国際社会に貢献できる豊かで実践的な英語力を!
ネイティブ講師による「アカデミック・ライティング」

女子聖学院中学校・高等学校

人と答えが違うことに不安ではなく、自信と喜びを感じる心を養う美術教育

中学1年生からアクティブ・ラーニング形式の英語の授業などで、「読む・聴く・書く・話す」の4技能を伸ばす実践的な英語教育に力を入れる女子聖学院中学校・高等学校。その集大成ともいえるのが高校2・3年生を対象とした選択授業「アカデミック・ライティング」だ。同授業を担当する、英語科のピーター・ブランク教諭とネイト・ブレイクスリー教諭に話を聞いた。


―アカデミック・ライティングとはどのような授業ですか?

ピーター 高校2・3年生を対象とした選択授業で、週に1回2時間連続で行っています。ライティングと名前がついている通り、大学入試や大学での論文作成に必要となる、正しい英文エッセイを書く力を養うことをおもな目的とした授業です。

ネイト 私が担当する2年生の授業では、テキストの各チャプターごとにサンプルエッセイを読んで英作文の基本を学びます。その後、各自でエッセイを書き、プレゼンすることもあります。

ピーター 3年生の授業ではより発展的な内容を扱います。教材として入試過去問を使い、そのテーマをもとに生徒がディスカッションやポスター作りを行い、エッセイを作成します。いくつもエッセイを書くことによって、序論・本論・結論といった英文エッセイの正しい構成をしっかりと身につけます。2年、3年どちらの授業でも、ディスカッションなどグループワークを活用しています。

ライティングの下準備としてポスター作成に取り組む

―授業にグループワークを取り入れているのはなぜですか。

ピーター 入試などで多く取り上げられるSDGsや地球温暖化といったテーマは、まずは内容の理解が必要になります。自分たちで調べてまとめることでより深く学べますし、そうした作業を通して最新のボキャブラリーも記憶に定着します。新たなボキャブラリーを身につけるためには実際にどんどん使うことが重要ですからね。グループワークにはまずひとつそうした役割があります。

ネイト また、与えられたテーマについて、いきなり自分の考えを英文で書いたり、一人でプレゼンをしたりすることはハードルが高いですが、生徒同士でディスカッションを行うことでその下準備ができます。ディスカッションの中では、自分の意見を主張するだけでなく、他の生徒の意見を聞き、それに賛成か反対かを判断し、なぜ自分はそう考えるのかを述べる必要が生じますから、自分の考えを深めるためのステップとして非常に有効なのです。

今、社会で起きている課題を学び、考え、意見を持つ

―指導の際に、大切にされていることは何ですか。

ネイト まずは生徒がリラックスして発言できる環境をつくることです。幸い本校の生徒は、好奇心が旺盛で苦手意識なく英語に親しめる中学1年生のうちから、我々ネイティブ講師によるオールイングリッシュの授業に親しんでいるため、英語で発信することそのものをためらうことはあまりありません。ただ、社会問題に対する意見など英語でうまく表現できない場合や、そもそも自分の意見がまとまりづらい場合もあります。そうした時には、答えやすい質問を投げかけて生徒の考えを引き出したり、別の生徒と考えがシェアできるようにしたりしています。

ネイト・ブレイクスリー 教諭

ピーター 社会問題などのテーマに対して生徒がどんな意見を出しても、否定せず認める姿勢を大事にしています。どんな意見であっても自由に発言してもよいという意識を生徒の間にも徹底しておくことで、ディスカッションの幅も広がりますから。

―生徒たちは、具体的にどんなテーマに取り組んでいますか。

ピーター 環境問題など大学入試の頻出テーマに加え、生徒たちに自分ごととして考えてほしい女性に関するテーマにも取り組んでいます。今年の夏休みの課題は「社会に影響をあたえた日本人女性」について調べて、エッセイを書くことでした。日本初の女性医師の荻野吟子さんやファッションデザイナーの森英恵さん、難民支援に尽力した緒方貞子さんなど、生徒たちはさまざまな女性を選んでいました。

ピーター・ブランク 教諭

社会に貢献するために“語ることばを持つ”人へ

―受験生へのメッセージをお願いします。

ネイト 本校の英語教育は、生徒それぞれの求めるレベルにあった内容を提供できるカリキュラムになっています。英語だけでなくすべての教科や学校生活において、「一人ひとりが神からかけがえのない賜物を与えられている」という考えのもと、生徒一人ひとりが持っているよさを認め、可能性を伸ばす環境が整っています。ですから、もし英語が苦手でもどうか心配せずに来てください。

ピーター 本校は“Be a Messenger”という教育目標を掲げています。このメッセンジャーとは、オスカー・ワイルドの短編小説「幸福な王子」に登場するツバメの姿を重ねています。神の愛を貧しい人々に届けたツバメのように、本校で学び経験した多くのことを、社会のために役立てることができる人になってほしいと思います。また、日々、生徒たちと接していて、そうした優しさや人間性にあふれた生徒たちが育っていると、実感しています。

ネイティブの先生から学ぶ意義

英語科|菊地 真弓 教諭

本校ではネイティブの先生によるオールイングリッシュの授業を、中学1年生からの英語教育のカリキュラムに組み込んでいます。ネイティブの先生から学ぶ意義は、英語を聞き取る力や正しい発音を身につけるだけでなく、表現力を豊かにし、コミュニケーション力を高めることができる点にあります。よりよく伝えるための話し方や表情、身振りなど、ネイティブ講師と直接対話するからこそ学べることがたくさんあるのです。また、オールイングリッシュですから、しっかり聞き取って理解しようという気持ちが強く、生徒の集中力を高めるよい意味での緊張感が生まれているように感じます。授業以外でも、昼休みや放課後に開放されているイングリッシュラウンジで、生徒たちはネイティブの先生との会話を楽しんでいます。海外の生活習慣や文化を知るだけでなく、バックボーンのちがいによるものの見方や考え方のちがいに触れることで、生徒の視野は自然と広がっていきます。

取材日:2021.9.11