を実践しています。仏教の教えである「悪事を己に迎え 好事を他に与え 己を忘れて他を利するは 慈悲の極みなり」とは、「利他心(他者のために役立とうとする心)」のこと。この心を養うために、仏教教育を通じた「心の教育」を行っています。勉強で得た知識を、他者への思いやりにつなげていってほしいと思います。
「自己への気づき学習」として、修行生活を体験する中学での日光山研修や高校での比叡山研修など、さまざまな行事があります。非日常的な体験を通じて自分と向き合い、利他の心を養う取り組みです。
一方、今の生徒たちに起こっている問題の多くが保護者の問題でもあります。ですから、現代の学校教育においては、保護者教育という視点も大切です。本校では、保護者対象の仏教講和や子育て講座などを実施。生徒と保護者、教員が三位一体となり、教育活動を進めています。
―ICT教育やグローバル教育、STEAM教育など、独自のプログラムがあります。
河合 教員が一方的に授業を行うのではなく、生徒がICTを活用しながら主体的に学び、学力を伸ばすことが、本校のICT教育の狙いです。アクティブラーニング型の授業をはじめ、さまざまな形で取り入れています。
グローバル教育にも力を入れています。英語の4技能をバランスよく修得するために、1クラスを2分割して行うネイティブ教員によるティームティーチングや、オールイングリッシュの授業、オンライン英会話など、多彩な取り組みがあります。また、オセアニアを含めた日本やアジア・太平洋地域での教育を強化。中3のセブ島語学研修をはじめ、希望者対象のハワイセミナー、マルタ島短期留学、オーストラリア・ニュージーランド海外中期・長期留学制度など、学外でのプログラムを充実させ、国籍や言葉の壁を越えて活躍できる人材を育てています。
STEM教育では、日本の代表的なSTEM教育研究機関である「埼玉大学STEM教育研究センター」と提携。身近な問題を発見して、解決案を見出していく独自の探究学習を行っています。実践的な学びが多く、学外のプログラムにも積極的に挑戦して、高い評価を受けています。
―駒込の生徒は多方面で活躍しています。
河合 勉強はもちろん大切ですが、一人ひとりの興味・関心を深めていくことも、学校教育では大切なことです。本校にはその環境があり、異なる価値観を持つ生徒が共存しながら、積極的に活動しています。
学外のコンテストなどで優秀な成績を収める生徒も多く、世界最大級のロボットコンテスト「VEX ワールドチャンピオンシップ2022」では、中1の生徒が日本代表に選抜され、今年5月に開催された世界大会に出場しました。また、第8回宇宙エレベーターロボット競技会リージョナル中高生部門で優勝した生徒もいます。さらに、全国高校生建築提案コンテストや科学の甲子園東京大会でも活躍しています。
書道では団体として「全国書初め作品展覧会」で全国3位の日本郵政社長賞を、第64回全国硬筆作品展覧会において全国優勝、書道部は第二回書道パフォーマンスグランプリ関東大会出場するなど、数多くの展覧会で入賞しています。この他、柔道部やサッカー部、和太鼓部なども大会に出場し、好成績を収めています。
―受験生や保護者に向けてメッセージをください。
河合 まずは、なりたい自分を見つけてください。そのためには、互いの努力を認め合える仲間がいる学校を選ぶことが大切です。多様性を認める駒込には、君たちの夢を笑う人はいません。是非本校で学び、なりたい自分を実現してください。
取材日:2022.9.21