互いの良さや違いを認め合う文化を土台に、
安心して自分のやりたいことにチャレンジできる学校

埼玉栄中学・高等学校

互いの良さや違いを認め合う文化を土台に、安心して自分のやりたいことにチャレンジできる学校

勉強や部活動で好成績をおさめている生徒が多数在籍する埼玉栄中学・高等学校。最近は生徒による自発的な取り組みが、さまざまな活動に広がっている。自由にやりたいことができる校風はどのように培われているのか。生徒の成長を間近で見てきた林昭雄教頭に、魅力ある学校づくりについて話を聞いた。


医学・難関大・進学の3クラス制

中学には、医学クラス、難関大クラス、進学クラスの3つのクラスを設置。世界で活躍する医師を育てる医学クラスでは、ベースとなる学力や知識のほか、医師としての倫理観や正義感、公共のために尽くす心を6年間かけて養っていく。大学の医学部を訪問して実際の臨床現場を見学したり、大学教授による講義や出前授業の機会もある。今年の2月には中3の生徒を対象に、埼玉医科大学の教授を招いてがん教育出前授業を行った。

難関大学への合格を目指す難関大クラスでは、東大のキャンパスや史料編纂所の見学、官公庁訪問などを実施し、学習や進学に対する意欲を高めている。

進学クラスは国公立大から難関私立大など、幅広い進路に対応するクラスだ。勉強と部活動を両立しながら、主体的に学ぶ姿勢や高い表現力を養っている。

自学自習の姿勢を後押しする学習システム

埼玉栄では朝の0時限と夕方の7時限に希望制の選択授業を実施している。どちらも英語・国語・数学の3教科が中心だ。7時40分から始まる0時限では、主に通常授業の復習を行い、基礎力を定着させている。16時から16時50分までの7時限は、外部講師も加わって発展的な演習が中心だ。0時限、7時限ともにクラスに関係なく多くの生徒が受講しているという。7時限授業では中学生が高校生の講座を受講することも可能だ。自学自習について、教頭の林昭雄先生がこう話す。

「最近は、学習習慣が身についている生徒が多く入学するようになってきたので、そのモチベーションを維持して高めていく方法を常に模索しています。生徒の勉強への意欲をさらに高めていくにはどうすればいいか、それを考えるのが我々教員の役割ですね」

一方、教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)にも力を入れ、教職員の作業効率化を図っている。例えば、出席簿をデジタル化し、iPad上で管理することによって、生徒の出席状況を処理する負担を軽減した。また、保護者へのお知らせも紙で印刷せずに、データを配信している。さらに、教科ごとの小テストなどをWEBで実施し、採点も自動で行うシステムを導入した。

「教育DXを進める目的は、教職員の負担を軽減することで、それによって空いた時間を生徒に使ってもらうためです。実験的に行っているWEBテストは、大問や小問ごとに点数を自動集計できるので、弱点が一目瞭然です。重点的に教えるべき項目が明確になり、その後の指導にも役立っています。生徒自身も容易に結果を分析できるので、苦手な科目にも取り組みやすくなったのではないでしょうか」(林教頭)

校内だけでなく校外にも広がる自主的な活動

生徒が勉強や運動以外のさまざまな活動に取り組んでいるのも特徴だ。埼玉栄の生徒会は、SDGs(持続可能な開発目標)をもとにして「栄版SDGs」を作成した。「地域や社会に貢献しよう」「いじめをなくそう」など、身近な問題をテーマにしている。この栄版SDGsに沿って課題解決策を考えるプレゼンテーションコンテストも開催した。また、創設4年目を迎えた総合探究部は「西大宮子ども食堂SAKAE」を実施。近隣の飲食店などの協力を受けて、不定期でお弁当やその他の食品の配布を行っている。

「お互いの良さや違いを認め合える関係づくりができていて、さまざまなことを発想して自分でやってみようと思える雰囲気があります。教員も頭ごなしに否定することは一切なく、一緒にやってみようとサポートするため、生徒が安心して挑戦できるのだと思います」(林教頭)

自分の可能性を探る取り組み

キャリア教育については、中学では企業のトップ陣を招いた教育講演会。高校では生徒が自ら選んだコースで企画立案から取り組んでいく職業体験などを実施している。埼玉県看護協会の出前授業など、希望者を対象とした中高合同の講義もある。

「ほかにも生徒会が企画して、中3の代表生徒に成果をあげやすい勉強法や中学時代の過ごし方について語ってもらう会を開催しました。最初は他の人の真似からはじめて、徐々に自分に合った方法を見つけてもらえればと考えています」(林教頭)

大学合格実績については、国公立大、早慶上理、GMARCHなどの合格者数が順調に伸びている。近年増えている総合型選抜の対策として、探究学習にも力を入れている。中学生がいる階に高3の一部クラスを設置することで、中学入学直後から、先輩を通じて大学受験を意識できる環境がある。また高大連携にも積極的で、日本大学のほか、芝浦工業大学とも協定を結んだ。

最後に、受験生に向けて、林先生がこうメッセージを送る。「埼玉栄は自分のやりたいことや、勉強したいことを大事にする学校です。生徒の"挑戦したい〟という思いを教員が全力でサポートします。都内から近く、最寄り駅から徒歩4分とアクセスも抜群です。ぜひ見学に来て、本校の雰囲気を知ってもらいたいです」

取材日:2023.5.30