学校改革が進行中。視野を広げる教育プログラムと進路実現を支える
新コース制で「学ぶことへの興味を育て、自分の未来を創造する」

東京家政大学附属女子中学校・高等学校

学園創立144年。多くの卒業生が社会で活躍してきた東京家政大学附属女子中学校・高等学校。現在、学校改革を積極的に進めており、中学では2024年度より新たな教育プログラムを、高校では25年度よりコース制を導入。制服もリニューアルした。改革の詳細や学校の魅力などについて、中学校教頭の荒籾和成先生と高等学校教頭の針生貞子先生に話を聞いた。


変更後創造的な体験学習で学ぶ意欲を育む

建学の精神「自主自律」、生活信条「愛情・勤勉・聡明」のもと、女性の未来を切り開く教育を実践している東京家政大学附属女子中学校・高等学校。ICTが進歩して様々な情報を簡単に得られる現代社会においても、自ら学び続けていく生徒の育成を目指している。

中学では2024年度から、新たな教育プログラム「クリエイティブラーニング」を導入した。創造的な教科横断型の体験学習を通して、学ぶ意欲を育むプログラムだ。その一環として、中2では併設大のピザ窯を利用したピザづくりを実施。国語ではピザのPR原稿の作成、理科では天然酵母を使った生地の発酵、家庭科ではピザの調理、大学の教授からはピザ窯の構造について学ぶなど、8教科に加え、大学とも連携したプログラムで、生徒からも好評だった。生徒の様子について、荒籾和成先生がこう話す。

「生徒と教員が協力し合う活動の中で、生徒は多くのことに気づき、教科学習と実生活のつながりについても実感する機会になったようです。この体験を通して達成感を得るとともに、学ぶことの大切さを考えるきっかけにもなりました。これからも様々な学年、様々なテーマでクリエイティブラーニングを展開していく予定です。」

25年度から、中学生対象の探究学習「GCP(グローバル・コンピテンス・プログラム)」を導入。英語を使いながら、自分自身や異文化への理解を深め、視野を広げつつ、社会課題に向き合う力を育てていく。授業はネイティブの専任教員と日本人教員のティームティーチングで行われる。荒籾先生がこう説明する。

「グループワークでの対話を通して、考え方や背景が異なる様々な人々と協働するためのグローバル思考を身につけてほしいと思います。26年度から高校1年生への導入を検討しており、さらに学びの幅が広がります」

荒籾 和成先生

高校はコース制を導入多様な進路を実現する

高校では、25年度から2つのコースがスタート。SA(Super Advanced)コースは、国公立大・難関私立大の現役合格を目標とするコースだ。高2で文系・理系に分かれる。文系でも数Ⅱ・Bまで全員が学ぶ。高3では、希望進路に合わせたカリキュラムを用意する。

CL(Creative Learning)コースには2クラスを設置。CA(特別進学)クラスは私立大学進学、TKU(内部進学)クラスは東京家政大への進学を目指す。高校のコース制導入に伴い、中学でもクラス名を「Advanced(特進)クラス」「Standard(進学)クラス」に変更した。コース制導入の背景について、針生貞子先生がこう話す。

「近年、生徒の希望進路が、国公立大学を含めて多様化していることを踏まえ、今年度からコース制を導入しました。SAコースに特化した進学特別講座や勉強合宿も実施予定です。学ぶきっかけを与え、自走できる生徒を育成していきます」

海外への関心も高まっている。22年度には、ニュージーランドのマッセイ大学と提携を結び、推薦進学制度も整備。その一方、併設大への内部推薦枠を大幅に増やした。国公立大など他大学受験を希望する生徒向けに、東京家政大への進学の権利を保持したまま、他大学受験にチャレンジできる併願推薦枠も拡大している。併設大から国公立大・海外大まで、様々な進路を実現するために、手厚い支援体制がある。

将来を考える上で、キャリア教育も重要だ。同校では、人生100年の通過点として理想の「25歳」を描き、実現までの過程を考える「ヴァンサンカン・プラン」に取り組んでいる。「25歳の私」をテーマにした作文や学部・学科研究、ボランティア活動などを通して、自分や社会、仕事への理解を深めている。

併設大が同じキャンパスにあるメリットを生かし、中高大連携も推進している。大学教員・学生を交えた授業の実施や施設の利用ができるほか、様々な分野の体験授業を実施。外部企業との連携プログラムも行っている。多彩な取り組みによって、将来の目標を明確にし、より自分に合う進路を見出した生徒も数多くいるという

針生 貞子先生

「中高時代に決めた進路を実現して、社会の第一線で活躍している卒業生も多く、頼もしいです。理想の25歳を実現するまでの道のりには、幅広い選択肢があって当然です。併設大との連携によって多彩な学びを知り、いろんな考え方に触れて適性を見極められるのは、本校ならではの魅力です」(針生先生)

様々な学びの機会や充実した環境が学ぶことへの興味を育て、生徒の自己実現を後押ししている。最後に受験生や保護者に向けて、こうメッセージを送る。「本校には生徒が自ら考え、将来を切り開くチャンスが数多くあります。今後は体験学習の場がさらに広がり、自分の未来を描ける環境が整っていきます。まずは一度学校に来て、学びたいことを見つけてください」(荒籾先生)

取材日:2025.4.15