生徒の視野を広げ、世界に踏み出す一歩を後押しする
「英語力プラスα」を目指す海外研修
国学院高等学校
中高一貫校が多い都内私立校の中で数少ない高校単独校であり、男女共学の大規模校でもある国学院高等学校。大学付属校でありながら上位大学進学志向が強く、ここ数年は校内の取り組みと海外研修の両輪で英語教育に力を入れており、実用英語検定試験では全国の高校で最多の合格者数を誇る。同校の海外研修の特色や参加した生徒の様子、また今後の展望を併せて、英語科の有岡孝先生、青木大輔先生、入試広報部部長の谷崎美穂先生の3名に話をうかがった。
―御校の海外研修について教えてください。
青木 本校で海外研修が始まったのは20年あまり前からです。グローバル社会で活躍するために、英語力やコミュニケーション力、国際感覚を養うことを目的とし、オーストラリアでの研修などを実施してきました。コロナ禍で一時中断していましたが、今年から本格的に再開しました。
今年は夏にオーストラリアのブリスベンとカナダのアボッツフォードで現地の学校に通うホームステイ型の研修、またシンガポールでは海外体験を中心とした研修が行われました。冬にはオーストラリアのシドニーでの研修を行う予定です。
有岡 本校は生徒数が多いこともあり、以前は参加希望者の選考テストなども行なっていましたが、冬季にも開催するなど枠を広げ、可能な限り希望する生徒全員に参加してもらえるようにしています。昨年からはシンガポール研修も増やし、いい意味で敷居を下げ、誰もが海外経験の最初の一歩を踏み出せる研修を意識しています。
生徒一人ひとりに五感で「海外」を知ってほしい
―先生がそれぞれ引率された研修について具体的な内容を教えてください。また、生徒さんの様子はいかがでしたか?
有岡 カナダ研修は、1、2年生合計48名が参加し、アボッツフォードという自然豊かな郊外の街を拠点に9日間の日程で実施しました。ホストファミリーの家に滞在し、平日午前中は現地の学校の外国人向け授業で英語やカナダの歴史や文化について学び、午後は近くの公園や湖などで過ごすアクティビティに参加します。週末はバンクーバー観光のほか、それぞれのホストファミリーとハイキングに出かけたりバーベキューをしたりして過ごしました。生徒にはホストファミリーとの時間がとても印象深かったようです。生活習慣やものの見方の違いを、体験を通して知ったことはよい勉強になりました。
青木 オーストラリア研修は10日間で、1、2年生38名が参加しました。ブリスベンというオーストラリア第3の都市を拠点に、ホームステイをしながら、現地の学校の生徒と2名1組のバディを組んで、英語の授業を受けました。生徒たちは動物園や自然公園などを訪れ、コアラやカンガルーといった生き物をはじめ、雄大な自然をとても楽しんでいた様子です。オーストラリアは動物の保護活動も手厚く、日常生活でもマイバッグが必須であるなど環境意識が高い国です。授業だけではなく、ホストファミリーとの生活や現地でのさまざまなアクティビティを通じて、異なる文化を肌で感じ取ることができたのではないでしょうか。
谷崎 シンガポールは1、2年生あわせて54名が参加し、5泊6日の旅程で実施しました。宿泊はホテルでしたが、ホームビジットといって5名前後のグループで現地の人の家庭を訪問し、マレーシア料理を食べたり民族衣装を着たりして交流する文化体験アクティビティがありました。またシンガポール国立大学の学生が案内を務めるキャンパスツアーと市内観光のプログラムでは、生徒たちは年の近い学生とのざっくばらんなやり取りで盛り上がっていました。シンガポールは治安がよいため、生徒だけのグループで食事や買い物に行く時間も設けるなど、教員が引率し過ぎない旅程づくりを心がけました。
研修全体を通して、生徒たちはシンガポールという国の活気にとても刺激を受けていました。日本と同じアジアにこんなに勢いのある国があるということに驚くとともに、文化や法律、多国籍な社会など日本とシンガポールの違いなどにも興味を持っていました。
シンガポール研修は、ほかの2つの研修に比べると、期間も短く、観光がメインの初心者にも参加しやすいプログラムのため、今回が初めての海外旅行だという生徒も多くいました。海外で自分の英語が通じたことに自信を持ち、次のステップとしてカナダやオーストラリアの研修参加へもつながっているようです。
多彩なプログラムでより多くの生徒の参加を促す
―海外研修は御校の英語教育において、どのような役割を担っていますか?
青木 単なる英語力やコミュニケーション力だけであれば、学内でのネイティブ講師の授業や英語合宿、海外とのオンライン英会話でもある程度養うことができます。海外研修は実際に現地に行くことで、「英語力プラスα」となる異文化や多様な価値観を五感で感じ取ること目的としています。また、実際に自分の英語が現地で「通じた」或いは「通じなかった」ことで、「もっと話せるようになりたい」という英語学習意欲の向上にも一役買っています。
―今後、海外研修をどのように発展させていきたいですか。
谷崎 本校では、生徒の興味関心を伸ばすため、さまざまなテーマを設けて東北や沖縄、京都、出雲などを訪れる宿泊型や日帰りの体験学習を行なっています。同様に「科学」や「歴史」などのテーマを設けた海外研修を展開していけるといいですね。生徒数が多く催行枠を満たしやすい本校だからこそ多様なコース設定が可能だと思います。
―最後に受験生と保護者へのメッセージをお願いします。
有岡 カナダの海外研修に参加して感じたのは、本校の生徒はよい学習環境に恵まれているなということです。現地の人が温かく歓迎してくれ、生徒たちもきちんとそれに応えて、心からの交流ができている。国内の体験学習もふくめ、高校生という時期にこれだけ豊かな経験ができるのは、本校ならではの魅力だと思います。
谷崎 本校は上位校への進学に力を入れてはいますが、勉強だけの学校ではありません。文化祭や体育祭をはじめとする多彩な行事に、生徒たちは全力で取り組んでいます。高校らしい高校生活を謳歌したい生徒に、ぜひ来てほしいと思います。
青木 本校は1学年600人もの生徒が在籍し、生徒たちは個性もさまざまです。だからこそ、きっと気の合う仲間と出会えます。本校は行事も勉強も「団体戦」がモットーで、みんなで力を合わせて取り組みますから、高校生活を思い切り楽しむ気持ちで、本校にきてください。
取材日:2024.9.18