最先端のICT教育と、一人ひとりに向き合う指導が
「グローバル・リーダー」を育成する

東京都市大学 等々力中学校・高等学校

「誇り高く高潔な若人は、果たすべき責任と義務がある」という「ノブレス・オブリージュ」の精神のもと、「共生・英知・高潔」の3つを教育目標として掲げる東京都市大学等々力中学校・高等学校。同校では、「共生」を、お互いを尊重しながら意見を交わすアサーティブな人間関係を構築すること、「英知」を、自分が認知していることを客観的に把握するメタ認知能力を高めること、そして「高潔」を、困難に直面してもひるまない強い心と定義している。2010年の共学化以降、急成長を遂げてきた背景について、原田豊校長に話を聞いた。


ー大学進学実績が好調です。

原田 今春の国公立大の合格者数は計84人、早慶上理は計145人、GMARCHは353人で、いずれも過去最高の合格者数になりました。また、現役進学率が高いのも特徴です。毎年約9割で、今年は93%でした。

ー大きく伸びた要因は何でしょうか。

原田 最大の理由は生徒のメタ認知能力、すなわち自学自習力が上がったからだと思います。本校では「TQ(Time Quest)ノート」を用いて日々の生活や勉強のスケジュールを管理するよう指導しています。隙間時間の大切さに気付き、短い時間で集中して勉強できるようになります。さらに、毎日の学習を習慣化させるサポートとして、「システムZ(ゼータ)」という学習支援システムを導入しています。AIを活用した記憶定着アプリで英語学習に取り組んでいます。

また、学習効果を高めるため、自習環境を整えることに力を注いでいます。今までは、中高校舎のワンフロアを自習エリアとして開放していました。今年の5月からは、道路を挟んだ向かい側にある、東京都市大学の建物を等々力リテラシーセンターと名付け、新たに自習室として利用しています。1階には進路指導の拠点となるアナライズセンターや教え合いのできる自習室、質問コーナー、軽食の自販機を設置しているリフレッシュルームなどがあります。2階と3階は自習スペースです。これまでも自習する生徒は多かったのですが、新しい自習室ができてからは大幅に増えました。普段過ごしている校舎から少し離れた場所に行くことで、自然と意欲がわき、集中力が高まるようです。中学生と高校生が同じ空間で勉強しているため、高校生の先輩の集中している姿に中学生も圧倒されて、静かに勉強しています。

コロナ禍での休校中は、生徒の発案により、自宅で自習している様子をインターネットでつなぐオンライン自習室が開催されたそうです。皆で励まし合って勉強できることが現役生の強みですね。

ー先生方も熱心に取り組まれているそうですね。

原田 高3の進路希望調査の結果を検討する「マッチング会議」を年に3回実施しています。生徒一人ひとりに対し、希望する進学先の合格可能性を全教員が評価し、場合によっては別の受験先を提案します。生徒のためになるのはもちろんですが、新任教員や進路指導経験のない教員が進路指導スキルを身につける機会にもなっています。

私立大は試験日が重ならなければ何校でも受験できますが、国公立大は試験日が限られており、受験できる学校数に制限があります。従って、国公立大受験では細かく戦略を立てる必要があります。綿密なマッチング会議と三者面談により、国公立大の合格者数が大きく伸びたと考えています。

ー授業やその他の活動の様子を教えてください。

原田 今年の6月にICT(情報通信技術)フェアを開催しました。全国からICT教育に関心のある先生方を招き、保護者や受験生にも授業を公開しました。本校の教員はフェアのために、今まで培ってきたICTスキルを存分に生かした研究授業を作りました。

また、研修にも意欲的に参加し、スキルアップを図っています。本校ではアクティブ・ラーニング型の授業を展開するにあたり、「知識構成型ジグソー法」を導入しています。全教員がワークショップ型の研修を受けて、協働学習法を学んでいます。

この他、今年から新たに高校の必履修科目になった「歴史総合」では、反転授業を行っています。反転授業とは、家庭で予め映像教材を見て予習し、学校の授業でアウトプットを行う授業です。社会科の教員が検討を重ねて授業動画を作りました。

全教員がさまざまな活動に前向きに取り組んでいます。得意な人だけが頑張るのではなく、全員が関わってできるようになることで、相乗効果が生まれています。

感受性の強い探究型の人材を育成

ー理科教育に力を入れているのはなぜですか。

原田 実験を重視した理科教育「SST(Super Science Todoroki Program)」を実施しています。単に理数系に強い人材を育成するためではなく、自然現象に対する驚きを感じてもらうのが目的です。中高生のうちにそうした経験を積むことで、目の前のあらゆる現象や社会の諸相などに対して「アニマシオン(魂の揺さぶり)」を感じるようになります。理科教育をきっかけとして、感受性の強い、探究型の人材に育ってもらいたいです。

ーグローバル教育では何を目的としていますか。

原田 英語能力をしっかりと身につけることを目指しています。そのために一番重視しているのは音読です。日々さまざまな音読の手法を実践しています。また、イギリスの名門パブリックスクールのラグビー校と二校間交流を行ったり、医療・理系分野に特化した語学研修をオーストラリアで実施したりしています。日本人としてのアイデンティティーを確立した上で、異文化理解を学べるように指導しています。

ー今後の目標を教えてください。

原田 研究論文などを題材にした授業をもっと取り入れたいですね。答えのない問いに対応する力を育てたいです。一方で、知識をしっかり詰め込むことも重要だと考えています。また、ボランティア活動という形で社会貢献にも力を入れたいです。そうしたことを今よりもさらに明確に方針を定めて取り組んでいきたいです。すべての生徒が力を伸ばし、ノブレス・オブリージュの感覚を持った卒業生が、世界のため、日本のため、地域のために自ら率先して貢献できるようになってくれることを望みます。

ー受験生や保護者に向けて、メッセージをお願いします。

原田 まだまだ若い学校ですが、大学進学実績を始めとする多くの実績をさらに積み上げていく可能性を秘めています。一緒に輝かしい伝統や歴史を作っていきたいという向上心のある受験生をお待ちしています。

取材日:2022.8.17