生徒の個性と才能を伸ばす
「時代をリードする学校」の強み

駒込中学校・高等学校

「一隅を照らす」最先端の教育を実践

大学入試改革をはじめとする、学校教育全体の改革が進んでいる。駒込中学校・高等学校では、「駒込ミレニアム改革」の旗印のもと、約10年前から時代に先んじた学校改革に取り組み、成果をあげてきた。これからの時代に世界で必要とされる人材育成を目指し、改革を進める河合孝允校長に話を聞いた。


現在、文部科学省が進めている教育改革は、知識詰め込み型教育から脱却し、社会で起きているさまざまな課題を解決するための能力を持つ人材育成を目的としている。この教育改革は先進国を中心とした各国で精力的に進められており、世界の潮流となっている。そうした中、これからの時代に国際社会で活躍できる人材育成を目指し、いち早く学校改革に取り組んできたのが、駒込中学校・高等学校だ。

同校は併設型の中高一貫校で、6年間通した教育内容を自由に組み立てることができる。その特性を存分に生かした次世代育成教育で他校をリードする。2016年度、国際的な教育プログラムであるIB(国際バカロレア)の要素を取り入れた「国際教養コース」を高校に新設したのを皮切りに、2017年度には次世代の総合的な理系教育であるSTEM(Science Technology Engineering Mathematics)教育を導入した「理系先進コース」を設置し、国公立・難関私立大を目指す「特S・Sコース」とあわせた3コース制に移行。中学校では2021度から、これまでの2コース制の柱だった「本科」を発展的に解消して「国際先進コース」に一本化する。めまぐるしく変化する時代の中、STEM教育やグローバル教育は誰しもが必要なものであるという確信が、一本化という思い切った改革に舵を切らせたといえる。この国際先進コースでは、入試当日の結果によって「Sクラス」と「Aクラス」の習熟度別のクラスに分かれる。クラス編成は進級時に1年単位で見直され、高校進学時に前述の3コース制に引き継がれていく仕組みだ。

このような特色ある教育課程で生徒の個性や才能をバックアップする体制を整える一方で、未来志向の人材を受け入れる入試制度の整備も進んでいる。2020年度からは、中学入試に、算数+プログラミングで構成した「プログラミングSTEM入試」と、社会学的テーマをもとに自分の意見を作文やイラストで表現する「自己表現入試」の2タイプの独自入試を追加。従来の入試形式では評価ができなかった、独自の才能を持つ生徒へ門戸を広げた。

「私学の存在意義は、学校独自の教育理念を持ち、それを実現すること」と語る河合校長の強い意志で、同校の学校改革は進んでいる。

多様性を認める学校づくりが生徒の自主性と創造性を育てる

近年、海外大学を含む、国公立や難関私立大へ、多くの生徒を送り出している同校であるが、学校改革の成果は、単に大学の合格実績だけに留まらない。たとえば、2019年には、若手芸術家の登竜門である「学展」(全国美術コンクール)で、審査員賞受賞をはじめ中高合わせて21名が入選し最優秀学校賞も受賞、日本初の「ドローンサッカー・オープントーナメント」では、理系先進コースの有志2チームが優勝・準優勝を果たしている。そのほか、東京都主催の起業コンテストで優秀賞に選ばれ、高校生起業家として活躍する生徒など、それぞれの生徒が自分の興味や関心に沿った分野で力を発揮している。

こうした生徒の活躍について、河合校長はこう語る。

「本校の生徒たちは、一つのモノサシでは測りきれない個性を持っています。いわば優等生というよりも、『有能生』の集まり。各自が好きなことに懸命に取り組みながらも、学校行事などの際には、わっと集まり、得意分野を生かしながら協働することができる生徒たちです。大学進学において本校は毎年高い実績を上げていますが、実はその先、大学院等での研究活動などにおいても、本校の卒業生は高いモチベーションを発揮しているのです」

コロナ禍でも、安心安全を守りつつ学びを止めない取り組み

新型コロナウイルスの感染拡大による休校措置や外出自粛など、今年の新学期は過去にない状況でスタートを切った。同校では学内に対策本部を設置して、迅速な方針決定と保護者への情報共有に努めた。生徒と教員の「安心・安全」を守り抜くことを基本に、全生徒に平等で遅滞のない学習を保障するオンライン授業を実施した。同校の調べでは、ZOOMなどによるオンラインのライブ授業を週3回以上行った教員が6割を超えたのに加え、休校中に教員が作成した授業動画は約1200本にも及んだ。中には116本もの授業動画を作成した教員もいたという。このような取り組みは学校への評価にも表れている。大学通信が首都圏の学習塾に実施したアンケートで、「オンライン授業で生徒・保護者から高評価を得た中高一貫校」の第5位にランクインしている。

河合校長は、受験生や保護者に向けて力強いメッセージを送る。

「かつてない状況の中、受験生や保護者の皆さんは、いろいろな不安を抱えていらっしゃると思います。しかし、みな条件は同じです。それぞれができることをしっかりとやって、自信をもって本校を目指してください」

取材日:2020.9.8