よき友、よき先生と出会い、共に過ごした
6年間が人生の基盤を築いてくれた

獨協中学・高等学校

今年創立140周年を迎える獨協中学・高等学校は、完全中高一貫制での男子教育にこだわり、学業とともに豊かな人間性を育むことに重きを置いている。この学校で6年間を共に過ごし、それぞれの分野で活躍中の卒業生5名と、彼らの成長を見守った教員が久しぶりに集まった。顔をそろえたのはいずれも2014年卒業生の、比留田孟徳さん(鉄道会社社員)、藤井心平さん(金融機関職員)、南澤宏壽さん(医師)、北川裕一朗さん(不動産会社社員)、福田理貴さん(理学療法士)、そして、現在副教頭であり、数学科の担当である長谷隆一先生。中高時代の思い出や学びについて語ってもらった。


―まずは皆さんの自己紹介として、現在のお仕事を教えてください。またもし、今の仕事や大学など、進路選択に関連する中高時代の思い出などがあれば、あわせて紹介ください。

比留田 私は鉄道会社の不動産分野で街づくりに関わる仕事をしています。会社のミッションとして、「ゆたかなくらし」の実現というものがあるのですが、中高時代から、文化祭など学校行事の運営などに興味があり、みんなが楽しめるコミュニティづくりを率先していたことは、街づくりという今の仕事につながっているのではないかと思います。

藤井 私は労働金庫の職員をしています。中高時代から本が好きで、学校の図書館によく通っていました。大学受験の際に早稲田大学文学部を選んだのも本が好きだったからです。直結はしていないかもしれませんが、「誰のために何のために働くのか」を考えた際に、そうして多くの本を読んで培われた価値観が、「労働者のために働きたい」という答えに結びつきました。

長谷 隆一 先生
北川 裕一朗さん

南澤 医師になりたいというのは、幼いころからの夢で、「患者さんを元気にする医師になりたい」という気持ちは、ずっと変わっていません。そもそも獨協に入学した理由のひとつが、医学部を目指す人が多いからなんです。同じ夢を持つ仲間と学んでいて思ったのは、獨協は「成績がいいから医学部に進む」のではなく、最初から「医師になりたいから医学部に進む」生徒が多いこと。今、研修医として病院で働いていますが、そうした志はとても大切だと思います。

北川 私は、法人向けの不動産管理やコンサルティングを行う会社に勤めています。中高時代の経験は職業選択より大学選択に関わっています。中高の時の数学の授業がわかりやすく、おもしろかったので、東京理科大学の第一理学部数学科に進学しました。ただ、大学の数学は一つの問題を何時間もかけて解くようなハイレベルなもので、大学1年次の試験のときは受験期よりも勉強しましたね。難問に辛抱強く取り組むのは楽しく、大学時代は数学の教員を目指したいとも思っていました。結果的に、現在の就職先を選びましたが、今、任されているSE関連の仕事は、専門外のことながら、エラーチェックを重ねて正しいプログラムを導く点が、数学への向き合い方に通じるものがあります。

福田 私は昔から誰かのためになる仕事をしたいと思っていました。中高では6年間ラグビー部に所属していたのですが、中学2年生の時に部活中に捻挫をし、治療のために通っていた整形外科で理学療法士の先生と出会ったことで、自分も理学療法士を目指すようになりました。中高時代はラグビーに全力を注いでいたので、目指していた東京都立大の理学療法科に入るまでに二浪しましたが、浪人中も長谷先生はじめ獨協の先生方が応援してくれたからこそ、夢を諦めずに頑張ることができました。

比留田 孟徳さん
南澤 宏壽さん

教員も生徒たちから多くのことを学んでいる

―長谷先生はみなさんの担任をされていたそうですが、中高時代はどんな生徒さんでしたか?

長谷 比留田君は人に信頼される男。みんなから「困りごとがあったらあいつに頼めばいい」と言われていました。生徒からも教員からも信頼があつく、学級委員などもよく務めてくれましたね。

比留田 委員などの経験が、自分が発起人になれば物事を動かせるという自信になり、大学でもサークルを立ち上げました。

長谷 藤井君は誠実な男。男子中高生にありがちな粗野な部分がなく、なにごとも丁寧に取り組んでくれました。理工学研究部での印象が強いので、正直本好きで図書館に通っていた話は意外でした。

藤井 ロボットが好きだったので、理工学研究部の活動も楽しんでいました。好きなことをいろいろマイペースに取り組めるのが獨協のよさですね。

長谷 南澤君は実現できる男。文化祭での企画など、困難があってもやりたいことを自分なりに工夫してきちんとやりとげる。バスケットボール部の活動にも熱心で、人をまとめる力がありました。

南澤 文化祭は有志でお化け屋敷をやりましたね。2教室使った大掛かりなもので、いろいろと無理な申請をしても、ぎりぎりのところまで自由にやらせてくれたのが嬉しかった。準備のために毎日遅くまで学校に残っていた時も、先生が付き合ってくれたのを覚えています。

長谷 北川君は人を幸せにする男。一緒にいると楽しくなるような、独特の性格と持ち味がある。彼を嫌いだという生徒は聞いたことがないほど。北川君はディズニーにはまっていましたが、人を幸せにするという共通項を感じていました。

北川 先生に勧められて体育祭の実行委員長を務めたのは思い出深いです。最初はやる気がなかったのに、先生の誘導がうまくてやってしまった。でも、そのおかげで「なんでもやってみよう」というマインドを持つことができました。

長谷 福田君は幹の太い男。理学療法士になりたいという夢を自分で見つけかなえた。挫折しても諦めず妥協せず、どんな強い風が吹いても努力を惜しまない強さはすばらしいと思います。ラグビー部も怪我や病気を乗り越え、6年間続ける強さがありましたね。

福田 理貴さん
藤井 心平さん

福田 器用ではないので、部活でも受験でも失敗ばかりしましたが、失敗することで次はどうしたらいいのかを考える癖がつきました。また、病気で半年間くらい学校を休んだ後、学校に戻ってみんなと話すのがすごく楽しかった。中高6年間ずっと一緒という気のおけない信頼関係のよさを、実感しましたね。

北川 今の思い出話もそうですが、長谷先生は、卒業してもずっと生徒のことを覚えていてくれるのが本当に嬉しいですね。年賀状もずっと送ってくれる。

福田 浪人中も手紙ではげましてくれたりしましたね。

長谷 生徒が好きなんです。中高時代の話を聞いていると、教員として彼らの人生の一部に関わることができて本当によかったと思います。私だけではなく、本校の教員は、みんな生徒や卒業生を大事にするという意識が強い。さまざまな生徒と接して学んだことを、次の生徒のために生かすことができます。いつも生徒たちから学んでいるんです。

取材日:2023.9.11