主体的に行動する力を養い、
自己の可能性を広げていく

本郷中学校・高等学校

創立100年を超える伝統と歴史の中、社会でリーダーとなる人材を数多く輩出してきた本郷中学校・高等学校。三つの教育方針「文武両道」「自学自習」「生活習慣の確立」のもと、自分で学ぶ力を高め、主体的に行動する力を養う様々なプログラムがある。今年校長に就任した木村友彦先生に、教育の特色や今後の展望について話を聞いた。


―御校が大切にしていることは何ですか。

創立以来、校訓「強健・厳正・勤勉」のもとで、社会でリーダーとして活躍できる数多くの人材を輩出してきました。この校訓や教育方針を受け継ぎつつ、現代に合う教育へと進化を続けています。本校には多様な生徒がいますが、それぞれがお互いを認め合い切磋琢磨する中で、さらなる高みを目指していく雰囲気があります。そんな学校生活の中で、生徒たちに伝えているのが「自分の限界を自分で決めないこと」。学校には安全に失敗できる環境があります。万が一失敗しても、至らなかった点を反省してやり直せばいいので、勉強やクラブ活動、課外活動などに積極的に取り組みながら、果敢に自分の可能性を広げてほしいと考えています。

―教育の特色を教えてください。

本校では、様々な刺激を受けながら一人ひとりが学習意欲を高められるように、自学自習を促す学習プログラムを用意しています。以前は習熟度別授業を数多く行っていましたが、現在は一部の教科のみになりました。通常の授業で、自分よりできる生徒から刺激を受けることで内省する力を高め、自分の意志で学習できるようになってほしいからです。

また、自学自習を実践するきっかけになっているのが、本校独自の本数検(本郷数学基礎学力検定試験)です。年3回、長期休暇後に実施する数学のテストで、得点に応じて級・段が認定されます。自己の課題を徹底的に追究し、やり遂げる姿勢を養う、生徒のチャレンジ精神を刺激する行事になっています。本数検にチャレンジすることを楽しみに入学してくる生徒も目立ちます。

また、数学の合同授業では、中2が中1に数学の学習に関するアドバイスをします。勉強の仕方や学校生活に関する様々なことを相談できますし、中2にとっても自分の学習を見直す良い機会になっています。

探究活動にも力を入れています。中1・2で探究活動を繰り返し、中3の卒業論文作成につなげています。論文作成では、興味・関心があるものに対して積極的に調べて考察するだけでなく、自分が書いたものを客観的に見直し、他の人に理解してもらえるように書くことを重視しています。こうした取り組みにより、主体性を持ちながら、周囲の状況を冷静に判断できる生徒が増えていると感じます。

木村 友彦 校長

このほか、普段の授業では扱わない実学を学ぶ教養講座や、基礎から大学別の入試演習まで学力に応じて学べる教科講習など多彩な講座をサマーセミナーとして開講。生徒たちは今の自分に必要なものを考えた上で、最適な講座を受講しています。

―クラブ活動も活発です。

自主性に任せていますが、多くの生徒が積極的に活動しています。ラグビーやサッカーなどの運動部はもちろん、科学部や地学部、社会部といった文化部の活躍も目覚ましいものがあります。ただ、クラブ活動は試合に勝つことやコンクールで受賞することが目的ではありません。自分の限界がどこにあるのかを見極め、改善点や入賞するために必要なことなどを一人ひとりが考えながら活動しています。高3でクラブ活動を継続している生徒もいますが、工夫しながら受験勉強と両立しています。

また最近、高3の図書委員が、自身のコンピュータスキルを生かして朝読書リレーの冊子を作るフォーマットを構築しました。受験勉強があっても、自分のスキルを後輩のために役立てる生徒がいることは非常にうれしく、本校の生徒らしいと思います。

―今後の展望は?

2023年から順天堂大学と高大連携協定を結んでいます。大学での講義や出張授業などを通して、早い時期から医師としての適性を考え、医学部での学びが将来にどうつながるのかを知る機会になっています。プログラムの内容をさらに充実させたいと思います。

今の生徒は、母国語や世界観・宗教観などが異なる他者と対峙し、いろんなことに取り組んでいくことになるでしょう。ですから、これまでの伝統を受け継ぎつつ、他の人の立場や置かれている状況に寄り添い、理解しながら協働する力を本校の6年間で育てていきたいと考えています。

―受験生に向けて、メッセージをお願いします。

受験生にとっては今、勉強が最も苦しい時期だと思います。受験生活ではいろんなこと我慢しなければならないですが、必ず実りはありますので、かけがえのない受験生活を大切にしてください。多様な生徒が活躍する本郷には、いろんなことに挑戦できる環境があります。6年間で自分の可能性を最大限に広げたいと思う皆さんと歩んでいきたいと思っています。

取材日:2024.8.2