ダブルディプロマコースを軸にすべての生徒が
グローバルに学べる環境をつくっていく

文化学園大学杉並中学・高等学校

文化学園大学杉並中学校・高等学校の大きな特色は、校内にブリティッシュコロンビア(BC)州の海外校Bunka Suginami Canadian International School(BSCIS)があるグローバルな教育環境だ。中学校から英語力に応じたコース別のカリキュラムが設けられていて、中学1年生からカナダの授業を受講することができるほか、高校のダブルディプロマ(DD)コースでは日本とカナダ両方の高校卒業資格を取得することができる。BSCISの校長を務めるエドムンド・ニールセン先生と、国際部部長の大久保素子先生に、DDコースをはじめとする同校の英語教育の魅力を聞いた。


―日本とカナダの両方のカリキュラムで学ぶことは、生徒にとってどのようなメリットがありますか?

ニールセン これからの時代、英語ともう一つの言語のバイリンガルであることは、大学で学ぶ際や社会で仕事をする際に、大きなアドバンテージとなります。アカデミックな研究の場では英語で論文を読み書きすることや議論する力が求められますし、社会のグローバル化が進むにつれて多くの企業で取引や顧客とのやり取りに英語が欠かせないものとなってくるためです。そうした社会背景をもとに、さらにBSCISのメリットを挙げると、生徒主体で進められるBC州の教育プログラムを受けられるということです。ペアワークやグループワークといった生徒同士が英語で話し合いながら進める探究型の授業で、批判的・客観的・創造的に考える力や、自分の考えをスピーキングやライティングで発表し、他の生徒の考えを聞くコミュニケーション力などを養うことができます。また、BC州の教員を通して、カナダの文化やカナダ人の考え方などに日々触れ、多様なものの見方が身に付くことも大きなメリットです。バイリンガル(二言語)であるだけでなく、バイカルチャー(二文化)教育を受けることができるのです。

BSCIS校長|エドムンド・ニールセン 先生

―カリキュラムを拝見すると、DDコースは日本だけでなくカナダの教育課程の授業を受講する必要があるため、授業数が多くなっています。生徒さんが負担に感じることはないのでしょうか?

大久保 日本とカナダのカリキュラムを振替などで授業数を抑えてはいますが、高校のDDコースは進学コースに比べて約1・5倍の授業数があり、平日1限前や6限後の授業や土曜日にも授業を行っています。当初は教員からも「生徒が大変では」という心配する声がありましたが、始まってみると、想定以上に生徒はうまく順応してくれました。カナダの授業はプロジェクト式で、ディスカッションしたり何かを作ったりすることが多いため、生徒たちは飽きずに楽しんで取り組んでいるようです。実際、DDコースの1期から6期まですべての生徒が無事に日本とカナダの両方の資格を得て卒業することができました。

ニールセン カナダのカリキュラムは、テストではなくレポートや成果物の提出、授業への取り組みなどで評価することも多いため、期末などのテスト期間中に負担が集中することはありません。生徒が自分の時間を管理し、マネジメントする力を養えるように促しています。

グローバルな人材育成に向け進化する教育プログラム

―今年度からDDコースで導入されたアドバンスト・プレイスメント(AP)とはどのような教育プログラムですか?

大久保 APとは学習意欲の高い生徒を対象としたハイレベルな教育プログラムのことです。カレッジボードというアメリカの教育機関が認定や運営を行っています。主にアメリカやカナダの多くの高校で導入されていて、ヨーロッパやアジアにも広がりつつあります。APを受講し、テストを受けて得た評価は、大学のアドミッション(入学審査)や入学後のコース選択、単位認定の対象になることもあります。本校のDDコースでは、今年度は高2のAP Pre-Calculus 11(微分積分基礎)という必修授業でAPを導入しました。2024年度は、高3のAP Calculus 12(微分積分)という選択授業で導入予定です。APは国際バカロレア(IB)と同じく、海外の多数の大学で評価対象とされているだけでなく、日本の大学でも導入が進むと予想されています。APは数学のほかにも英語や統計学など38のプログラムがあるため、本校でも導入科目を増やしていく予定です。

国際部部長|大久 保素子 先生

―昨年度から始められた、探究型研修旅行とはどのようなプログラムですか?

大久保 従来のDDコース高校1年生を対象にしたカナダ短期留学や、高校生の希望者を対象にしたオーストラリアへのターム留学に加え、2022年度からは新たな海外教育プログラムとして、中高の希望者を対象にした探究型研修旅行をスタートしました。このプログラムは、海外のさまざまな国を訪れ、企業で働く人の話を聞いたり、仕事の現場を見学したりといったアントレプレナー教育とも結びついた内容になっています。これまでインド(2023年3月実施・参加者19名)、アラブ首長国連邦のドバイ・アブダビ(2023年7月実施・参加者28名)を訪れました。どちらも想定を上回る数の生徒が参加を希望し、現地の人々の生活や経済活動に触れる貴重な経験を得ることができました。渡航先なども広げつつ、研修内容をさらに充実させていきたいと思っています。

多様な価値観に触れることで真にグローバルな人材が育つ

―最後に、受験生やその保護者の方へのメッセージをお願いします。

ニールセン 私がBSCISの教育で大事にしていることは、さまざまな学びを通して、個人や社会のために考え、行動するための根本となるスキルを身につけることです。それは、思いやりや優しさ、独立心、熱意です。そうしたスキルをもって大学で学ぶことで、将来的には、自分たちの国や地域に前向きなインパクトを与えられる人になれると信じています。さまざまな生徒が集まる文化学園大学杉並の教育環境は、自分と異なる文化や個人のアイデンティティを尊重する姿勢や、自分の行動に責任を持つ力を養うために、きっと役に立ちます。英語を学びたい方はもちろん、世界で活躍したい方、新たな環境で挑戦したい方を待っています。

大久保 本校では、生徒の好きなものや得意なものを見つけ、それを伸ばす教育に力を入れています。英語であれば、中1入学時は初心者レベルでも、英語が好きで学びたいという意欲があれば、中2でDD準備コースに進み、高校からはDDコースで学ぶことも可能です。もちろん英語以外でも構いません。BSCISというカナダの学校が同じ校内にある本校は、いろいろな文化や価値観、考え方に触れる機会が数多くあります。たくさんの出会いと経験を経て、ぜひ本校で、みなさんの一番を見つけてください。

文化学園大学杉並中学校・高等学校の
英語教育カリキュラム

中学校では、英語上級者向けの2コースを含む3コースを設置。中1のDD7では、英語10時間のほかカナダの理数科目を含む週17時間のオールイングリッシュの授業があり、加えて日本の数学と理科も行われる。Advanced7では英語は同じく10時間だが、理数科目は日本先取り教育をベースに授業が行われている。英語初心者向けのStarter7ではネイティブ教員による7時間の英語と日本語教員による2時間の英文法が行われており、その中でも生徒のレベルに合わせたクラス分けがされている。Starter7の生徒も英検4級レベルの審査に合格すれば、中2からAdvanced7に続くDD準備8に進むことができる。

高校では、完全バイリンガル教育であるDDコースのほか、特進コースと進学コースを設置。DDコースでは、高1での5週間のカナダ短期留学を含め、日本とカナダ2つの教育カリキュラムを3年間並行で学び、高校卒業時には両方の卒業資格を取得する。

取材日:2023.9.2