創って学ぶ「青学つくまなラボ」で
自由な発想力と創造力を磨くマイコン部

青山学院中等部

青山学院中等部には、40年以上の歴史をもつマイコン部がある。活動場所は青山学院構内にある「青学つくまなラボ」。「創ることで学ぶ場」がコンセプトの、2023年5月に設置された施設だ。マイコン部の活動やつくまなラボの取り組みについて、中等部の濵口拡輝先生と青山学院大学特任教授でつくまなラボスタッフの阿部和広先生、4人の生徒に話を聞いた。


青山学院中等部のマイコン部は、1982年の設立以来、生徒の興味・関心に沿った様々なものづくりを行っている。現在の部員数は3学年計34人で、週2日活動している。活動場所は、アイデアを形にする力を養う場として、2023年に青山学院構内に設置された青学つくまなラボ(青山学院大学 革新技術と社会共創研究所 Aoyama Creative Learning Lab)だ。3Dプリンターやレーザーカッターといった、ものづくりに関わる多種多様な機材が揃い、自由に使用することができる。マイコン部では、入部直後から3Dプリンターなどの操作方法を学び、自由に作品制作に取り組んでいる。生徒の様子について、顧問の濵口拡輝先生がこう話す。

中等部|濵口 拡輝 先生

「様々なことに柔軟にチャレンジし、試行錯誤を繰り返すことで、粘り強くやり抜く力を身につけてほしいと考えています。生徒が自ら取り組む内容を決めるため難しい場面もありますが、少しずつ試してみたいことが見つかっているようです。実際に機械を使って作品が完成すると、生徒はとても感動します」

ゲームのキャラクターやラジコン、音楽制作ソフトを使用した作曲、動画制作、クレーンゲームなど、生徒が作るものは独創的で、種類も多岐にわたる。「作りたい」という思いを原動力に、高度な内容も自主的に学習しているという。

また、つくまなラボには、卓越した専門知識をもつスタッフが常駐。このほか、大学生や学外の技術者、著名な教授もたびたび来訪する。生徒は積極的に交流し、新たなアイデアを生み出しているという。中学生の段階から、一流の技術者や異なる年代の人と交流できるのはとても貴重な経験だ。つくまなラボ教員の阿部和広先生がこう話す。

青山学院大学特任教授|阿部 和広 先生

「私たちの役割は指示を出すことではなく、生徒自身がやりたいことをサポートし、潜在能力を引き出すことです。生徒がもっている創造力をさらに伸ばすために、好きなことややりたいことを制限することはしません。自らが『やりたい』と思う自主性を尊重しています。様々な可能性を秘めているつくまなラボで、自分の『好き』を見つけてほしいと思います」

生徒の作品は、日本最大規模のものづくりイベント「Maker Faire Tokyo 2024」で展示される。作品に対して学外の人からコメントをもらうことが、生徒の喜びややりがいにつながっている。

今年度は、手作り電気自動車の速さやデザインを競う「エコ1チャレンジカップ」に計8人のチームで参加。昨年度まで中等部の選択授業で製作していた電気自動車を、マイコン部が引き継いだ。タイヤやモーターの部品を変更するなど、技術的な改善に取り組み、技術賞を受賞した。

「生徒一人ひとりが役割を担い、協力して取り組みました。他のチームとも情報交換し、お互いの技術を高め合う様子が見られ、生徒の成長を感じました」(濵口先生)

自由な発想と主体性を尊重する環境で、生徒たちは様々なことを経験し、創造力をさらに伸ばしていくに違いない。

最後に、受験生や保護者に向けて、阿部先生と濵口先生がこうメッセージを送る。

「つくまなラボのように一流のスタッフが揃い、豊富な機材を自由に使用できる施設は他に類を見ません。ものづくりが好きな人にとって、これ以上ない最適な環境です。青山学院で学校生活を送り、創造性を育んでほしいと思います」(阿部先生)

「中等部生はお互いの自由な発想や個性を認め合い、世代を超えた交流など、多彩な経験をしています。皆さんも日常の様々なことに目を向け、色々なことを経験してください。重要なのは、経験に意味があるかどうかではなく、何事にもチャレンジすることです。その経験をヒントに、新しいアイデアをたくさん生み出してほしいと思います。」(濵口先生)

STUDENT VOICE

Kさん(中3)

これまで3Dプリンターを使用してパイプオルガンなどを制作しました。難しい作業もあり、何度も失敗しましたが、試行錯誤を繰り返して完成したときにはとても感動しました。失敗してもあきらめない忍耐力が身についたと思います。つくまなラボには専門的な機械がたくさんあり、幅広いジャンルのものづくりができます。大学の先生方からいつでもアドバイスを受けられることも魅力です。中学生の頃からこのような環境で活動できることは大きなメリットだと感じています。

Sさん(中1)

幼いころから工作が好きで、入学前からマイコン部に入部したいと思っていました。これまで3Dプリンターを使ってペン立てや置物などを制作しました。現在は、プログラミングツールを用いて料理ゲームを制作しています。先輩が作っているような可動式のおもちゃの制作にも挑戦したいと思っています。つくまなラボは中等部から少し距離があるため、新鮮な気持ちで作品制作に臨むことができます。ものづくりに没頭できる環境が整っていて、以前よりも集中力がついたと感じています。

Yさん(中1)

入学前に、文化祭でマイコン部のクレーンゲームの展示を見たことが入部のきっかけです。入部後は主に3Dプリンターを使って作品を制作してきました。図形を組み合わせて自分が作りたい形を設計する過程がすごく楽しいです。現在はプログラミングにも挑戦し、先生に教えてもらいながら簡単なゲーム制作に取り組んでいます。つくまなラボには他の人の作品が数多く置いてあり、鑑賞するのも楽しいですし、新たなアイデアが浮かぶこともあります。ものづくりの場として最適で、好きなことをのびのびとできる環境だと思います。

Nさん(中1)

私は3Dプリンターが印刷している様子を見るのが大好きで、日常生活では触ることのない機械を使うことにワクワクしながら作品制作に取り組んでいます。実際に自分で使うものを作ることをモットーに、お箸や鉛筆のキャップなどを制作してきました。今は貯金箱を作っています。3Dプリンターを何度も使用したことで、繊細な作業も得意になりました。つくまなラボをはじめ、青山学院中等部ではこれまで体験したことのないことをたくさん経験できます。この環境を活用して、入学後はいろんなことにチャレンジしてもらいたいです。

取材日:2024.9.13