今までにない新たな文理融合型のデータサイエンス教育で
論理的思考と創造力を育てていく

聖徳学園中学・高等学校

2024年4月にスタートした聖徳学園高等学校のデータサイエンスコースでは、文理融合をキーワードに、さまざまな教科とデータサイエンスを組み合わせるという、まったく新しい探究型の教育プログラムに取り組んでいる。「具体的にどのような授業を行なっているのか」「同コースの授業を生徒たちはどのように受け止めているのか」等、始まったばかりのコースについて、データサイエンス部長のドゥラゴ英理花先生とネイサン・ソマーズ先生、そして新入生2名から話を聞いた。


*聖徳学園データサイエンスコースとは
「社会のために新しい価値を生み出す」を教育の中心に掲げる聖徳学園ならではのデータサイエンスコース。国際的教育の標準プログラムである国際バカロレアのカリキュラムを基礎とした教科編成によって、生徒自らがデータを駆使し、社会の担い手となる力を育成する。具体的には、通常の学校設定科目に加え、「データサイエンス探究」「グローバル探究」「グローバル・シチズンシップ探究」「STEAM」「SDGs」といった特例校申請科目を、PPDAC(課題設定・計画・データ収集・データ分析・実施)サイクルによって探究し、論理的思考力や課題解決能力、異文化理解、コラボレーション力、表現力、創造力などの資質や能力を育成していく。また、これらの授業は一部英語イマージョンで実施し、英語によるコミュニケーション力を身につける。

―データサイエンスコースが新設されて4ヶ月になります。まずは現在の状況についての率直な感想をお願いします。

ドゥラゴ 約2年間をかけて準備をしてきたコースがついにスタートしました。期待以上に意欲的な6名の生徒を迎えられたことをとても嬉しく思っています。いくつかの科目ではすでにレポート作成などの課題まで無事に終えることができました。今後はよりデータを活用し、各自の研究テーマ設定へと進めていきたいと思っています。

ドゥラゴ 英理花 先生

ネイサン 私は英語イマージョンで行う「グローバル・シチズンシップ探究」の授業を担当しています。最初のうちは英語イマージョンで行う授業に生徒たちが苦戦する場面もありましたが、すぐに対応できるようになりました。2学期からはまた少しレベルアップしていきます。

ドゥラゴ 構想段階から教科横断型の授業を行なっていきたいと思っていましたが、1つのテーマについて複数の科目で取り組むなど、1学期からすでに実現することができました。科目ごとにさまざまな視点が加わるので、テーマについてより深く理解できるなど、教育効果についても実感しています。

「探究課題」を突破することで大きな達成感を得られた

―生徒のお二人に質問です。データサイエンスコースを志望した理由を教えてください。

W 私がプログラミングなどに興味を持っていたことから、母に勧められました。説明会に参加したところ、自分の学びたいことを徹底的に学んでいけるカリキュラムということを知り、中学の時に興味を持ったSDGsについて高校でもっと掘り下げていきたいと思い、入学を決めました。

S 私も母に勧められたことがきっかけです。当初進学を考えていた都立高校だと、今まで学んできたことの延長になりそうだったので、このコースでまったく新しいことに挑戦できる点に魅力を感じました。ちょっと大袈裟ですが、未来の社会をつくっていく人になりたいと思って、このコースで学びたいと思いました。

―夏休みまでの授業を終えての感想はいかがですか?

W 授業ごとに出された課題がかなりたくさんあったのですが、すべて期限内に仕上げて提出できたことに達成感を持っています。私は中学の時は国語が苦手で本を読むのも苦手でした。でも、課題では芥川龍之介の『羅生門』を読んで、自分なりの疑問をもとにレポートを書きあげることもできました。

S 私もたくさんの課題を無事に終えられたことに、ほっとしています。私は中学の時は提出期限などに遅れがちがったのですが、クラスの人数が少ないこともあり、ほかの人が頑張っている姿が刺激となって、最後までやり遂げることができました。我ながらすごいと思います。ただ、夏休みで少し気が緩んでしまったので、2学期からまた新たに頑張りたいです。

―先生からは、生徒さんの1学期をどのように評価されていますか?

ネイサン 「グローバル・シチズンシップ探究」と「歴史総合」を連携させた授業では、まず政治家について書かれた英語の長い論文をみんなで読み、そこから各自の探究のテーマに沿ってリサーチをし、最終的にポスターをつくって発表するという取り組みをしました。

ネイサン・ソマーズ 先生

―グループワークやペアワークなどがうまくいっているようですが、中学でも取り組んでいましたか?

W グループワークをする機会はありましたが、あまり多くはありませんでした。6人という少人数なので、自然と協力しあえているのかなと思います。

S 人数が少ないので、人任せにできないんですよね。全員が積極的に発言していかないと、話し合い進まないので、話すのが苦手だったという人も、頑張って発言するようになっています。

―2学期から、またはこの先3年間かけてどんなことを学んでいきたいと思っていますか?

W 2学期からも課題がたくさんあるので、とにかくそれに一生懸命取り組みたいと思います。高校生活全体としては、私はプログラミングが好きで、学校で学んでいるのとは別言語で、自分でも勉強しています。ですから、高校生競技プログラマーの大会である「日本情報オリンピック」に出場することを目標にしています。

S 私は長い論文を書いてみたいと思っています。まだどんな分野のどんなテーマについてかは決まっていないのですが、1学期の授業で先行研究の論文を読み、自分なりのテーマで論文を書くことはおもしろいと思えたので、そこをもっと頑張っていきたいです。

たくさんのチャレンジでどんどん成長できるプログラム

―入学を考えている生徒や保護者へ、データサイエンスコースの魅力を教えてください。

ドゥラゴ このコースの一番の魅力は、データサイエンス教育をベースとした文理融合で探究型の学びを、英語イマージョンで学べるということです。授業形態も対話型なので、主体的で自律的な学びの姿勢も身につけることができます。

 

教養としてのデータサイエンスを学ぶ価値は現代社会では、より高まっています。こういった素養を高校生のうちから身につけることで、大学レベルの研究活動に取り組んでいくことが可能になると思います。

ネイサン 教員と生徒の距離が近く、お互いがお互いの成長をサポートしていけるからこそ、できるのです。生徒たちは最初「英語での授業は難しい」と言っていましたが、最初のステップはすでに乗り越えました。ここからまた一段ずつステップアップをしていき、3年生になるころには海外大学進学も視野に入れられるようにしたいと思っています。それができると思っています。

W まったく新しいことをみんなで学ぶので、中学までの成績や得意不得意も気にせず、みんなそろって一斉にスタートできるのがいいところだと思います。私は理科や数学は得意で国語が苦手でしたが、文理融合の授業で国語の苦手意識はなくなりました。

S 私は海外大学進学に興味があるので、それに合わせた勉強ができる点が魅力です。プレゼンの機会も多いので、自分の得意なことを活かした、大学入試に取り組んでいきたいと思います。

取材日:2024.9.5