世界を生き抜く力をつける
「櫻イノベーション」のグローバル教育

日本大学櫻丘高等学校

2019年から、「櫻イノベーション」をスローガンとする学校改革に取り組んでいる日本大学櫻丘高等学校。21年からはセカンドステージに入り、より深化した改革が進んでいる。「サイエンスリテラシー」など5つのイノベーションのうち、特に力を入れている「グローバル教育×ダイバーシティ」について、国際交流委員長・グローバルアカデミックセンター長の澤田彰教頭に話を聞いた。


グローバリゼーションが完成された現代社会を生き抜くためには、「グローバルマインド」「グローバルコミュニケーション」という素養・能力が不可欠だ。日本大学櫻丘高等学校では、これらの能力を育成するための生徒・教職員自身の改革、ハード・ソフト両面からの改革を総称して、「櫻イノベーション」と位置づけている。21年から、「グローバル教育×ダイバーシティ」のイノベーションを強化した。

澤田彰先生がこう話す。「櫻イノベーションにはS+i『世界・社会と私』という視点があります。『世界』(S)に関しては、国境を越えること。『社会』に関しては、社会の中での自分の役割を認識し、最終的には、自分自身(i)の成長につなげることが目標です。高校の学びの中で『将来、どのような自分になりたいか。何をすべきか』を考え、グローバル社会に適応する素養を育みます」

グローバルマインドを育成するため、多彩な学習プログラムを用意している。

1・2年次では週1回、ネイティブ教師による英会話の授業を実施している。1グループ10人程度の少人数制で行うため、発言の機会が多く、生徒から好評だ。ネイティブ教師は5人在籍しており、出身地は、イギリス、アメリカ、ニュージーランド、フィリピン、ジャマイカと多岐に渡る。そのため、さまざまな地域の発音に触れ、多様な国の文化を学ぶことができる。

通常の授業以外にも、さまざまな仕掛けを用意している。不定期で「SAKURA Café」という英会話サロンを開催。ネイティブ教師が交代で、それぞれの持ち味を生かしたレッスンを行う。授業で扱わない題材を取り上げたり、ゲームをしたりと、楽しみながら英語を学べる時間だ。

国際交流委員長・グローバルアカデミックセンター長|澤田 彰 教頭

また、希望者に、オンラインスピーキングトレーニングを実施。自宅で好きな時間に、フィリピンの講師によるマンツーマン英会話レッスンを受けることができる。

海外学習プログラムも多彩だ。「ニュージーランド中期(3カ月)・長期(1年)留学」について、澤田先生がこう説明する。

「ニュージーランドは多民族国家であると同時に、世界各国から留学生が集まっているため、大いにダイバーシティを感じることができます。3カ月の留学を経験した生徒は、かなり耳が鍛えられ、英語のボキャブラリーが増えます。皆、自信に満ちて帰国して、『また行きたい』と口をそろえます」

夏休みに行われる「英国語学研修」も人気のプログラム。午前中は授業を受け、午後は観光やアクティビティ、現地の高校生との交流などを行う。

また、日本大学が主催する語学研修として、「夏・春ケンブリッジ大学サマー・イースタープログラム」がある。これは、日本大学の付属校から代表生徒2〜3人が参加し、2週間、ともに勉強するプログラムだ。ケンブリッジ大学のペンブルック・カレッジの学寮に宿泊し、大学の先生による授業や、アクティビティを体験する。日本大学の付属校ならではの貴重な機会だ。

国内にいながら留学できるデュアル・ディプロマ・プログラム

21年から、U.S.デュアル・ディプロマ・プログラム(以下DDP)を導入している。これは、日本大学櫻丘高等学校の教育課程を履修しながら、アメリカの私立中高一貫校の授業を2年間履修することで、櫻丘高校と現地の高校の卒業資格(ディプロマ)を取得できる制度だ。DDP取得後は、全米ハイランキング、18大学への推薦入学が100%保証されるほか、国内大学の総合型選抜での受験などが可能だ。

授業は、毎週土曜日または日曜日に、プログラム教師によるオンラインのライブ授業を2時間受講する。このほか週4時間、セルフスタディのオンライン授業を受講。海洋学、幾何学、歴史など、幅広い分野を英語で学ぶ。講義を受け、課題を提出し、2カ月ごとの単元テストに合格して、次の科目に進んでいく。澤田先生がこう説明する。

「DDPでは、英語だけではなく、英語を使って幅広い分野を学ぶことが特徴です。授業では、自分の意見を述べたり、ディスカッションをしたりと、アウトプットの機会が多くなっています。そのため受講生は、自分の意見を英語で述べる力が付いています。通常の授業でも積極的に自分の意見を発信し、ほかの生徒に刺激を与えています」

最近では、櫻丘高校のグローバル教育への期待が高まっている。

「近年、英検2級取得者が増加しています。DDPや語学研修に参加したいから入学した、という生徒もいます。現在はまだ、DDP受講者は少数ですが、もっと増えることが理想です。これからも、生徒のニーズに応えた教育を展開していきます」(澤田先生)

最後に、受験生に向けて、澤田先生がこうメッセージを送る。「本校では、グローバルマインドを育てるために、さまざまな仕掛けを用意しています。留学や語学研修、少人数英会話レッスンなどに参加して、多種多様な文化に触れて、見聞を広めてください。高校時代にさまざまな考えに触れ、いろいろなものを感じて、社会に出て欲しいと思います」

取材日:2023.9.19