攻玉社のグローバル教育を体現する国際学級で
より時代に即した能力を養成する新カリキュラムが始動

攻玉社中学校・高等学校

攻玉社のグローバル教育を体現する国際学級でより時代に即した能力を養成する新カリキュラムが始動

語学力と国際的教養を兼ね備え、グローバルに活躍できる人材育成を目指す攻玉社中学校・高等学校では、多くの私立中学校に先駆けて1990年から帰国生のための国際学級を創設。欧米諸国をはじめ中国やタイ、シンガポールなど幅広い国からの帰国生を受け入れてきた。一人ひとりの多様な文化的背景を大切にしつつ、日本の教育にも徐々に馴染むことができる独自カリキュラムで生徒の学力を伸ばし、東京大学をはじめとする国公立大学や難関私立大学合格へと導いている。今年度からスタートした英語の新カリキュラムをふくめ、同校の国際学級について、英語科の石原耕太郎先生に話を聞いた。また、アメリカ式の内容重視型言語教育に取り組むタイラー・ハウエル先生の授業の様子をレポートする。


―まずは御校の国際学級について教えてください。

石原 本校の国際学級は、帰国生の積極的な受け入れのため1990年に設立されました。一口に帰国生と言っても、欧米などの英語圏だけではなく非英語圏からの帰国生もいますし、過ごした期間も異なります。また、通っていたのが日本人学校かインターナショナル校か現地校かによっても、学んできた内容や学習環境に大きなちがいがあります。生徒一人ひとりの多様なバックグラウンドを尊重しつつ、日本の教育や学校生活に馴染んでいくために、中学3年間は帰国生のみで編成。少人数分割授業を取り入れた独自カリキュラムで学び、高校から一般学級に混成する制度をとっています。

―帰国生というと全員英語が堪能というイメージでしたが、さまざまなケースがあるのですね。

石原 アメリカなど欧米諸国が中心ですが、中国やタイ、シンガポールなど幅広い国からの帰国生がいます。国際学級の入試方法は国語・算数2科目受験と英語1科目受験の2通りあるため、英語が第一言語で日本語が苦手な生徒もいれば、在留国が英語圏以外のため英語が不得意な生徒もいます。そうした差異に対応するため、英語と国語、数学はレベル別に分割し少人数での授業を行なっています。英語が堪能な生徒には身につけた語学力をさらに伸ばし、苦手な生徒には基礎から指導しています。国語と数学も同様です。社会や理科といったその他の科目も、基礎から丁寧に指導することで、中学受験をしていない生徒もしっかりとした学力を身につけることができ、高校からは一般学級の生徒とともに、高い学力で大学受験に臨むことができます。

石原 耕太郎 先生

―国際学級は、帰国生にとって非常に手厚い体制なのですね。

石原 帰国生やその保護者の方は、日本での中学校生活に不安を抱えている方が少なからずいらっしゃいます。そうした生徒や保護者の方に、本校の3年間帰国生のみの独立クラスで学べる環境は安心材料として歓迎されているようです。

英語力を活かしより発展的な言語教育へ

―今年からスタートした英語の新カリキュラムについて教えてください。

石原 英語は、英語1科目で受験した生徒はαクラス、国語算数2科目で受験した生徒はβクラスに所属します。今回大きく刷新されたのは、αクラスの授業で、これまで週6時間の英語授業のうち1時間だったネイティブ教員によるオールイングリッシュの授業を3時間にし、その内容もCBI(Content-Based Instruction)といわれる内容重視型を採用しました。日本人教員の授業では文法や語彙力といった大学受験を見据えた内容を担当し、ネイティブ教員のCBIでは英語で「情報リテラシー」「文学・哲学探究」「現代的トピック」という3つの課題に取り組みます。

CBIは言葉だけで聞くと難しそうですが、アメリカの中学校での言語教育の授業をベースにした自由度の高い授業で、生徒はとても楽しそうに取り組んでいます。例えば、1学期の授業では、生徒それぞれが自分の考える「ヒーロー」の絵を描いてポスターをつくり、どんな能力があるのかをプレゼンテーションしたのですが、生徒が夢中になって取り組んだことのわかる力作ポスターが揃いました。作品の読み解きには文学や哲学、歴史のほか、地球科学など文理を問わないテキストを対象とし、アニメなど映像作品の読み解きにも挑戦する予定です。また、授業のなかでパワーポイントを使いこなすスキルも身につけていきます。

―今回の国際学級の英語授業の改革は、一般学級にも影響がありますか?

石原 本校では中学1・2年生で週に1回英会話の授業があります。クラスを3分割して少人数でネイティブの先生方に指導してもらっているのですが、こちらも国際学級と合わせて授業内容の見直しを行いました。今年度から日本人の英語教師が英語の授業で使う教科書を参考に英会話のカリキュラムを組んでいます。英語の授業で学んだ単語や文法などを英会話の授業でアウトプットすることで理解を深めるイメージです。

国際学級と一般学級の生徒が共に高め合える教育環境

―御校の国際学級の一番のよさはどういった点にありますか?

石原 本校の国際学級は30年以上の歴史があり、私たち教員も一般学級の生徒も、国際学級で学ぶ帰国生を仲間として自然と受け入れる土壌ができている点でしょうか。中学3年間は帰国生のみのクラス編成ですが、学校行事やクラブ活動など授業以外はすべて一般生徒と行動を共にしており、交流を深めています。その中で国際学級の生徒が日本語のコミュニケーションに困ることがあれば、一般学級の生徒がさりげなくサポートにあたっています。

毎年2月に中学英語暗唱大会という行事が実施されるのですが、そこでは、国際学級の生徒が司会進行やモデルスピーチを務めるほか、一般学級の生徒の指導にもあたります。学校行事で中心となって活躍することで、国際学級の生徒は大きな自信をつけますし、一般学級の生徒も刺激を受け、英語学習の意欲を高めています。

高校からは同じ学級となり、お互いの違いを理解しながら、ともに切磋琢磨して学び合っていける環境は、本校が誇るべきグローバルな教育環境だと自負しています。

取材日:2024.9.24