自学自習力を高める数々の取り組みが
グローバルリーダーを育てる

東京都市大学 等々力中学校・高等学校

「ノブレス・オブリージュ」の精神と「グローバルリーダーの育成」を理想の教育像として掲げる東京都市大等々力中学校・高等学校。2010年の共学化以降、様々な学校改革を実現し、アクティブ・ラーニングやICT教育などの先進的な教育に取り組んできた。近年、大学進学実績が上がり、改革の成果が表れてきている。今年校長に就任した草間雅行先生に、東京都市大等々力の教育と今後の展望について、話を聞いた。


―これから目指す教育や学校の雰囲気などについてお聞かせください。

本校は、誇り高く高潔な人間性を陶冶する「ノブレス・オブリージュ」の理念のもと、校訓にある「高潔」「英知」「共生」の精神を身に付けたグローバルリーダーの育成を目指しています。この教育目標を実現するために、これまでの伝統を継承しつつ、発展させていきたいと考えています。

社会貢献をして、世のため人のために尽くすことを意味する「ノブレス・オブリージュ」は、生徒たちにも浸透しており、合言葉としてたびたび口にしている姿を見かけます。生徒たちが教育理念を意識しながら学校生活を送っていることを実感しています。

草間 雅行 校長

―24年春の進学実績では、サンデー毎日の「10年で伸びた」ベスト500校のうち、難関16私立大のランキングでは、初めて東日本で第1位になりました。

24年春の実績で特に目立ったのが早稲田大・慶應義塾大の合格者数で、23年の153人から24年は227人に大きく増えました。また、GMARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大、学習院大)の合格者も増えています。進学状況をみると、国公立・早慶上理ICU・GMARCHに進学した生徒は約6割で、医歯薬系の学部・学科や、併設の東京都市大への進学者を含めると約7割にのぼります。現役進学率は約9割と高くなっています。

大学進学実績が着実に伸びている背景には、生徒の自学自習力を高める取り組みがあります。自分で目標を設定し、達成するために学習計画を立てる「TQノート」もその一つです。中1から高3まで全生徒が毎日記録し、教員もコメントを書き加えます。TQノートを通じて生徒の様子を把握できるので、変化にも気づきやすくなります。

自学自習の習慣が身につきやすい環境も、大学進学実績に結びついています。自習室の拠点として活用されている都市大等々力リテラシーセンターには、一人で勉強できる164席のキャレルデスク型自習室を設置。放課後の講座で活用される300席のスタディホールも定期試験前には自習室として開放します。大学生チューターが5、6人常駐して質問にも対応しています。中1〜高2は8時まで、高3は9時まで自由に使えるため、部活動が終わった後、自習室で勉強して帰る生徒も目立ちます。

TQ(Time Quest)ノート

また、ICTを活用した最先端の教育も特色の一つです。首都圏私立中高で初めてとなるロイロ認定校になり、認定ティーチャーも22人います。ICTとアクティブ・ラーニングを連動した発展的な授業を行い、自分たちで考えて、学び合う協働学習を展開しています。この他、AIによる最先端の学びで英語力を高める「システムZ」や外部のオンライン学習サービスなど、学習支援システムも充実しています。

進路指導では教員との信頼関係を築くことも大切です。生徒の学習状況や模試の結果など、生徒の様々なデータを蓄積しながら、毎学期面談を行っているので、日々の学習や生活の不安も解消しやすくなっています。

―理科教育や国際英語教育にも力を注いでいます。

理科教育「SST(SuperScience Todoroki Program)」では実験を重視したプログラムを展開しています。特に、第1ステージの中1・2では、理科の4分野について、約200テーマの実験に取り組みます。理系の素養を育て、興味・関心を高めることはもちろん、実験では失敗することも重要です。失敗から学び、どうすれば解決できるのかを考える良い機会になっています。

また、本校は全生徒の約1割が帰国生で、一般生と同じクラスで学んでいます。帰国生や英語力が高い生徒には、英語の取り出し授業を行い、英語力を伸ばす取り組みを行っています。また、高い英語力を持つ生徒を間近に見て、一般生も良い刺激を受けています。普段から海外に興味・関心を持っている生徒も多く、海外プログラムにも積極的に参加しています。中3から高2までの希望者を対象に、夏休みに行う約2週間のオーストラリア・シンガポール・イギリスへの語学研修には最大20人が参加し、語学や文化について学んでいます。高1で1年間海外留学するプログラムは今年、これまでで最も多い10人の生徒がカナダに旅立ちました。

また、高2は全員がイギリスでの語学学習に参加しています。25年以降は行き先を増やし、生徒の希望によって選択できるようになります。この他、中1・2の希望者対象のイングリッシュ・サマーコースや中3から高2対象のグローバル・スタディーズ・プログラムなど、国内のプログラムも充実しています。

―受験生や保護者に向けてメッセージをください。

一般的に、私学は自由放任型と、管理型の2種類の学校に分けられるといわれていますが、本校は生徒の自主自立心を育てながらも、しっかりと面倒を見ていく、バランスを重視した教育を行っています。通学地域や大学進学実績、偏差値などで学校を選択する方も多いと思いますが、私学にはそれぞれ特長があります。学校説明会や体験会に参加して、お子さまに合う学校を選んでほしいと思います。

取材日:2024.9.6