「今、私たちにできること」に取り組む
世界を変えていく活動

麗澤中学・高等学校

あらゆることに挑戦できる環境を整え、一人ひとりの才能を開花させる

SDGsは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指していく国際目標だ。日本でも積極的に取り組む企業が増えている。麗澤でも、SDGs研究会を立ち上げ、生徒が主体的に活動しているという。その活動について、研究会の顧問の瀧村尚也先生と、研究会に所属するメンバー、OGに話を聞いた。


―SDGs研究会の発足の経緯をお聞かせください。

瀧村 きっかけになったのは、小児がんの子どもたちを支援するレモネードスタンドの活動です。英語の教科書に書かれていたその活動に関心を持った稲田さんが発起人となり、有志団体としてSDGsに関する活動がスタートしました。

稲田 英語の教科書に載っていたのが、がんと闘うアメリカの子どもが自宅の庭で始めたレモネードスタンドの売り上げを募金し、小児がんの子どもたちを支援する話でした。それを読み、小さな子どもにもできるのだから、私にもできるかもしれないと思って先生に相談したところ、背中を押してもらいました。その第一歩となったのが、大勢の卒業生が集まる麗澤の70周年の式典でした。そこでレモネードスタンドを開いたところ、いろんな人が買ってくださり、11万円ものご支援を集めることができました。

瀧村 活動を行う中で、レモネードスタンドの売り上げはすべて寄付できるわけではなく、レモネードの購入費などの費用を差し引いた金額になってしまうことに、生徒たちが疑問を持ちはじめました。ただ、レモネードの原価代を含めた全額を募金するためには、自分たちでお金を作り出す必要がある。そこで、私がもともとバリスタの資格を持っていたこともあって、生徒にハンドドリップでコーヒーを淹れる技術を教え、それを販売した利益をレモネードスタンドにかかる費用に充てる提案をしました。そこから、レモネードスタンドと環境や人にやさしいフェアトレードコーヒーの二つを主軸とした活動が始まりました。その活動が少しずつ学校中に広まり、2年前からSDGs研究会として活動しています。

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瀧村 尚也 先生
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SDGs研究会OG|稲田さん(高3)

―今、どんな活動を行っていますか。

瀧村 現在、中1から高2まで約60人の生徒が所属しています。企画ごとにグループで活動しており、グループ内には企画リーダーや副リーダーの他、メディア広報や経理などの役割を担う生徒もいる、会社のような組織です。今年から新体制になり、生徒たちがやりたい企画を立ち上げるようにしたところ、10個の企画が立ち上がりました。環境にやさしい石鹸とアロマキャンドルを作るものや、麗澤幼稚園にSDGsを啓発するプロジェクト、海のプラスチックごみを減らす活動、制服のリユース運動など、様々なものがあります。生徒の関心は多岐にわたっており、それがこの会の強みでもあります。フェアトレードコーヒーとレモネードスタンドの活動は続けていますが、次の世代の生徒たちが主体的に活動していけるように、先輩の企画をただ引き継ぐのではなく、再スタートという形で継続しています。

―印象に残っている企画は何ですか。

稲田 自分が始めた活動ということもあって、レモネードスタンドの企画には一番思い入れがあります。生徒主体での活動が基本なので、ミーティングを開いたり開催場所を決めるなど、プロジェクトの管理も自分たちで行います。以前は兼部の生徒が多かったので、みんなのスケジュールをすり合わせながら膨大な仕事をこなしていくのは大変でした。仕事の分担のことなどで仲間と意見が異なるときもありましたが、多くのお客さんにレモネードを買ってもらい、支援の輪を広げる達成感がありました。

神宮 印象に残っているのは他校と合同で行った発表会です。ZOOMを使って、レモネードスタンドの活動について発表しました。内容をより詳しく調べることで、今まで以上にレモネードスタンドや小児がんについて知ることができました。事前の準備では、学年末のテストや他の活動と重なってしまい、精神的に追い込まれてしまったこともありました。そんなとき、先生が真剣に相談に乗ってくださり、他の生徒に頼ることも大切だとアドバイスをもらいました。

木本 フェアトレードコーヒーの生産国である東ティモールが洪水の被害を受けていると知り、持続的な支援をするために私が立ち上げたのが、ZOOMによるオンラインサロンの企画です。外部の人にその現状を知ってもらうために、自分でプレゼン内容を考えてスライドを作るなど、同時進行で様々な作業を進めていきました。やることがたくさんあって大変でしたが、一緒に企画を立ててくれたメンバーと支えあって乗り越えることができました。

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SDGs研究会|神宮さん(高2)
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SDGs研究会|木本さん(高1)

―活動を通してどんなことを学びましたか。

稲田 小さな一歩でも、誰かの助けになれることを学べたのは大きかったです。それと同時に、まだ私にはできないことがあると痛感する学びも多々ありました。また、日程が決まっているプロジェクトを進めていく中で、物事をやり抜く力が身につきました。

神宮 行動力が身についたと思います。最初のころは、指示されたことを実行していただけでしたが、活動を進めていくうちに、本気で自分のやりたいことができて、それを先生に伝え、実際に行動に移せるようになりました。

木本 プレゼンテーションをする力が磨かれたと思います。最初は、人前で発表することが苦手で、緊張して話すことができなかったのですが、今はみんなを引っ張っていく立場として、人に伝わりやすい話し方を考え工夫するようになりました。

―これからの目標を教えてください。

瀧村 本校のSDGs研究会には、お金を自分たちで生み出すという、持続可能なビジネスモデルがあります。それさえあればどこでもできる活動なので、この取り組みの輪を他校にも広げ、SDGsについて取り組める環境を日本全国につくりたいです。お金がなくても、自分たちの力で世の中を変えられることを、麗澤から発信していきたいと思っています。

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レモネードスタンドとフェアトレードコーヒーという、SDGs研究会の主軸となる活動をまとめた動画が2000件近くの応募の中で優秀賞を受賞。

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取材日:2021.8.24