探究から研究へ
未来を創る人を育てる探究活動

順天中学校・高等学校

探究から研究へ未来を創る人を育てる探究活動

2022年から高校の学習指導要領に探究学習が加わり、思考力・判断力・表現力を育成するバランスの取れた教育が重視されるようになった。それ以前から積極的に探究活動を行っている順天では、理数探究型、英語探究型、総合探究型の3種類を用意。なかでも、理数探究型と英語探究型の探究活動はより深く、発展的な取り組みが多い。同校の探究活動について、教育支援センター長の片倉敦先生と7人の生徒に話を聞いた。


「英知をもって国際社会で活躍できる人間を育成する」ことを教育目標として掲げる順天中学校・高等学校。「進学教育」「福祉教育」「国際教育」の特色ある教育に取り組む中で、「創造的学力」「国際対話力」「人間関係力」の三つの資質・能力を育てることを重視している。その一端を担っているのが探究活動だ。順天が育てる三つの資質・能力について、教育支援センター長の片倉敦先生がこう説明する。

「今は学力の幅が広がっており、学びに向かう力や、興味・関心を持つ力など、さまざまな力が求められるようになっています。既知の知識が30年後に生かせるかどうかわからない時代ではありますが、この三つの資質・能力はどんな世の中になっても欠かせないスキル・マインドです。探究活動を通して養ってほしいと思います」

教育支援センター長|片倉 敦 先生

順天では理数探究型、英語探究型、総合探究型の3種類の探究活動を用意。このうち、より深く発展的な取り組みを行っているのが理数探究型と英語探究型だ。理数探究型では化学・生物・数学・プログラミングなどの理数系の探究活動に挑戦。英語探究型は英語を使った課題解決型の探究活動が中心だ。いずれも社会貢献の視点を重視した多彩なアントレプレナー課題に取り組んでいる。

例えば、英語探究のグループが行っているのが、団地の高齢化の課題を解消する活動や、生理用品が不足することで学校に通うことができなくなってしまうザンビアの女学生への支援、子どもの居場所について考える学童ボランティアなど。先輩が行ってきた活動を引き継ぎながら新たな発想を加えていくことで、活動内容がどんどん広がっているという。3月には、学内で実施する究コン(英語探究)や、つくばで行われるサイエンスエッジ(理数探究)でその成果を発表する。

一方、探究活動には知識も必要だ。毎年秋に実施しているグローバルウィークでは、大学教員やジャーナリスト、企業やNPO法人に勤める専門家、在校生の保護者など80人以上が講習や講義を行っている。探究活動を進めている在校生が講師として参加する場合もある。専門家と様々な話題を共有することで、探究活動の内容がさらに広がることもあるようだ。片倉先生がこう話す。

「飛行機に例えると、中学までは教員や親の助言に従ってグライダーのように飛ぶのもいいですが、高校や大学では自分でエンジンやプロペラをつけて方向性を決め、自分で操縦できるようになってほしい。探究活動はその練習になると思います。2026年から北里大の付属校になることで、さらに発展していくと期待しています。探究活動を通して、知の境界をどんどん広げ、社会貢献型の未来を創れる人になってほしいと思います」

探究活動の取り組み」

理数探究|日焼け止め成分ベンゾフェノンが淡水域生態系に対するベンゾフェノンの影響を評価

日焼け止め製品に含まれる化学物質が自然環境に与える影響について、ミドリムシを使った探究活動で調査しました。今年、広島で行われた高校環境化学賞では、最優秀賞を受賞。また、つくばサイエンスエッジでは、ブースポスター発表賞とグローバルリンククインズランド賞に輝き、オーストラリアで開催された世界大会で準優勝になりました。

―探究活動の魅力は。

内藤 教科書に載っていることを学ぶのではなく、自分が知りたいことを学び、やりたいことができるところが面白いです。学術的に高いレベルの実験を行うのは難しかったですが、何度も挑戦することで実験の精度が上がっていき、深く考える力も身につきました。

―順天の魅力は。

内藤 順天は、生徒がやりたいことを柔軟に受けとめてくれる学校なので、先生に積極的に相談すればいろんなことに挑戦できると思います。探究活動では生物の先生に指導してもらいました。とても良い先生で、この学校に入ってよかったと思いました。

高3 内藤 醍希さん

理数探究|アルギン酸カルシウムゲルで植物は育てられるのか

水不足が深刻な乾燥地域では、植物の生育に大きな課題があります。そこで、中に水を含むアルギン酸カルシウムゲルに着目。乾燥地域に植林したとき、ゲルの水分を活用して植物を育てられるのかを調べる探究活動を進めました。今年、広島で行われた高校環境化学賞では優秀賞を受賞。

―探究活動の魅力は。

佐々木 探究活動では研究者と交流する機会が多く、新たな気づきがありました。研究する力や、発表する力なども身についたと思います。

千葉 何度実験しても失敗ばかりの時期がありましたが、3人で話し、協力し合うことで、乗り越えました。その経験を経て、自分自身も大きく成長したと思います。

 人と話すのがあまり得意ではないのですが、発表の場に立ち専門家と接する中で、コミュニケーション能力がつきました。

―順天の魅力は。

佐々木 実験ができる環境が整っていると思います。また、理数選抜クラスに限らず、順天には好きなことに積極的に取り組んでいる人が多いです。

千葉 高2の海外研修では行き先が多く、自分の興味・関心に沿って選べます。オーストラリアやカナダ、マレーシア、北海道・東北のコース以外にも、自分でプログラムを考えて、行きたい国にいくこともできます。

 やりたいことに積極的にチャレンジすることで、楽しい高校生活を送ることができる学校です。

高3 千葉 祐奈さん
高3 崔 湘若さん
高3 佐々木 臨果さん

英語探究|カンボジア×教育支援

絵本をカンボジアのクメール語に翻訳してプレゼントしたり、カンボジアに小学校を建てるために、はがきを集めて送ったり…。これまで、英語探究ではボランティア活動を通じてさまざまな教育支援を行ってきました。今年の夏休みには実際にカンボジアに行き、現地の孤児院や小学校などを見学。カンボジアについて知る良い機会になりました。

―探究活動の魅力は。

和田 カンボジアに行って様々な体験をしたことは大きな学びになりましたし、カンボジアと日本の違いについて考える良い機会になりました。

生田 現地で感じたのは、カンボジアの人にとっての豊かさが日本の豊かさとは違うこと。私たちが思っている貧困と、カンボジアの人が思う貧困にもズレがあることに気づくことができました。

神長 調べるだけではわからないことを現地で体験できたことは、良い学びになりました。これからどういう支援をするべきか、みんなで話し合っていきたいと思います。

―順天の魅力は。

和田 英語選抜クラスは仲が良く、間違いを恐れずに発言や行動ができます。順天に入学してからいろんなことに挑戦し、自分は大きく変わったと思います。英語能力も向上しました。

生田 探究活動などに積極的に取り組むことで、カンボジアに行くことができましたし、引っ込み思案な性格を変えることもできました。

神長 週1回の探究活動は、授業時間を延長して取り組んでいる生徒も多く、楽しく活動しています。教員の質が高く、いろんな先生に出会えたこともよかったです。一生もの友達と思い出を作りたいなら、順天はおすすめです。

高2 和田 悠希さん
高2 生田 彩乃さん
高2 神長 ももかさん

取材日:2024.9.7