生徒が本当に学びたい進路選択を実現!
麴町学園女子中学校高等学校が取り組む、高大連携

麴町学園女子中学校・高等学校

麴町学園女子中学校高等学校では進路選択のミスマッチを防ぐための、キャリア教育や大学との学校間教育連携による進学の取り組みに力を入れている。その目玉となるのが、2017年からスタートした「東洋大学グローバルコース」。同コースでは、定期的に大学の模擬授業等を受け、英検など一定の基準を満たすことで、全員が東洋大学に進学することができる。東洋大学や東京女子大学など現在6つの大学と、一定の基準を満たすことで進学が可能になる高大連携を締結。全国でも数少ない取り組みについて、進路指導部部長の花形映里先生と総務部部長の上田翼先生に話を聞いた。


麴町学園女子中学校高等学校の高大連携について、花形先生は「生徒のキャリア教育やよりよい進路指導への取り組みの一環としてスタートした」と話す。

「大学を選ぶ際に、生徒自身が『自分は大学で何を学ぶのか』をしっかりと見据えた上で進路選択をしてほしいという思いがあり、本校では、早くからキャリア教育に取り組んできました。さらに、生徒の『この大学で学びたい』、『この学部で学びたい』という意欲に応えるしくみとして、導入されたのが、大学側が求める一定の条件をクリアすることで、進学ができる高大連携です」(花形)

2016年に東洋大学との間で関東初となる学校間教育連携が決まり、17年度高校入学生から、「東洋大学グローバルコース」の募集が始まった。東洋大学は、同校の生徒の進学希望者が最も多い大学のひとつだ。また、文部科学省のスーパーグローバル大学(SGU)創成支援の採択校である点が国際社会で役立つ英語力を育む同校の教育目標と一致したことも大きい。

初年度は約40名で始まった同コースの希望者は年々着実に増加。1期生や2期生の大学進学実績も人気を後押しした。

また、東京女子大学などとも、一定の基準を満たすことで進学可能な高大連携を開始。現在6校と連携を締結し、今後も生徒のニーズに合わせて、提携先を広げていく予定だ。

花形 映里 先生

大学との交流を重視し相互理解を深めて進学する

東洋大学グローバルコースが高い注目を集める点について、花形先生は大きく2つ取り上げる。

「1つは、評定平均値や英検2級以上の英語力などの条件をクリアすれば、全員が大学に進学できるという大規模な推薦枠があること。14学部36学科と幅広い選択肢があります。もう1つは、模擬授業などを通して、大学の学びを理解する機会が、豊富に設けられていることです」(花形)

具体的には、同コースでは高校1年生から2年生と合同で、月1回、大学連携講座を実施。2年間で連携学部13学部すべての学部説明や模擬授業、在学生との交流会などに参加することができる。

「また、本校の生徒は、みんなではげまし合って頑張るということが得意です。英検2級などの目標達成に向けて一致団結して取り組めることも、同コースのメリットですね」(花形)

一方、中高6年一貫コースの生徒には、高大連携校との大学連携講座が設けられている。高校1年生から週1回のペースで、大学での学びや社会について興味・関心を広げることを目的とした授業を行うほか、月1回連携校の大学での模擬授業や教員による出張講座など活発な教育交流が実施されている。

「一般的な指定校推薦の多くは、事前に大学との交流がほとんどありません。そのため、進路選択の際にイメージのよさなど表面的な理由で大学を選んでしまい、入学後のミスマッチにつながる可能性があります。本校の高大連携では、高校1年生のうちから、大学や大学の学びについて理解を深めることで、自分に合った進路を選び、目標達成に向けて意欲的に学んでいくことができるのです」(上田)

上田 翼 先生

英語やキャリア教育など強みを生かした進路指導へ

同校が、高大連携を積極的に進めていくことができる背景には、独自のカリキュラムがある。

まず、中学1年生からの「Active English」によって、多くの生徒が実践的な英語力を備えていること。高校3年生時点での英検2級以上取得率は年々上昇し、21年度には67・9%に達している。こうした高い英語力が、国際的に活躍する人材育成を目指す大学側のニーズとしっかりと合致する。

さらに、オリジナルキャリア教育である「みらい科」も大きな役割を果たしている。中学1年生から高校2年生まで週1時間実施される授業では、国際理解や職業体験などさまざまな学習と体験を経て、その集大成として、生徒自身が研究課題を選び、1万文字の「みらい論文」を作成する。

「好きなことや興味のあることを突き詰めていき、研究としてまとめた成果は、生徒にとって大きな財産になるだけでなく、中高で力を入れた取り組みとして推薦入学の面接時などに高い評価をいただくことも多くあります。本校が力を入れてきた英語教育やキャリア教育が結果的に、生徒の進路選択をバックアップできていることは、非常に嬉しいですね」(上田)

「本校は生徒と教員の距離が近く、担任だけでなくいろいろな教員が生徒と関わっています。本人が気づいていない生徒の可能性を教員がうまく見つけ出すとともに、高大連携などのしくみと連携し、よりよい進路指導につなげていきたいと思っています」(花形)

取材日:2022.9.16