3年間毎日が成長。
経験から学ぶリーダーシップとフォロワーシップ。

麗澤中学・高等学校

あらゆることに挑戦できる環境を整え、一人ひとりの才能を開花させる

麗澤高等学校の「麗寮」は、寮生の自主性のもとに運営されてきた。寮の出身者たちは培った人間力をもとに、社会で活躍している。麗寮の魅力について、寮出身である高校教頭の古川圭介先生と女子寮主任の諌山佳子先生、在学中に寮長を務めた高田空也さんと下村実央さんに聞いた。


―麗寮(麗澤高校の寮)についてお教えください。

古川 麗澤高等学校の前身は昭和10年に創立された道徳科学専攻塾です。イギリスのパブリックスクールをモデルとし、当時としては珍しい男女共学の全寮制として設立されました。平成4年には通学制を導入し、通学か寮を選択できるようになりました。麗寮は、寮生自身が運営し自主性を育てる、という教育理念で動いています。

諌山 生徒の中から選出された寮長・副寮長が寮生活をリードします。各部屋は縦割りで、3年生の部屋長を中心に、異学年の3~4人で構成されます。部屋単位で生活における当番のほか、イベントの企画・運営なども各係が担っています。入寮したての1年生には、2年生が洗濯や掃除などの生活の仕方から、礼儀や言葉遣いも教えます。平日は朝礼を行い、スピーチを聞いたり、故郷の方向を向いて心の中で家族に挨拶をし一日が始まります。夕礼では一日の振り返りを行い、自習に入ります。学習時間をしっかりと確保していることも特徴です。

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―どのような寮イベントがありますか。

諌山 企画係がイベントの企画・運営を行います。例年、新入生歓迎会、ハロウィーンパーティー、帰省パーティーなどがあり、男女混合で行うイベントもあります。

高田 イベントは、先輩・後輩の垣根を超えて過ごせる機会だったので、楽しみでした。みんなで花火やバーベキューをしたり、通学生にはないイベントは、良い思い出になっています。

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高校教頭|古川 圭介 先生

―苦労したことはありますか。

高田 3年生で寮長になった際、一部の同級生が、好き勝手に行動することがあり、困りました。模範を示さなくてはいけない立場なので、話し合いの場を設けて、改善の道を探りました。相手の気持ちを考えたうえで、「俺もやるから、一緒にやろう」と、声掛けをした方が理解してくれることを、体験していくうちに学びました。

―受験勉強はどのように進めましたか。

高田 通学に時間をとられないところが大きな利点です。部活の後、夕礼のおかげで気持ちの切り替えがうまくでき、勉強に集中できたのが良かったです。朝晩の自習に加え、校内予備校も活用しました。下級生の存在が励みになり、部活で疲れていても頑張って学習に向かえました。

下村 毎日の学校の勉強と、寮の自習時間をきちんとこなすことを心がけました。勉強している同級生を見ると、自分も頑張ろうと思い、お互いに切磋琢磨しました。部活、寮生活、勉強のすべてをこなすのは大変でしたが、やり遂げた時は、達成感がありました。

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女子寮主任|諌山 佳子 先生

―社会人になり、寮生活のどんなところが役に立っていますか。

高田 寮で学んだ多くのことが役立っています。特に寮で上級生への接し方が身についていたので、入社して目上の方と接する場でも自然にふるまうことができます。ビジネスマナーの研修の際も、自分はすでに形式は習得していたので、マナーの先にある「相手の心」に着目して考えることができました。また、寮で異学年との連携を円滑にする体験を通してコミュニケーション能力が身についていることも、役に立っています。

下村 現在、市役所に勤務しており、いろいろなご意見や言葉をいただく機会があります。さまざまな価値観を受け入れられるのは、寮で学んだ多様性、養われた柔軟性や協調性のおかげだと思います。また、寮で上級生から教わったメモの取り方、教えて頂いた時の受け答え方などは、習慣として身についています。

諌山 部活の試合で負けて落ち込んでいたり、ヘトヘトでも、寮生たちは、切り換えて役割を果たそうと努めます。この経験は、社会人になり仕事と家庭を両立させるときに、大変役に立つと感じています。

―麗寮の今後の展望をお教えください。

諌山 今年度より、寮では外部講師による英語のプログラムを行う「インターナショナルタイム」と、海外で活躍している卒寮生とオンラインでつながる「オンラインセミナー」を導入しました。また、麗澤中高ではSDGsなど、生徒の主体的な活動が盛んなので、学校生活、寮生活を通して「知徳一体」の力をつけて、社会で活躍してほしいと思います。

古川 寮生活の伝統は、価値があるからこそ、現在まで引き継がれてきました。対人関係、人への心遣いを学べる寮生活の良さを知ってもらい、通学圏内の中学生にも、寮生活を選択してほしいと思います。

卒寮生VOICE

―入寮したきっかけをお教えください。

高田 父に麗寮を勧められていたのですが、当初は乗り気ではありませんでした。でも中3でサマーチャレンジ(宿泊型寮体験)に参加し、自律した高校生活を送る先輩たちを見て、「ここに入るしかない!」と決めました。

下村 麗澤中学で通学していましたが、母が麗寮の出身で、寮を勧められていました。私もサマーチャレンジに参加して(現在、麗澤中生は別日程で実施)気持ちがガラリと変わり、最終的には自立したいと自分で入寮を決めました。

―上級生・下級生との関係はどうでしたか?

高田 北海道から来て、入寮直後はホームシックになりました。そんな時、3年生の寮長が声をかけてくれました。同級生に話せないことを、先輩に相談できて心強かったです。

下村 女子寮では「談話」という、部屋のメンバーと話をする時間が毎日ありました。私も困った時は、上級生に相談に乗ってもらいました。自分が寮長になった時は、下級生の相談に乗ったり、時には注意もしました。学年に関係なく絆が強く、今でも交流が続いています。

―受験生にメッセージをお願いします。

高田 親元を離れて生活する中で親の有り難みや周囲の支えに気づきます。高校生のうちにこのような体験をしておくと、その後の人生が楽しくなるので、ぜひ入寮してください。

下村 通学制の高校生とは違った青春を送ることができます。人間性が養われ、人として成長できるのは、寮生活ならではのメリットです。

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高田 空也さん
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下村 実央さん

取材日:2022.9.3