学校として常に進化し続けることで
未来の社会で活躍できる人材を育てる

広尾学園小石川中学校・高等学校

「自学創造」を実現するきめ細かな教育プログラムを実践

広尾学園との教育連携によって、2021年に広尾学園小石川中学校・高等学校と校名変更し、同年からの共学化に加え、2024年からは完全中高一貫校として体制を整えた。広尾学園と同等同質の教育を掲げる一方、自然と文化に恵まれた文京地区の利点を活かした学びにも力を入れる同校の教育について、教頭の遠藤賢先生に話を聞いた。


―御校の教育理念について教えてください。

本校の教育理念は「自律と共生」です。帰国生など多様なバックグラウンドを持つ生徒が集まる本校で、お互いに切磋琢磨し、将来国際社会で活躍できる力を身につけていってほしいという思いが込められています。

この教育理念を体験する最初の機会として、入学式後すぐの4月にオリエンテーション合宿を行います。合宿では生徒一人ひとりが自分の夢について考え、それを叶えるための自己目標を設定し、他の生徒の前で宣言します。言葉にすることで夢への一歩を踏み出すとともに、ほかの生徒の夢を知ることで共に高め合っていこうという仲間意識も生まれます。さらに、どんなクラスをつくっていきたいか、どんなクラス目標を立てるのかについてディスカッションし、発表します。この発表方法は生徒たちに任されているのですが、大きな紙にイラストを描いたり、歌をつけたり、芝居仕立てにしたりと、クラスの個性が表れてとてもユニークなんです。ディスカッションでは時に意見がぶつかり合うこともありますが、最終的に一つにまとめ、そのクラスらしい表現へとこぎつける生徒たちのチームワークにはいつも感心しています。その後も、日々の授業やクラブ活動、学校行事などを通じて、生徒たちの中に「自律と共生」の精神が育まれていきます。

英語力や進路に合わせた2つのコースを設置

―インターナショナルコースと本科コースはどのようなちがいがあるのですか?

どちらも6年間を通したカリキュラムを設置しており、中学2年時点で中学の教育課程を終えて、3年から高校の先取り授業に入り、高校3年にあたる6年生では生徒の希望する進路に応じた受験対策に取り組みます。

インターナショナルコースは、海外難関大学への進学なども視野に入れたコースで、英語力を武器として進学を目指します。帰国生など既に一定の英語力を持った生徒のアドバンストグループ(AG)と、これから英語力を身につける生徒のスタンダードグループ(SG)に分かれています。ホームルームや美術などの一部の授業はAGとSG合同で、英語での授業を受けます。SGの生徒は英語でのホームルームに戸惑うこともありますが、AGの生徒の手助けを受けるうちに、次第に英語に慣れていきます。

本科コースは文理を問わず広く学ぶなかで自分の強みを発見し、進路を探していきたい生徒のためのコースです。1年生から本格的なキャリア教育プログラムを受講し、将来への視野を広げます。本科コースでは国内の国公立大学や難関私立、医学部などを目指します。

AGの生徒は高校進学時にインターナショナルコースに進んで海外大学を目指しますが、SGの生徒の中には本科コースに進学する生徒もいます。SGでも本科でも、海外大学への進学を目指すのであれば、試験などを経て、インターナショナルコースにも進学できます。また、コースやクラスが異なっていても学校行事などを通して生徒たちはとても仲がいいですね。

遠藤 賢 教頭

多くの研究機関・施設と連携し生徒に豊かな学習体験を提供

―広尾学園と合同で行なっている取り組みについて教えてください。

教育連携によって、通常の教科授業については、基本的に同じカリキュラムとなっています。その他では、広尾学園のキャリア教育プログラムの一部に本校の生徒も参加しています。例えば「スーパーアカデミア」という最先端の研究者や第一線で活躍する方々を講師に招いての講座や、ロボットの基礎を学ぶ「ロボット・プログラミング」、「宇宙天文合宿」などです。また、海外研修やクラブ活動を合同で行うこともあります。生徒会同士の交流も盛んで、教育だけでなく学校生活のさまざまな面で連携することで、お互いによい刺激となっています。

―小石川独自の取り組みについて教えてください。

文京地区である本校の近くにある施設と連携した取り組みを行なっています。ひとつは世界最大級の東洋学専門図書館・研究機関である東洋文庫で、生徒はいつでも展示を見学できるほか、博学連携で狂言などのワークショップも開催しています。また、歴史ある男子学生寮の和敬塾のスポーツ施設を部活動などでお借りしています。

そのほか、東京藝術大学でのアート体験ワークショップや東京都立産業技術高等専門学校でのロボット講習なども実施しています。さまざまな体験を通じて、生徒たちにはぜひ学びや進路選択の幅を広げていってほしいですね。

常に進化を続ける未来志向の学校でありたい

―ここ数年、合格実績が大きく伸びていますね。

広尾学園小石川となった2021年から最初の3年間は高校入学生を募集していましたが、その時に入学した、いわゆる高入生の第1期生が24年に卒業しました。国公立大学、早慶上理、GMARCH、医師薬学科すべて大幅に伸びています。特に、海外大学進学は前年0名から23名となり、大きな変化を感じています。授業だけでなく、キャリア教育を通じてより高みを目指していこうという向上心の醸成が結果に表れたのではないかと考えています。中学入学生をはじめとする生徒たちにも、自分の夢を叶える進路に向けて挑戦していってほしいですね。

―完全中高一貫制がスタートした今年度、12月には新校舎も完成しますね。

本校の敷地内のほぼ中央に位置する新校舎には、多目的ホールや図書室を併設した自由な学習スペースであるラーニングコモンズ、カフェテリアなど、生徒が集まって活動するための施設をつくっています。もちろん、新たな教室も設置予定で、ゆとりのある環境で学べるようになりそうです。生徒たちも完成を心待ちにしていますよ。

―最後に受験生と保護者へのメッセージをお願いします。

本校は2021年に広尾学園小石川として新たな一歩を踏み出して以来、カリキュラムや教育プログラムの改良を続け、進化しています。それは単に本校が新体制へ移行しているという理由だけではありません。変化の激しい現代社会において、未来の社会人となる子どもたちの教育の場である学校は、常に先を見据え、世の中の動きに機敏に反応していく必要があるからなのです。これからの本校にも、ぜひ期待をしてください。

取材日:2024.9.12